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昭和四十七年七月十二日提出
質問第六号

 瀬戸内海の海水汚濁対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年七月十二日

提出者  土井たか子

          衆議院議長 (注)田 中 殿




瀬戸内海の海水汚濁対策に関する質問主意書


 田中内閣総理大臣は、日中国交回復をはじめ、公害問題の深刻化など、当面する内外の重要な課題に対し、所信表明も行なわないまま国会を終了させようとしている。
 内政問題のうち最も重要な問題ともいうべき、国民の生命と生活に直接関連する公害および環境保全政策について、国会に対し、明確な所信を表明されないのは、国民と、国会に対する軽視であつて、きわめて遺憾であるといわねばならない。
 私は、国会法第七十四条および第七十五条に基づき、内政問題の重要課題である公害対策、環境保全対策全般の縮図ともいうべき瀬戸内海の汚染対策に関し、次の質問を行ないたい。
 瀬戸内海を生きた海にということは、観光資源の確保や水産資源の確保という問題をこえて、いまや、人間の生存保障にかかわる問題として近畿、中国、四国、九州、各地域の重大な関心事となつている。このままで推移するならば、数年をまたずして、赤潮の異常発生の段階をこえて、「死の海」になることは必至である。瀬戸内海(以下「内海」という。)の自然をよみがえらせるためには、わが国の国民総生産の約三分の一を占め、全人口の三分の一に近い人達が関係地域に住んでいることからも思い切つた抜本的な対策が是非必要である。

一 現行水質汚濁防止法の排出基準や環境基準および大気汚染防止法による高煙突、拡散方式を改めて、濃度規制から総量排出規制へ方針を転換させること。
二 周防灘、播磨灘、大阪湾など、内海の大規模開発に対する工場誘致規制や、海上埋立に対する規制など、抜本的対策を実施すること。
三 六十年に一回しか海水がかわらないという内海の実状から廃棄物の処理や、公共下水道の普及率をスピードアップするのみならず、終末処理については、二次処理方式から三次処理方式に変更しなければ、赤潮の原因となる窒素や燐酸を除去することができないこと。
四 これらの総合施策をすすめるためには、水質と大気汚染に対する科学的な調査をすすめる企業に癒着をしない機関が必要なこと。

 以上の措置を緊急、かつ、不可欠と考える。なぜなら、田中総理構想といわれる「日本列島改造」計画によつても昭和四十五年の工業出荷額十八兆円が、六十兆円ないし八十兆円に増大するといわれる昭和六十年には、現在のBOD汚染付加量、一日二千五百トンが、一日一万二千トンになることが推量されているからである。
 もし、このままの環境汚染が続くならば、環境破壊がそのまま住民の健康破壊につながることは明白である。そこで、社会党は、内海をよみがえらせるために、「瀬戸内海環境保全特別措置法」をつくり、現在のわが国の公害諸立法の欠陥を克服すること以外に、当面の関係住民のねがいは貫徹できないと考えている。
 日本列島改造論が広大な構想であるかどうかの是非はともかくとして、現状のままで工場立地の規制をふくむ公害規制などをぬきにして、国民の健康保全は期待することができず、土地政策が確立されないままの無原則な工場分散方式等は、日本全土の環境破壊につらなるものであるという危ぐをもつている。
 指摘した四点にわたる特別の規制措置と、これを行なうための財政措置を確立することは寸刻を争う問題である。

 福祉優先をとなえている田中内閣として、この特別立法を次の国会に提出する政治的決断をするのは田中内閣総理大臣であるが、これについての基本的な方針(法案提出の用意の存否)、さらに、前記した四点についての具体的な施策をおたづねいたしたい。

 右質問する。





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