衆議院

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昭和四十八年五月九日提出
質問第八号

 地代家賃統制令に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年五月九日

提出者  渡辺武三

          衆議院議長 中村梅吉 殿




地代家賃統制令に関する質問主意書


一 建設省は、地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四四三号)第五条に基づく昭和二十七年十二月四日建設省告示第一四一八号を昭和四十六年十二月二十八日同省告示第二一六一号によつて一部改正し、同四十七年一月一日からこれを適用し、現在引き続き効力を保持している。
二 右告示によると統制額地代及び家賃の算定方法(いずれも一ヵ月)は次のとおりである。
  地代については、

(その年度の固定資産税の課税標準額× 50 +その年度の固定資産税)× +その年
1000 12
度の都市計画税額× 1ヵ月の地代
12

  純家賃については、

その年度の評価額× 18.24 +その年度の都市計画税額× 1ヵ月の純家賃
1000 12

  家賃については、

地代相当額+純家賃

  の各方法で計算される仕組みとなつている。この計算にしたがうと、現在のように毎年評価額が時価に近づけられ、また、課税標準額も毎年四割近い上昇率で上つてゆくなかで一坪(三・三m)当たり一、〇〇〇円以上の地代が出現し、到底一般市民が借地上に居住することは不可能となる。
  統制令の適用は制限されているが、これによる算出例が適用除外対象物の地代・家賃の算出基準となることはあきらかで、現に裁判等右計算例に基づく請求がいくつか出されてきている。そして、右計算の基礎となつている「当該年度の固定資産税標準額」は、改正前と異なり前述のように毎年増額されているので、物価上昇に拍車をかけ、この統制令にしたがつて増額されるにおいては、借地借家人の生存をおびやかすに至ることは必定である。
三 いうまでもなく、地代家賃統制令は、昭和十四年に国家総動員法による勅令として、戦時の物価の高騰、人口の都市集中化による地代家賃の暴騰を防止する目的で制定され、昭和十五年の第二次統制令の実施ののち、昭和二十一年に現行統制令が施行されたものである。昭和二十七年の平和条約の発効に伴い勅令の措置を規定した法律の廃止に伴い、廃止されるべきところ、なお地代家賃の統制の必要を認め、以後法律として取り扱われるようになつた。
  統制令の立法趣旨は、地代家賃の統制により、一般物価の高騰を防止し、国民生活の安定をはかるという意味にとどまらず、憲法第二十五条の生存権の保障にみられる福祉国家への指向に則し、特に大都市の住宅難より生ずる高額賃料の重荷から賃料規制による国民の住宅確保を目的としたものである。したがつて、統制令によつて定められた統制額が右趣旨にそうものでなければならないことは当然のことであろう。(同令第一条)
  ところがさきにみたように、右告示による改正は統制令の実質的撤廃に等しく、憲法第二十五条の趣旨に反し、統制令第一条に違反するものというべきであり、建設大臣には、かような内容の告示をなす権限は存在しないというべきである。そこで、これに関し次の質問をしたいので、明確かつ詳細な回答を承りたい。
 1 今回の告示第二一六一号を出すに際し、昭和四十七年度ないし昭和四十八年度まで予定されている課税標準額により市街地の地代・家賃額の試算をされたか。その結果と実際の地代家賃との比較をされたか。
 2 改正については、地主、借地・借家人側の意見を聴取したか。もし意見聴取をしたとすれば、どのような形で誰から聞いたか。聞かないとすれば、なぜこのような重要な案件について事情聴取をしなかつたのか。
 3 改正は、前述のような立法趣旨からみて、建設大臣の越権行為といえると考えるがどうか。
   越権でないとしたらその理由を詳細に知らされたい。
 4 いくつかの実例を検討した上、右告示を更に改正する意図はないか。

 右質問する。



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