衆議院

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昭和四十九年三月十一日提出
質問第一三号

 成田空港周辺地域の航空機騒音に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年三月十一日

提出者  金瀬俊雄

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田空港周辺地域の航空機騒音に関する質問主意書


 飛行場周辺の航空機騒音は、ここ数年来の社会的な問題である。成田空港にあつても種々の「騒音対策」が講じられるとされているが、現地での実態をかんがみるに、航空機騒音による被害の受忍を強いられる予定者すなわち周辺住民の側に立つた本質的な解決策がたてられているとは考えられない。また住民を追い出すこと以外に抜本的な騒音対策が存在するとも思えない。そこで、成田空港周辺地域での航空機騒音に関する以下の諸点について政府の見解を伺いたい。

一 成田空港の離着陸は、騒音地域を極力せばめるため滑走路に対し、直進上昇、直進降下の航行方式で行われると聞く。かかる直進上昇、直進降下に関して昭和四十八年九月の定例県議会で行われた友納千葉県知事の答弁によれば、飛行高度が二千メートル以上の飛行の場合には、地上への騒音による被害又は影響は無視しえる程度であるから、成田空港を離着陸する航空機の飛行高度がおおむね二千メートル以下の場合に、かかる直進上昇、直進降下を行わせ騒音被害の低減をはかるとのことである。
 (1) 成田空港離発着コースに関し、運輸省と友納千葉県知事との間に右記のごとき了解(飛行高度二千メートル以下では、直進上昇、直進降下により飛行する)が成立しているのか。
 (2) 直進上昇、直進降下の離着陸方式は、成田空港の三本のすべての滑走路に適用されるのか。
 (3) 夏の風のない暑い日、成田空港A滑走路を北向きに離陸したモスクワ又はサンフランシスコ直行の乗客、貨物満載のB747型機は、直進上昇した場合高度二千メートルに達するまでにどれだけの距離を飛行するか。これは利根川を横切つてどの地点の上空にまで進むことになるのか。
 (4) 成田空港のC滑走路(横風用滑走路)用の南北二つのアウターマーカーの位置は、どの地点に予定しているか。
 (5) 成田空港のC滑走路を北向きに離陸する飛行コースは、大栄町を両断し、佐原市上空を低空で通過し利根川を横断する。また、この逆をたどつて進入着陸すると考えてよいか。
 (6) 成田空港のC滑走路を南向きに離陸する飛行コースは、富里村を両断し、八街町上空を低空で通過し、千葉市に達する。また、この逆をたどつて進入着陸すると考えてよいか。
 (7) 成田空港の離陸機は、その高度が二千メートルに達するまでは、異常事態でない限り旋回しないと考えてよいか。
 (8) 成田空港の離着陸飛行が、直進上昇、直進降下で行われることは、千葉県での騒音地域の広さを減少することに貢献すると考えられるか。逆に、茨城県へ騒音地域をおし広げることにならないか。
 (9) 茨城県稲敷郡及び竜ケ崎市等の住民に対しては、騒音対策は行われないのか。茨城県の住民を切り捨てるとすれば、その理由は何か。
 (10) 佐藤榮作前内閣総理大臣と友納千葉県知事との間で交わされた了解、すなわち「成田空港の騒音対策の実態に関しては前例にこだわらず、前例とせず。」については、現在どのようになつているか。どういう理由でそうなつているのか。
二 空港公団は、昭和四十七年四月に航空機騒音に関して昭和五十一年度の成田空港における離着陸回数をもとにして算出した結果を予測騒音コンター図として発表した。
 (1) この騒音コンターは、空港公団が直接算出したものか。それとも外部に発注して作成させたものか。後者の場合、その算出責任者名を明らかにされたい。
 (2) この騒音コンター図では、A滑走路に沿つて騒音コンターが、A滑走路側に引き寄せられる形になつているが、(A滑走路の西側)予測騒音コンターの算出基準は、航空機からの直線距離に基づくとされている。防音林や防音堤による効果が、この騒音コンダーの算出に影響しているとするならば、その影響の仕方の定量的な根拠を明らかにされたい。
 (3) (2)において、更にたとえ防音林や防音堤を作つたところで、滑走路末端においては、あるいは、おおむね三千メートルの離陸滑走及び飛行の後においては、航空機はこれらの防音林や防音堤よりはるかに高く達しているので遮音効果がないと考えられるが、現実的な定量的な検討としてどのような結論が得られているのか。
 (4) 進入着陸時に航空機は、通常接地後所定の地上滑走速度に減速されるまで短時間ではあるが、逆推力を作動させる。この逆推力は、離陸推力と同程度の騒音を発生すると考えられる。空港公団の発表した騒音コンターには、かかる事情が考慮されているか。
 (5) 着陸時の逆推力作動による騒音増を考慮した予測騒音コンターの算出について東京大学宇宙航空研究所の五十嵐寿一教授の助言を求めたことはないか。あるとすれば、その助言の内容は何か。
 (6) 五十嵐寿一教授又はNHK技術研究所の西宮元氏に成田空港の予測騒音コンターの算出を依頼したことはないか。
三 昭和四十九年度予算には、成田空港の第二期工事の予算が計上されている。二期工事により建設されるB及びC滑走路関係の騒音に対し、あらかじめ騒音コンターを公表し、的確な騒音対策を講じておく考えはないのか。その必要がないとするならば、それはいかなる理由によるか。A滑走路周辺での「騒音対策」にみられる失敗を踏襲させるのか。
四 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下「航空機騒音防止法」と呼ぶ)及びそれに基づく告示によれば成田空港のC滑走路に関しては、移転補償地域の指定がなされていない。
 (1) かかる指定がなされていないのは、いかなる理由によるのか。
 (2) 被害というならともかく、あえて障害というからには、航空機騒音にさらされることによつて受ける影響が履歴又は蓄積効果を持たず、一過性であるとの前提に立つているものと考えられるとしてよいか。
 (3) 成田空港のC滑走路の年平均の使用ひん度が少ない(例えば一パーセント)ということが、なぜ騒音対策等を不必要とする理由となりうるのか。
 (4) 騒音障害が一過性騒音に基づくとした上で、なお、かかる使用ひん度を年間ベースで平均的に算出するのにいかなる合理性を見出しているのか。
五 千葉県は、国又は公団の行う騒音対策が不備であるとして、民家の防音工事の助成策の騒音対策を行つている。かかる民家の防音工事は、千葉県当局者の言によれば国がやらないからやつているだけ、ともかく音をさえぎれば良い。資材の値上がり、家族の団らん、生活のことまでは現在の県の財政では考えられないとのことである。
 (1) 田中内閣の主張する福祉優先という言葉の意味、内容を、かかる防音家屋での生活を強いられる周辺住民の未来の生活環境に照らして明らかにされたい。
 (2) 航空機騒音防止法の改正により、民家の防音工事は、空港公団が行うことになるとされているが、千葉県による民家の防音工事に比べて生活環境の改善が期待されるのか。期待されるとすればその内容を明らかにされたい。
 (3) 民家の防音により、住民の全生活環境が航空機騒音による被害から保全されているとすれば、その理由を明らかにされたい。
 (4) 防音民家以外での生活環境の保全ということを損失補償という形で考えているのか。
六 政府答弁によれば、千葉県の行う民家の防音工事については、居住性に問題があるとされ、居住性について一層の改善を進めるべく国においても調査研究を行つているとされている。
 (1) 居住性の問題について、本質的な解決策があると考えているか。考えているとすれば、その理由について明らかにされたい。
 (2) 国において行われているとされる調査研究は、どこの研究機関で行われているか。責任者は誰か。また、かかる調査研究は精力的に行われているか。
 (3) かかる調査研究は、期限を切つた形のプロジェクト研究か。それとも成果をのんびり期して待つ大学における研究のようなものか。
 (4) かかる調査研究は、いつから始められたか。
 (5) おおよその調査研究の期限はいつか。
 (6) 現在まで投下された調査研究資金はいくらか。
七 空港周辺の学校で防音工事がなされている。教育環境は学校においても校舎の内外において規制されている。
 (1) 学校において航空機騒音による教育環境の破壊は、防音校舎により回復されると考えているのか。
 (2) 校舎外での教育環境について、どのように考えているのか。
 (3) 防音校舎は、別の形の教育環境の破壊をもたらすと考えていないのか。
八 騒音地帯で民家の移転が、集団で又は戸別に行われているが、その移転した先がさらに騒音地帯であるものがあるときく。
 (1) 騒音地帯へ移転することが、合理的な騒音対策であるとすれば、その理由を明らかにされたい。
 (2) 騒音地帯へ移転した民家は、何戸あり、それはどこか。具体的に明らかにされたい。
 (3) 移転対策となる周辺地域住民に対し、成田空港の設置決定時にあらかじめ騒音暴露のひどさを説明し、移転地域となることを伝えておいたのか。
九 成田空港の運用時間制限に関し、種々いわれている。
 (1) 成田空港の運用時間には、どのような制限が課されるのか。
 (2) なぜかかる運用時間制限が行われるのか。
 (3) かかる運用時間制限をもうけることは、新東京国際空港が、重要な国際航空路線の用に供することができるものであるということに抵触しないのか。その理由は何か。
十 成田空港の離着陸の航路として、銚子を経由する利根川沿いの飛行コースは認めないと、友納千葉県知事は昭和四十八年の六月の定例県議会で答弁している。
 (1) 成田空港の離着陸の飛行コースの決定に当たつては、関係する地元の自治体及び住民の同意を得て円満な形で決定されるのか。
 (2) 利根川沿いの飛行コースについては、友納千葉県知事のみならず飛行コース下の二市六町までも反対している。この飛行コースは用いられないとしてよいか。
 (3) 島田銚子市長によれば、運輸省が銚子市内にVORTACを設置する際に、銚子市上空は、成田空港の離着陸の飛行コースとはしないと説明したとされているが、運輸省はかかる説明をなしたのか。
 (4) 銚子市上空を成田空港の離着陸の飛行コースとはしないということで、銚子市の協力を得て銚子VORTACを設置し、成田空港の開港後銚子市上空がかかる飛行コースとして用いられるとすれば、運輸省が銚子市をだましたことになるが、そのように理解してよいか。
十一 空港公団は、航空機騒音対策と称して騒音対策委員会を組織している。
 (1) 騒音対策委員会が、今までに開催された日時、場所を明らかにされたい。
 (2) 騒音対策委員会において、地元委員からどのような要望、要求があつたか。項目別に明らかにされたい。
 (3) (2)における要望、要求に対してどのような対応がとられたか。また、その理由は何か。
 (4) 騒音対策委員会あるいはその運営に関して地元委員からどのような改善改革の要求がでているか。
 (5) (4)における要求に対して、どのような対応がとられたか。また、その理由は何か。
 (6) 騒音対策委員会が、有効に機能していないのはいかなる理由によるのか。その理由を明らかにされたい。

 右質問する。



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