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昭和五十年六月二十四日提出
質問第二四号

 引揚者の在外財産問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十年六月二十四日

提出者  受田新吉

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




引揚者の在外財産問題に関する質問主意書


 戦後三十年を経た今日、標題の質問主意書を提出せざるを得ないのは、引揚者給付金法は完結し、引揚者特別交付金は、昭和五十二年八月十五日をもつて完結するのであるが、政府は依然として法律の形式にこだわつていて、明確なる方針を打出さないからである。すなわち日ソ平和条約、日中平和条約が未締結なるが故に、私有財産問題は断定できないというのであるが、既にサンフランシスコ対日平和条約第四条において確定しているからには、それ以上我が国に有利な条件を獲得できるとは考えられない。殊に第二次世界大戦よりは交戦国は総力戦と規定しているのであつて、戦地又は占領地においてはヘーグの「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」は実際上適用されなかつたし、また、適用する意志は交戦国にはないのではないかと思われる。よつて以下の三つの項目について政府の見解を明らかにされたい。

一 「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」(一九一〇・一・二六発効へーグ)は現在も生きているのか。
 イ 右条約が現在生きているならば、これをじゆうりんした国家(戦勝国)の責任をいかなる機関が追及するのか。
 ロ サンフランシスコ対日平和条約第四条においてアメリカ政府及びその軍隊の処置を承認した日本政府の責任はいかにあるべきかを明らかにされたい。
二 引揚者の願望する次の四つについて政府の処置方針
 イ 引揚当時引揚港の税関に留置された物件は膨大なものであるが、これを一括して社団法人引揚者団体全国連合会に交付すると共に、その処理費を交付することを考えることはできないか。
 ロ 引揚時より三か月以内に在外私有財産の申告を政令により強制したことは当時の引揚者に対してか酷な措置であつたが、その申告書を総括して報告書を公表することは、将来のために有意と考えるが政府の見解を示されたい。
 ハ 台湾の引揚者がその私有財産を接収されたが、それを証明するために「清冊」を受領しているが、この清冊についての政府の見解いかん。
 ニ 在外財産処理終結を公表する方針を政府はもつているか。
三 国連への提訴
  全引揚者の指導者であつたし、今もそうである北条秀一、城戸忠愛両氏は今秋の国連総会に「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」の確認とその将来における保障について提訴するとのことであるが、政府は、これに対して物心両面より援助をするがよいと思うが考慮してもらえないか。

  右について参考として左のごとく附言する。
  第一次池田内閣に対して前記北条、城戸両氏は文書をもつて申し込まれた。その要旨は次のごとし。
一 在外財産問題は不十分だが、一応処理したと総理大臣は国会にて釈明すること。
二 将来かかることなきようへーグの陸戦条規を守るべきことを国連に提訴すること。

  これに対して大平正芳内閣官房長官は両氏に対して次のごとく回答している。
一 総理大臣が国会に釈明するには手ぶらではできない。
  右のような交渉があり、後年引揚者特別交付金法となつたものと北条、城戸両氏は受け取つている。しかしこの問題は世界の原則問題であり、お金を出せば後はどうでもよいというやり方であつてはならない。

 右質問する。





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