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昭和四十八年九月十一日提出
質問第一八号

 山岳遭難救助対策費の助成に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年九月十一日

提出者  小沢貞孝

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




山岳遭難救助対策費の助成に関する質問主意書


 国民体育の健全な発展をめざした山岳スポーツの普及に伴い、各種の報道でも明らかなように、近年の山岳遭難者、特に死亡事故が激増している。これに伴い、山岳地帯にある地方自治体の遭難者救助費を含めた山岳行政費は年々増加の一途をたどつている。
 (例えば長野県の場合、昭和四十八年度分として(一)県山岳遭難防止対策協会対策費、(二)地区山岳遭難防止対策協会対策費、(三)警察における山岳活動費、(四)山岳補導所建設及びヘリコプターチャーター料として総合計五千三百万円が計上されているが、このうち一部の市町村分担金及びごく一部の地元業者の分担寄附金を除いてはすべて県の一般財源でまかない、国庫支出は皆無の現状である。)
 遭難者統計によれば長野県の場合、約九十五パーセントが県外者であることから、これら自治体のみが多額の財政的負担を余儀なくされるのは多くの疑問があるのみならず、国の体育振興、余暇政策の立場からしても、これら自治体への財政補助、救助用各種機器整備のための助成は特に重要であると考えられるので、次の事項につき政府の見解を伺いたい。

一 遭難者の救助活動に際し、各地元救助隊員の応援を求めることが非常に多い。しかし救助隊員に対する報酬は最低無報酬から最高六千円位まであり、一定していないのがアルプス地区を含めての県の実態である。
  なお、長野県の場合、本年九月現在九百余名が救助隊員として登録されており、人命救助という大義名分はあるにせよ命を的に作業に当たるのであるから、救助が敏速かつ効果的に行われるためには、その代償として少なくとも日額最低三千円程度を支給できるよう国が相応の負担をすべきだと思うがどうか。
二 長野県では北アルプス地帯登山者の安全補導と救助活動の総合的な推進を図るため、昭和四十八年度県費八百十万円により、穂高連峰涸沢に山岳総合補導所を建設し、遭難防止と事故発生の際の早期救助に備えている。このような施設は長野県下でもなお数個所の設置が必要といわれているが、本年度新設した分だけでもこれが運営に年間最低百万円以上の費用が必要になると算定される。
  山岳スポーツが国民体育向上の意味から推奨されている事実からして、これらの運営費は全額国庫負担にすべきだと思うがどうか。
三 遭難救助に際してはヘリコプター等機動性の高い救助体制の整備が不可欠の要素となつている。しかしヘリコプターのチャーター料は一時間当たり二十五万円程度であり、一度出動を要請すると往復を含めて最低でも百万円を要する。従つて遭難者及びその家族、所属団体に大きな負担を強いる結果となる。
  今後、遭難多発地域の周辺地区(例えば長野県の場合、松本空港等)に国がヘリコプターを常駐させ、出動費の負担軽減措置を講ずべきであると思うがどうか。
四 夏山登山は非常に一般化し、大勢の人がレジャーを楽しんでいるが、これに対する医療体制は皆無にひとしく、山小屋経営者による厚意的な場所の提供と、大学OB医療班等の善意による治療奉仕に頼つているのが現況である。
  しかし正規の医療機関でないため、治療代金も請求できずに心づけの程度で処理されるなど、折角の善意も永続しない状況にある。今後は国が積極的に山岳地医療体制の整備を図るべきであると思うが、政府の見解を伺いたい。

 右質問する。





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