衆議院

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昭和五十年五月十三日提出
質問第一八号

 新東京国際空港建設に係る基本計画及び工事実施計画に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十年五月十三日

提出者  竹内 猛

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




新東京国際空港建設に係る基本計画及び工事実施計画に関する再質問主意書


 新東京国際空港建設に係る基本計画及び工事実施計画に関する質問に対し、過日、答弁書(内閣衆質七五第一三号)の送付を受けた。これらの回答は、根拠が不明確、論理が不十分、また責任が回避されていると思われる部分があるので、若干の質問を追加して、前回と同様の趣旨の下に、再度政府の見解を質したい。
 なお、用語の省略法については、頭書の質問主意書の例による。

一 基本計画に関する答弁について
 (1) 昭和四一年一二月二日、公団法第三九条第一号の規定により大蔵大臣と運輸大臣との間で行われた協議の内容とその結論につき、そのすべてを具体的に明らかにされたい。
 (2) 公団法第三九条第一号の規定は、いかなる目的のために設けられているのか。
 (3) 成田空港の建設状況からして、右目的は達成されているといえるか。その根拠は何か。
 (4) 「基本計画に従つて建設されるものと承知している」なる答弁は無責任である。公団からの報告によるという形をとつたためか「承知している」などと他人の判断に依拠した答弁をしているが、基本計画に従つて建設されているのかどうかを運輸大臣自らの責任において明らかにされたい。公団法第三七条は、運輸大臣に公団に対する立入調査権を認めているのだから。
 (5) 右において、成田空港の建設状況が、基本計画を逸脱している点があれば、そのすべてを明らかにされたい。またその原因はそれぞれ何か。
 (6) 右において、大蔵大臣及び運輸大臣の責任は、公団法第三九条第一号の規定にかんがみてそれぞれ何か。
二 基本計画にある運用時間に関する答弁について
  右答弁において運用時間と運行時間なる用語を巧みに使い分けることにより、空港設置者としての責任を隠ぺいすべく、空港管理者としての責任のみを表面に出しているが、
 (1) 滑走路点検等により供用可能な状態を維持すること及び航空機の運航に際し、航空保安業務を提供することは、いずれもが、所定の運用時間の確保についての空港管理者の責任ではないのか。これらがなぜ空港設置者の責任にもなるのか。
 (2) 空港設置者の責任は、所定の運用時間が実現可能な様に運航、飛行、環境の各条件を考慮して、空港を建設することではないのか。
 (3) 答弁に「滑走路点検等」とあるが「等」とは何を指すのか。その内容のすべてを明らかにされたい。
 (4) 昭和四一年一二月二日の大蔵大臣との協議において、運輸大臣は運用時間を二四時間とする理由(必要性)についてどのように説明したのか。
 (5) 右において、運用時間の全体が、具体的な運航ダイヤの編成の対象となる時間とはなりえないことにつき、運輸大臣はどのように説明したのか。
 (6) 成田空港では、なぜ、運行時間を二四時間とする必要がないのか。
 (7) 成田空港では、なぜ、運行時間が二四時間となるような空港建設を行い得なかつたのか。
 (8) グローバルな視点で、成田空港のもつ地理的条件を考慮するとき、世界第一級の国際空港としては、運行時間は二四時間であるべきと思料するが、政府の見解はいかん。
 (9) 例えば、中国大陸発成田空港経由のアメリカ大陸行きの夜行便(中国大陸を二〇時〜二二時発として)は、成田空港では深夜便(二三時〜六時の間の便)となることはないのか。逆にアメリカ大陸から成田空港経由で中国大陸行きの早朝着の便は、同じく成田空港では深夜便となることはないのか。根拠・理由を添えて明らかにされたい。
 (10) 右深夜便を禁止することは、例えば中華人民共和国に対して、特にサービスの悪い国際空港となることはないのか。その理由は何か。
 (11) 基本計画で指示された空港敷地の面積で、同じく三本の滑走路を「具体的な運航ダイヤに従つて」二四時間航空機の離着陸の用に供するには、例えば、航空機騒音による環境破壊からして空港敷地が狭過ぎたということはないのか。その理由は何か。
 (12) 成田空港の深夜の発着について、所要の制限措置を講じるために、勘案したとされる諸外国の国際空港における発着時間の制限に関する実態につき、勘案の対象となつたすべての諸外国の国際空港とそれぞれの発着時間制限の内容を明らかにされたい。このうち一九七〇年代になつて開港した空港はどれか。
 (13) 「実態等」の「等」の内容は何か。そのすべてを明らかにされたい。
三 基本計画にある工事の完成の予定期日に関する答弁について
 (1) 用地買収については、ほぼ二年間で買収を完了できるものと考えた根拠として、「通常用地の買収に要している期間」として参考にされた事業名と用地取得に予定した期間、現実に要した期間及び事業遂行の前提としての民主的手続き(判例にみられる実体的概念として)の有無を、代表的な事業につき明らかにされたい。
 (2) 右において、土地収用法・公共用地の取得に関する特別措置法(以下「特措法」という)の適用は、前提とされたのか、また実際に適用されたのかについて、事業名ごとに明らかにされたい。
 (3) 成田空港の用地について、ほぼ二年で買収を完了できるとした判断には、土地収用法・特措法の発動を前提としていたのか。
 (4) 「滑走路Aに対応する諸施設とは、滑走路Aを供用するに必要な着陸帯、誘導路、エプロン等である」なる答弁において、「エプロン等」の「等」の内容は何か。そのすべてを明らかにされたい。
 (5) 滑走路Aに対応する諸施設として、あえて滑走路Aを供用するに必要な航空保安施設をあげていないが、なぜか。
 (6) 公団法第二一条によれば、基本計画は、同法第二〇条第一項第二号の航空保安施設の設置についても定めることになつており、同法施行令第三条第四号によれば、工事完成の予定期限を定めることになつているところからして、基本計画は、航空保安施設についても工事の完成予定期限を定めねばならないことになる。
     滑走路Aに対応する諸施設として滑走路Aを供用するに必要な進入灯などの航空保安施設を含めてはいけない理由があれば明らかにされたい。
 (7) 基本計画は、航空保安施設の工事完成予定期限につき定めているか。それはどんな内容か。
 (8) 基本計画の第四項に「その他必要な事業」とあるが、これは何か。そのすべてを明らかにされたい。
 (9) 例えば、航空機給油施設の完成予定期限につき、「空港の開港に支障を生じることのないよう滑走路、着陸帯等の建設工事の進ちよく状況に応じて施行し、完成するよう指導している」とのことであるが、航空機給油施設の完成予定期限が、当初から現在に至るまでどのように変遷してきたかについて、完成予定期限を変更した年月日とその変更内容のすべてを明らかにされたい。
 (10) 滑走路、着陸帯等の建設工事は完了しているにもかかわらず、航空機給油施設はまだ完成のめどもないと聞くが、運輸大臣の公団に対する指導が、適切ではなかつたからなのか。その他その原因は何か。
 (11) 右事実からかんがみるに運輸大臣には、法律上の権限にこたえるだけの公団に対する指導能力があるといえるのか。その根拠は何か。
四 基本計画の指示と工事実施計画の認可申請の関係に関する答弁について
 (1) 公団が、公団法第三章で規定される業務を正式に開始したのは、昭和四一年七月三〇日としてよいのか。さもなければ、それはいつか。
 (2) 「公団は、昭和四一年七月三〇日に発足しており、基本計画の指示を受けた同年一二月一二日までの間、四か月以上にわたり、成田空港の計画について運輸省との間で事前に緊密な連絡調整を図つていたものであつて、その間、予想される基本計画を前提として十分検討を尽くしたもの」とされているが、この間に進入灯などの航空保安施設やそのために必要となる用地についても、十分検討を尽くしたとしてよいのか。
 (3) 右において、滑走路Aに係わる進入灯の設置及びそのための用地についても、すなわち滑走路Aの南北両端からそれぞれ外側九百米にわたつて配置される灯火列のための用地の確保についても、十分検討を尽くしたとしてよいのか。
 (4) 昭和四一年七月三〇日以降運輸省と公団との間でなされた四か月以上にわたる成田空港の計画についての緊密な連絡、調整において、進入灯の設置場所について、また、その取得について、一体どのような検討がなされたのか。
 (5) 成田空港について、昭和四二年から用地買収に着手すれば、ほぼ二年間でこれを完了できると公団が判断した根拠は何か。
 (6) 右において、土地収用法や特措法の適用は前提としたのか。
 (7) 右において、土地収用法や特措法の発動は、いかなる条件が成立したときとされたのか。
 (8) ところで、成田空港の用地につき、用地取得完了の年月日、未完了であるならば、その理由と取得完了の予定の年月日、未取得用地処理についての現在の状況を、一期工事及び二期工事の別にそれぞれ明らかにされたい。
五 三つに分別される工事実施計画に関する答弁について
 (1) 航空保安無線施設のうち、VOR・DME・ILSには、設置基準(航空法第五五条の三第二項で準用する同法第三九条第一項で言及する同法施行規則第九九条)がないが、いかなる設置基準が用いられたか。VOR・DME・ILSにつき、用いられた設置基準の具体的な内容をそれぞれ明らかにされたい。
 (2) 成田空港に係る航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画についての認可の申請が、成田空港の工事実施計画についての認可の申請よりも、およそ三年も遅延した理由はそれぞれ何か。
 (3) 滑走路方向指示灯が、とりわけ千葉県成田市になぜ必要なのか。
 (4) 進入路指示灯が、とりわけ千葉県香取郡下総町になぜ必要なのか。
 (5) 右滑走路方向指示灯及び進入路指示灯と成田空港のA及びB滑走路との相対的位置関係を五〇万分の一の航空図に図示されたい。
六 工事実施計画にある工事の完成予定期限に関する答弁について
 (1) 「工事の完成予定期日は、空港建設反対運動等により公団による事業の実施に遅延が生じたため、逐次その期日を延伸し」と答弁しているが、航空法施行規則第八六条の二の規定によりなされたすべての工事実施計画の認可申請の期日、同認可の期日、それらに明記された工事の完成予定期日、工事の完成予定期日が変更されたものならば、その理由及び新規の完成予定期日の根拠をそれぞれ明らかにされたい。
 (2) 右において、「空港建設の反対運動等」とあるが、「等」とは何を指すのか。その内容のすべてを明らかにされたい。
 (3) 公団は工事の完成期日の遅延の責任を「空港建設の反対運動等」に転嫁しているが、なぜ、今更このような泣き言を並べるのか。公団には、成田空港を建設しきるという「根性」はもともとなかつたということなのか。その他、その理由は何か。
 (4) 「空港建設の反対運動」の存在は、空港の位置決定の時から予想し得たことではなかつたのか。なぜ予想しなかつたのか。
 (5) 「空港建設の反対運動」の存在を前提として、成田空港の建設という大型プロジェクトのマネジメントがなされていたわけではないのか。そうでないならば、その理由は何か。
 (6) 例えば、「空港建設の反対運動」の存在を前提として、工事の完成予定期日を定めたのではなかつたのか。その理由は何か。
 (7) 「空港建設の反対運動」の存在は予想したが、これを無視したとするならば、無視してもよいとした理由は何か。
 (8) 事業計画に重大な支障が生じるとする程の「空港建設の反対運動」がなぜ発生しそして存在するのか。
 (9) 「空港建設の反対運動」の現状はどうか。
 (10) 現在、開港(供用開始)の目途すら公表されていないが、いかなる「空港建設の反対運動」のためか。
 (11) 滑走路Aに対応する航空保安無線施設は、昭和四七年二月二九日をもつて完成したとしてよいのか。そうでないならばいつか。
 (12) 航空法第四二条は、完成検査につき定めているが、工事が完成したときは、遅滞なく検査を受けなければならないとされている。この「遅滞なく」とは、どの程度の日時を指すのか。
 (13) 滑走路Aに対応する航空灯火の種類のうち、どれが現在未完成なのか。いつまでに完成する予定か。
 (14) 「空港建設の反対運動」は、右未完成の航空灯火の建設に対し、どのような影響を与えたのか。
七 大型プロジェクト(大規模事業)のマネジメントについて
 (1) 草柳大蔵氏は「成田新空港ビルと原子力船「むつ号」は、工業化社会の未熟な運転がうんだ二つのロスというべきである」(旗本退屈男・運輸省 ― 文芸春秋・本年五月号)と明確に述べ、成田空港建設におけるマネジメントのつたなさを、原子力船「むつ」と並べて指摘しているようであるが、右指摘につき、政府の見解を明らかにされたい。
 (2) 原子力船「むつ」の放射線漏れ事件を生んだ開発体制の欠陥を調査中の総理府「むつ放射線漏れ問題調査委員会」(委員長・大山義年東工大名誉教授)は「開発を担当した原子力船開発事業団の能力が弱体で、単なる事務処理機関だつたうえ、それを黙認してきた科学技術、運輸両省庁の責任は大きい」という調査結果報告書をまとめ、三木首相に答申する(本年五月一一日付毎日新聞)とのことであるが、政府は、大型プロジェクトに対する運輸省のマネジメント能力につきどのような見解をもつているのか。根拠・理由を添えて明らかにされたい。
 (3) 大型プロジェクトのマネジメントはどうあるべきかにつき、成田空港建設を担当する運輸省及び公団の見解を次により明らかにされたい。
   (イ) 監督者の立場としての運輸省の見解
   (ロ) 事業者の立場としての公団の見解
八 成田空港の廃港条件について
  公団法第三八条は、公団の解散については別に法律に定めると規定している。政府は、成田空港の廃港の条件として、現在、どのような条件の成立を想定するのか。プロジェクト・マネジメントの見地から明確に述べられたい。

 右質問する。



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