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昭和四十九年五月二日提出質問第二四号
沖繩の復帰に際し米国に使用を許す施設及び区域から除外された軍用地の処理に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十九年五月二日
提出者 安里積千代
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
沖繩の復帰に際し米国に使用を許す施設及び区域から除外された軍用地の処理に関する質問主意書
沖繩の復帰前、軍用地として米軍に使用せしめていた牧港補給地区の一部、浦添市字小渡二番外四一筆(五八七三坪、地主二六人)は、千九百七十二年五月十五日、日米合同委員会における合意に基づき、米国の使用する施設及び区域から除外された旨、地主等は同年九月一日付文書で那覇防衛施設局長から通知を受けた。
右土地は、沖繩返還協定第三条に基づき、米国に使用を許す施設及び区域に関する了解覚書A表五六の牧港補給地区中に含まれていたと理解していたし、復帰の際又はその前に使用を解除されるC表にはその表示はない。また、五月十五日の官報の告示にも牧港補給地区から除外された趣旨はうかがわれない。現に復帰後も防衛施設庁との間に賃貸借契約の手続が進められていた実情にかんがみ、政府としても提供地域に含まれていると解していたのではないかと思われる。
軍用地から解放されたことは地主にとつて歓迎するところであるが、同土地には復帰前の軍用地時代からVFWクラブの施設があり、同施設の所有者によつて現に占有されている。
米国に提供する地域から除外されても、その地上施設が撤去されなければ土地は地主に完全に返還されたとはいえない。復帰後二か年経過した今日まで地主は米国が容認してきた施設の存在により現実に土地の回復ができない状況にある。本件については、関係者より政府に対し要請が繰り返されているはずである。
よつて、次の諸点につき質問する。
二 除外の合意がなされたとすれば、当然、従来軍用地の一部として使用せしめていたVFWクラブ施設に対する処理についても協議がなされた上の合意であつたと考えられるが、その合意の内容を明らかにされたい。
三 施設の撤去についてなんら協議がなかつたとすれば、その撤去を含む完全返還について日米両政府いずれに責任があるのか。
四 米国に対するすべての請求権を放棄した中に本件のような事態も含まれていると解しているのか。その場合、政府はその後の処理につき除外されたということを通知するだけでなんらの責任もなく、単に地主と不法占有者間の問題と考えているのか。(提供地域から除外されたことが明らかにされたのは復帰後三か月以上も経過してからである。)
五 単に法的解釈上の問題でなく施政権を米国に与えていたこと及び沖繩返還協定、安保条約ないし行政協定等政府の施策に関連して起こつている問題で日米両政府ともに解決すべき政治的責任があると思料する。政府はどうする考えなのか。
右質問する。