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昭和四十九年七月三十一日提出
質問第八号

 政府の緊急物価対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年七月三十一日

提出者  堀 昌雄

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




政府の緊急物価対策に関する質問主意書


 田中内閣成立以来の異常なインフレ物価高によつて、国民の生活は重大な危機に直面している。この二年間に、卸売物価は五十パーセント以上、消費者物価は三十五パーセント以上も暴騰しており、この物価の高騰を抑えることが国民生活擁護の最重点課題である。当面の緊急物価対策として以下の諸点について、政府の明確な回答を求めたい。

一 政府は総需要抑制を物価安定の基本政策にすえ、今後も堅持する方針が明らかにされている。しかし、総需要抑制は、我が国の経済・産業構造の転換政策を伴わない限り、その弊害を中小零細企業をはじめとする経済的弱者層に集中させることは避けられないのである。
  従つて、いまや、総需要抑制といつた一般的政策から、個別的、選別的需要抑制に転換し、生活必需物資の安定的で低廉な供給を確保するとともに、本四架橋、高速鉄道など不要不急の需要を抑えることが、今日緊切な課題となつている高度経済成長路線からの脱却と産業構造転換のための槓杆となりうると考えるが、政府の見解を聞きたい。
二 勤労国民がインフレ物価高に苦しんでいる一方で、大企業・大商社は膨大な利益をあげ、このため、企業悪との厳しい指弾の声も出てきている。企業の無節度、横暴な利潤追求を抑え、経済の民主化を実現するには、独占禁止法の改正強化が必要である。高度に独占化、寡占化の進んだ我が国経済においては、巨大企業の分割、価格カルテルに対する価格の値下げ命令権、更に、金融会社、総合商社の株式の取得・保有の制限強化などを骨子にして現行独占禁止法を改正すべきだと考えるが、政府の方針と決意を伺いたい。
三 六月一日から平均五十六・六パーセント値上げされた電力料金をはじめ、新聞代、私鉄運賃等の各種公共料金値上げは、物価高騰に拍車をかけている。そのうえ、十月一日からは国鉄運賃、消費者米価の引上げも予定されている。政府は、国鉄運賃、消費者米価の値上げ半年延期に当たつて、値上げは物価の動向をみて判断すると言明していたが、現在の物価は値上げを容認できる情勢ではない。
  政府は、三十七・四パーセントの生産者米価の引上げを口実に大幅な消費者米価の引上げをもくろみ、大平大蔵大臣の「消費者米価引上げは総需要抑制にも適う」との不穏当な発言も伝えられている。当面、国鉄運賃、消費者米価の値上げを中止し、併せて、すべての公共料金の値上げを中止する考えはないか。また、国民生活の実情を無視した大蔵大臣の発言の真意を明らかにしていただきたい。
四 今年度一兆四千五百億円の所得税減税も名目だけの賃上げと物価高の中で、実質増税となつている。当初指摘した重役減税、高額所得者減税の矛盾が一層明白になり、社会的不公正、不平等は拡大している。インフレ下の実質増税を救済し、税制の所得再分配機能の強化こそ早急な税制改革の課題である。国民的税制改革を展望する中で、さしあたり、生活費非課税の原則に立つて四人家族年収二百三十五万円まで無税となるよう年内に税額控除方式による一律五万円程度の所得税減税を実施すべきである。実質増税による自然増収は今年度一兆円を大きく上回ることは確実である。
  政府の「年度内減税は行わない」との方針は、勤労国民のインフレ収奪の苦しみを無視し、救済の手段を放棄する悪政と考える。年内減税実施の意思がありやいなや尋ねたい。また、インフレで目減りする勤労国民の零細預貯金保護のため十パーセント程度の預金金利を設ける考えはないか伺いたい。
五 政府は、六月一日から、生活保護基準、社会福祉施設の措置費及び失対賃金について、対前年度比で六パーセント分を当初予算に上乗せした。これは、本年三月、四月期の消費者物価上昇に対応するものと説明されてきたが、その後の物価上昇に対応する引上げ措置を行うべきである。また、これら行政権限で取り得る措置の外、各種の公的年金をはじめとする現金給付についても、速やかに法改正を行い、インフレからいわゆる社会的弱者を守るため、最善を尽すべきであると思うが、政府の考えを聞きたい。

 右質問する。





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