衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和四十九年四月五日提出
質問第一九号

 新東京国際空港公団が犯した農地法に係る違法行為に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年四月五日

提出者  久保三郎

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




新東京国際空港公団が犯した農地法に係る違法行為に関する質問主意書


 新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)は、千葉港頭・成田空港間のいわゆる本格パイプライン施設及び成田市の土屋・吉倉間のいわゆる暫定パイプライン施設を設置するに当たり、農地法にいう農地転用に係る許可を受けずに設置工事に着手した。農地法第九十二条によれば、かかる違法行為に対しては、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処するとされている。
 昭和四十九年三月八日、衆議院予算委員会第五分科会において、衆議院議員土井たか子氏の空港公団の犯した違法行為に関する質問に対し、運輸大臣徳永正利氏は、「とにかく法律がある限りにおいては、法は守つていかねばならぬことは当然のことでございます。」と述べ、法を遵守する決意を表明している。
 そこで空港公団に係るかかる事態の存否、違法性の有無並びに関係する刑事及び行政責任について、政府の見解をただしたい。

一 暫定パイプライン施設の建設工事は、昭和四十八年十月一日付けをもつて開始された。工事は、まず測量作業から始め、続いて地質調査(ボーリング調査)にすすみ、更に資材搬入のための工事用道路の建設工事と続き、その後本格的なパイプライン埋設工事に入るとのことであつた。
 (1) 「千葉がだめなら成田があるさ」ということで、成田空港の航空燃料を暫定輸送計画により確保するという方針が決定してから一年以上も着工が遅れた理由は何か。かかる理由を個別的にできるだけ詳細に列挙されたい。
 (2) 着工が遅れた責任はどこにあるのか。それはなぜか。
 (3) なぜ昭和四十八年十月一日付けをもつて工事に着手したのか。
 (4) 必要となる法手続がすべて完了しないにもかかわらず工事に着手した理由を明らかにされたい。
 (5) 計画時より着工までに一年以上の猶予があり、この間に必要な法手続は、その意思さえあれば、すべて完了できるはずであるが、そうできなかつた理由を明らかにされたい。
 (6) 空港公団の法手続担当責任者に、その責任に堪える人材が配置されていないようであるが、その理由を明らかにされたい。
 (7) 空港公団総裁は、空港公団理事以下の各担当部局が相互に効果的な関係を保ちうるように業務のマネージメントをなしているといえるのか。その理由は何か。
二 暫定パイプラインの建設工事は、昭和四十八年十月二十六日付けをもつて中止された。
 (1) いかなる理由で空港公団は建設工事を中止したか。
 (2) 成田市農業委員会は、空港公団に対し、「原状変更をしてはならない」旨勧告した理由及びその時期を明らかにされたい。
 (3) 空港公団は、成田市農業委員会に始末書をなぜ要求されたか。また、それはいつか。
 (4) 空港公団は、成田市農業委員会に始末書を提出した理由、法的根拠、時期を明らかにされたい。
 (5) かかる始末書の要旨を明らかにされたい。
 (6) かかる始末書は、誰から誰にあてられたものか。
 (7) 昭和四十八年十一月十六日、成田市農業委員会において、空港公団副総裁が、「今回転用許可を得ないまま工事をすすめたことは、農業委員会の立場をけがしたことばかりか、公団の信用をも傷つけたことになり、全く申し訳ないと思つています。今後は二度とこのようなことがないよう注意します。」旨陳謝したと報じられているが、山本力蔵副総裁に係るこのような発言は事実か。
 (8) 空港公団が、成田市農業委員会から再度始末書を要求された理由は何か。
 (9) (8)における始末書について、その要旨、提出した時期、あて先及び責任者名をそれぞれ明らかにされたい。
三 次に、暫定パイプラインの建設工事に関係する農地の転用について質問する。
 (1) 空港公団は、かかる農地転用の許可をいつ得たか。
 (2) かかる農地転用の許可は全部で何件か。
 (3) (2)のうち農地転用の許可を受けずに農地を農地以外の目的に用いたところはどこか、すべてを列挙されたい。
 (4) 空港公団は、このような農地転用に係る事態について、監督官庁である運輸省に報告をしたか。その時期及び内容につき明らかにされたい。
四 次に、本格パイプラインの建設工事に関係する農地転用について質問する。暫定パイプラインの建設以前に行われた本格パイプラインの建設工事においても、空港公団は農地の転用許可を受けないで工事に着手した。
 (1) かかる農地転用の許可を受けないで工事に着手したところはどこか。そのすべてを列挙されたい。
 (2) かかる事態が発覚したとき、空港公団は関係する地方自治体に対しどのような処置を講じたか。
 (3) 空港公団は、本格パイプラインで犯したあやまりを、なぜ暫定パイプラインで繰り返したか。空港公団のもつ組織的欠陥のゆえなのか。
五 次に、空港公団の犯した農地法に係る違法行為に関する刑事責任について質問する。
 (1) 緊急を要する公共事業であるならば、法手続を無視してよいとする理由があれば明らかにされたい。
 (2) 通常、緊急を要する場合の法手続の簡略化については、対応する法律にその旨の明文化された規定があるが、明文化された規定がなくても法手続を無視してもよい場合はいかなる場合か。
 (3) かかる違法行為には、農地法第九十二条により、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する旨の罰則が用意されているが、かかる違法行為(犯罪)が時効となる期限はいつか。
 (4) 刑事訴訟法第二百三十九条第二項によれば、官吏又は公吏はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発をしなければならないと、関係する官僚に告発することを義務づけている。空港公団によるかかる違法行為に対して、告発人となるべき官僚は、その監督を義務づけられている運輸省か、それとも農地法の所管に係る農林省が適当か、政府の見解はどうか。
 (5) いつまでに告発を行わせるのか。
六 次に、空港公団の犯した農地法に係る違法行為に関する行政責任について質問する。空港公団総裁今井榮文氏は、昭和四十八年十一月六日、千葉県議会の総務・企画、土木・都市両委員会協議会に出席し、かかる違法行為について私自身を含め関係者の処分を慎重に検討している旨述べている。
 (1) かかる発言は通常、責任能力を有する者によつてなされるが、この「関係者の処分」は、現在までにどのように行われたかにつき明らかにされたい。
 (2) 空港公団がその内部で処分を行うのは当然であるが、監督責任を有する運輸大臣はかかる違法行為に対して行政上どのような処置を講じたか。
七 暫定パイプラインに関係する農地の転用許可は、千葉県知事により昭和四十八年十一月十七日に行われ、成田市農業委員会より同月十九日に空港公団に通達された。
 (1) 暫定パイプラインの建設工事は、緊急を要する公共事業であるとするならば、その理由を明らかにされたい。
 (2) 農地転用の許可を受けていないがゆえに中止された暫定パイプラインの建設工事が、許可を受けてもすぐ開始されなかつた理由は何か。急いでいたわけではないのか。
 (3) なぜ、空港公団は成田市農業委員会及び千葉県農業会議に農地転用の許可をいそがせたのか。
八 空港公団に、新東京国際空港を適法に設置する能力があるとするならば、その根拠、理由を実態に即して詳細に述べられたい。
九 空港公団が内部的に的確にマネージされているとするならば、その根拠、理由を実態に即して詳細に述べられたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.