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昭和四十九年二月二十八日提出
質問第一〇号

 成田空港のアクセス(陸上交通)に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年二月二十八日

提出者  木原 実

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田空港のアクセス(陸上交通)に関する質問主意書


 「新東京国際空港成田」と題する英文パンフレットが新東京国際空港公団(以下「空港公団」という)により刊行されている。
 この中で、空港公団は、成田空港の欠陥の主たるものは、この空港が、都心から六十六キロメートルの距離に位置していることだと指摘している。更にかかる欠陥は、高速自動車道と高速鉄道網の建設により克服されるとも主張している。
 高速自動車道として、首都高速九号線(箱崎〜辰己)、首都高速湾岸線(辰己〜市川)、東関東自動車道鹿島線(市川〜宮野木〜成田)及び新東京国際空港線(成田〜空港)が予定され、高速鉄道網として成田新幹線(東京〜空港)が予定されているが、このいずれもが、当面、全線使用開始の見通しはない。
 しかるに、これらの事情を十分知りながら、空港公団総裁今井榮文氏は公然と開港は年内であると発言している(本年一月二十三日、成田市での記者会見)。欠陥をもつた成田空港をそのまま新東京国際空港として開港せしめることは、我が国と諸外国との関係に重大な影響をもたらす。新東京国際空港はその名の通り、国際空港として機能されるべきものであつて、その設置及び運用に当たつては、いささかも我が国の国際信用を下落せしめるようなことがあつてはならないと考えている。
 そこで、以下、成田空港のアクセス及びこの面からの新東京国際空港としての成田空港の適否について若干の質問を提起したい。誠実、正確、簡潔な回答を期待する。

一 自ら指摘した欠陥を放置したまま成田空港の開港を主張する人物が、空港公団総裁として適任であるとする理由を明らかにされたい。
二 都心と成田空港を直結する専用道路の建設状況に関して、首都高速九号線(箱崎〜辰巳)、首都高速湾岸線二期区間(辰巳〜浦安)、首都高速湾岸線四期区間(浦安〜市川)及び東関東自動車道鹿島線(市川〜宮野木)の各々について、以下の事項につき明らかにされたい。
 (1) 必要となる用地の確保されている割合いについて
 (2) (1)で未収用の用地があればその理由及び用地取得の見通しについて
 (3) 沿線住民による反対があれば、その地域名及び反対の理由について
 (4) 沿線自治体の了解が得られていなければ、その自治体名及びその理由について
 (5) 供用開始の時期及びその見通しについて
 (6) 供用後、日常的最悪時に要する通過時間について
 (7) 供用後、日常的最悪時における最大処理能力について(例えば単位時間当たりの通過台数)
 (8) 建設及び管理の責任者について
 (9) 総需要抑制にかかわる政府の方針の影響について
 (10) 建設費の総額について
三 都心と成田空港とを短時間で結ぶ高速鉄道として不可欠のものと主張される新幹線について、以下の事項につき明らかにされたい。
 (1) 必要となる用地の確保されている割合いについて
 (2) (1)で未収用の用地があればその理由及び用地取得の見通しについて
 (3) 沿線住民による反対があれば、その地域名及び反対の理由について
 (4) 沿線自治体の了解が得られていなければ、その自治体名及びその理由について
 (5) 供用開始の時期及びその見通しについて
 (6) 輸送能力について
 (7) 建設及び管理の責任者について
 (8) 総需要抑制にかかわる政府の方針による影響について
 (9) 建設費の総額について
四 成田空港のアクセスとして本来第二次的な輸送機関としてあつた京成電鉄と国鉄在来線の二つの鉄道輸送及び首都高速六号線、同七号線及び京葉高速を東関東自動車道鹿島線(宮野木〜成田)に結ぶ道路輸送による方法が、未完成の高速輸送機関の代替として用いるとされている。成田空港のアクセスとして本格的に用いるには、このいずれにも本質的な問題があることは、その建設の目的からして明らかである。
  政府は、かかる代替輸送手段を成田空港のアクセスとして用いることにどのような問題が発生すると考えているか。この時点での政府の認識能力を明らかにしておきたい。問題がないとするなら何も高速輸送機関を新たにつくる必要はなかろう。
五 京葉道路の混雑緩和対策として、原木〜幕張間の湾岸道路(一般道路部)の整備を急いでいるとのことである。この件に関して、以下の問いに答えられたい。
 (1) かかる湾岸道路の整備により、京葉道路の混雑が緩和され、渋滞がなくなるならば、その理由を明らかにされたい。
 (2) 渋滞の存在と潜在需要との関係について、どのような認識を持つているか。
 (3) かかる湾岸道路(一般道路部)の整備が完了する時期はいつか。
六 京葉道路につらなる首都高速七号線と同六号線の予想される混雑、渋滞の状況及びその原因と対策を明らかにされたい。
七 空港利用人員(旅客、送迎客、見学客、従業員、その他)の往来を道路輸送と鉄道輸送に対して、どのようにふりわけて考えているのか。路線バス(箱崎〜空港)、マイカー、京成特急、京成急行及び国鉄在来線にわけて、昭和五十年から同五十五年にかけて、年度毎にそれぞれの輸送人員を明らかにされたい。
八 国鉄在来線(総武線快速電車)と連絡バスによる輸送について、以下の問いに答えられたい。
 (1) 津田沼〜千葉間の複々線化工事の完成なくして快速電車は最大何列車の運転が可能となるか。
 (2) 快速電車の成田駅到着後、連絡バスは一列車につき何人乗りバスが何台必要となるか。
 (3) 快速電車の成田駅到着後に出る最後の連絡バスはこの快速電車の到着の何分後か。
 (4) 連絡バスは国鉄成田駅からどのような経路をへて空港へ到着するのか、また、所要時間はどれほどか。
 (5) かかる連絡バスを成田市内道路を通過させることにより成田市民の日常生活はどのような影響が出ると考えているか。
九 京成電鉄による輸送について、以下の問いに答えられたい。
 (1) 空港駅とターミナルビルとの距離が、およそ一キロメートルあると聞く。利用客を歩かせるつもりか、連絡バスでも運転するつもりか。
 (2) 空港駅とターミナルビル間の連絡のための所要時間は最悪の場合何分か。
 (3) 一日片道十九本の空港特急をノンストップで走らせ、更に急行電車等を走らせることにより一日片道四万人の輸送力があると豪語されるが、かかる事態の発生せしめることにより、日常的に京成電鉄を利用している沿線住民及びその関係者はどのような影響を受けると考えられるか。
 (4) 空港駅を終着とする急行電車は一日に片道何本運転されるか。
 (5) 青砥〜津田沼間が過密ダイヤルになる心配はないか。
 (6) 空港特急や空港急行のため待避させられることにより、沿線利用客はどの程度所要時間が平均的に増加すると考えられるか。
十 道路輸送による所要時間は不安定であり、比較的確実な輸送時間を保証する鉄道輸送、とりわけ京成電鉄の空港特急ですら空港駅からターミナルビルまでの所要時間を合わせて考えるとアクセスに要する時間は二〜三時間になるとするのが当を得たものといえよう。以下の問いに答えられたい。
 (1) アクセスタイムに二〜三時間が必要とされるかぎり、成田空港は、新東京国際空港と呼ぶよりも千葉国際空港と称すべきではないか。
 (2) 例えば羽田から国内線で大阪国際空港へ行つて国際線に乗る方が容易で、かつ、速いとは考えられないか。千歳空港を国際空港とした場合はどうか。
 (3) 成田空港が千葉国際空港であるかぎり、既に締結されている航空協定の対象外であり、また最近話題の日中航空協定の対象外となるが、政府の考えはどうか。

 右質問する。





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