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昭和五十一年三月二十三日提出
質問第三号

 議院の国政調査権と公務員の守秘義務等との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十一年三月二十三日

提出者  松浦利尚

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




議院の国政調査権と公務員の守秘義務等との関係に関する質問主意書


一 日本国憲法第六十二条は、議院が「国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」ことを定め、これを受けて国会法第百四条は、「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」ことを定めるとともに、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律は、国政調査のため、証人として出頭又は書類の提出を求められた場合の応諾義務等を規定し、出頭、記録提出の拒否、宣誓、証言の拒否、偽証に対しては罰則を設けて調査の実効性の確保を図つているところである。
 国政調査権は、以上のように憲法及び右法律によつて強力な強制権限が与えられ、その有効適切な行使が保障されているものであり、議院又は委員会から審査又は調査のため、必要な報告又は記録の提出を求められた内閣、官公署等は全力を傾注して課せられた義務を果すことはもちろん、進んで国政調査に協力すべきものであると考えるがどうか。
二 国政調査権が、国政と全く関係のない個人や企業の私事に及ぶことがないことは言うまでもないが、調査権は広く立法、行政、司法各分野の国政全般にわたるものである。
 ただ、狭義の司法権である裁判については、国会と裁判所との間において多くの事実関係を通じて国政調査権の限界を示す慣行が生れていることもうなづけるところであるが、これをもつて国政調査権の制限とみることはできない。
 従つて、内閣等から公務員の守秘義務によつて、国政調査権の要求に応じられないとの申立がなされ、あるいは公務の適正な遂行に障害になるから国政調査権の要求に応じられないとの主張がなされたとしても、そのことによつて当然資料提出等の義務が解除されるものではないと考えるがどうか。
三 議院証言法第五条においても、公務員が職務上の秘密に関する証言又は書類の提出について、公務所等の承認が得られず、また議院及び委員会が当該公務所等のその承認を拒む理由の疏明を受諾することができないときは、「その証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる」ことになつており、従つて国政調査権による要求に対しては、「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」旨の内閣声明が発せられない限り、職務上の秘密である旨を主張して、証言又は書類の提出義務を免れることはできないと解するがどうか。
四 以下、公務員の守秘義務に関し、各事項について政府の所見を求める。
 (一) 国家公務員法第百条第一項により一般の公務員に守秘義務を課し、別に所得税法第二百四十三条は税務職員の守秘義務及び厳しい罰則を規定している。
     これらの法によつて、公務員の守秘義務に保護される行政庁側の秘密とは、本来、合理的、客観的な基準によるべきで、行政庁側の主観によつて便宜的に定められてはならず、知る権利を有する国民全体の納得を得るために、その範囲を限定的にとらえなければならないものと考えるがどうか。
     また、所得税法が特に税務職員について守秘義務の条項を設けたのは、これらの職員が特にその職務遂行上知り得る機会の多い納税者個人のプライバシーを保護するためであり、極めて狭義に解すべきと思うがどうか。
 (二) また、所得税法は第二百三十三条の規定により、高額所得者の申告所得額の公示の制度が設けられているが、これは納税者の利益のために課税の公平等を監視、確保しようとするもので、特殊な税法上の守秘義務を根拠にして、税務資料の公開を拒否する理由は極めて乏しく、税務資料提出拒否は国民の税務行政に対する不信を強めるのみで、税務署側の主観的判断、便宜主義に基づくものとの批難をうけてしかるべきものである。
     国会の調査要求の有無にかかわらず、むしろ納税申告に対しては、進んでその調査結果を発表し課税の公正さを証明することこそ、税務職員の義務であり、適正、公平な税務行政の展開について国民の理解を深め信頼を得る途であると考えるがどうか。
 (三) 刑事訴訟法第四十七条に公判開廷前における訴訟書類の非公開をうたい、同条但書において、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合には公開するものと規定されているが、国政調査権の発動による資料要求等があつた場合には、これに応ずることはもちろん、むしろ国民全体の利益のために公開されるべきものと思うがどうか。

 右質問する。





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