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昭和五十二年四月九日提出
質問第一六号

 新東京国際空港公団が犯した航空法違反とそれに対する運輸省の対応に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年四月九日

提出者  阿部昭吾

          衆議院議長 保利 茂 殿




新東京国際空港公団が犯した航空法違反とそれに対する運輸省の対応に関する質問主意書


 新東京国際空港公団(以下「公団」という)は、新東京国際空港を建設すると称して、現在までに数々の違法行為を「アウトロー」よろしく積み重ねてきているが、これら積み重ねた違法行為の数々には、国会における審議を顧みるとき、その一半の責任が、運輸省事務当局(以下「運輸省」という)にあると思えてならない。
 そこで、公団が犯した航空法違反に対する運輸省の対応の実態を明らかにした上、公団及び運輸省に監督責任を有する運輸大臣の御見解を賜りたい。

一 航空法令の解釈と運用に直接の責任を負う航空局長の同法に対する無知・無理解が顕在化しているようであるが、
 (1) 法令の運用については、通常、当該法令を所管する行政庁の解釈に従つて処理されるべきではないのか。しからざれば、法令の運用は如何なる行政庁の解釈に従つて、通常処理されるべきものなのか。
 (2) ところで、航空法令を所管するのは、運輸省航空局ではないのか。しからざれば、どこか。
 (3) 正に航空法令を施行するためにこそ、航空局が存在するのではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (4) しかるに、航空法令に対する無知・無理解は、同法令の適正な運用を阻害するのではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (5) 従つて、航空局長が航空法令に対し無知・無理解であれば、同法令の適正かつ公正な運用が行われないのではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (6) つまりは、航空法令の適正かつ公正な運用が行われないのであれば、航空局長としてその職責をまつとうしているとはいえないのではないのか。しからざればその理由は何か。
 (7) 要するに、航空局長がその職責をまつとうできないのであれば、その人事に誤りがあつたのではないのか。しからざれば他の原因を挙げよ。
二 昭和五十一年二月二十七日の衆議院予算委員会において、中村大造航空局長(当時)は、A滑走路三四側の航空灯火に係る七百五十メートルの移設工事について「航空法施行規則の規定によりまして、一般の設置基準と異なる方式による設置承認、こういうことで処理いたしております。」と悪びれず述べ、また「(工事)実施計画の変更認可はいたしておりません」とぬけぬけと答弁し、国会を愚ろうしているが、
 (1) 右航空局長は、航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画の認可手続きが事前手続きであることを理解できなかつたのか。しからば、何故か。
 (2) 右航空局長は、航空法第三十九条第一項第一号の規定が、航空法第五十五条の三第一項の規定の特例を定めるとでも判断していたのか。しからば何故か。
 (3) 右航空局長は、航空法施行規則第百十七条第二項の規定は、航空法第五十五条の三第一項の工事実施計画の変更認可手続きを定める運輸省令であるとでも判断していたのか。しからば何故か。
 (4) 右航空局長は、航空法施行規則第百十七条第二項の規定は、同規則第百二十一条の二の特例を定める規定とでも判断していたのか。しからば何故か。
 (5) 右航空局長は、航空法施行規則第百二十一条の二の規定だけが、航空灯火に係る航空法第五十五条の三第一項の変更認可手続きを定める運輸省令であるとは判断できなかつたのか。しからば何故か。
 (6) 右航空局長が、航空法令に対し、無知・無理解であつたことになるのではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (7) 航空法令に対し理解を深めようとしない。即ち、法令による行政(以下「法治主義」という)という認識を欠いた右航空局長の如き人物が何故航空局長という要職に配置されたのか。
 (8) 右航空局長はその後事務次官に昇格し、現在に至つている。法治主義を無視するような人物を何故運輸行政の元締めである事務次官に起用したのか。
 (9) 運輸事務次官という要職は、法治主義を無視するような人物でなければ勤まらないものなのか。しからば何故か。
 (10) 現運輸事務次官を何時まで、現在の職にとどめておくのか。その理由は何か。
三 昭和五十二年二月十五日及び同二十三日の衆議院予算委員会において、高橋寿夫航空局長は、A滑走路三四側の航空灯火を七百五十メートル移設した航空法違反の無認可工事について、昨年の予算委員会では、中村大造航空局長(当時)が無認可工事であると云いきつていたにも係わらず、これを素直に認めようとせず、殊更航空法第三十九条第一項第一号に係わる設置基準の特例に関する手続きを蒸し返し、いたずらに国会審議を空転させ、審議時間を浪費し、そして事前手続きの規定を踏みにじつたことに対し「やはり明確にした方がいいというところから」とか「やはり本格的に工事実施計画自体の変更認可をした方がベターではないか。」という認識しか持ち得ず、法治主義を否定し、従つて「(認可の前に)工事を完了した正確な時点をいまつかんでおりません」などと国会を愚ろうしているが、
 (1) 右航空局長は、航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画の認可又は変更認可が事前手続きであるということに対し、どのような認識をもつているのか。
 (2) 右航空局長は、航空法施行規則第七十九条第二項及び同第百十七条第二項による設置基準の特例を定める手続きにより、航空法第五十五条の三第一項の工事実施計画の変更認可の手続きを代行し得るとでも判断していたのか。しからば何故か。
 (3) 右において代行し得ないからこそ、誤つていたからこそ、違法工事であつたからこそ、事後的ではあるが、正規の手続きを踏もうとしたのではなかつたのか。
 (4) 右航空局長は、航空法第五十五条の三第一項の事前手続き規定に違反して、公団が無認可工事を行つたという指摘に対し、航空法第三十九条第一項第一号に係る設置基準の特例の手続きの説明をして、国会審議の時間を浪費させた目的は何だつたのか。
 (5) 右航空局長は、ILS(計器着陸装置)については、設置基準の変更の承認手続きなど一度も行われず、事後的ではあるが、工事実施計画の変更手続きがとられていたのを知らなかつたのか。しからば何故か。
 (6) 右航空局長は、ILSの変更工事について「工事の実施とただいま御指摘の施行規則によります承認との時間的な関係につきましては、実は、工事の完了しました時点について、私今日まだ正確に、は握しておりません」と答弁しているが、公団の犯した航空法違反の無認可工事が年来の問題であるにも係わらず、また事後的な処理をせざるを得なかつたにも係わらず、何故、事実関係を明らかにしておかなかつたのか。
 (7) 右航空局長が航空法令に対し、無知・無理解であつたことになるのではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (8) 航空法令に対し理解を深めようとすることなく、法治主義という認識を欠いた右航空局長の如き人物が、何故、航空局長という要職に配置されたのか。
 (9) 航空局長という要職は、法治主義を無視するような人物でなければ、勤まらないものなのか。しからば何故か。
 (10) 現航空局長を何時まで、現在の職にとどめておくのか。その理由は何か。
四 昭和五十二年三月三日の衆議院予算委員会において、高橋寿夫航空局長は、成田空港に係わる施設の一部が当初の空港敷地の外側に配置されていることに対し、「工事実施計画の変更認可申請は、その部分については必要ないと考えている」と答弁しているが、
 (1) 運輸大臣及び公団以外の者が飛行場を設置しようとする場合に必要となる許可手続きが、航空法第三十八条第一項以降に規定されているのではないのか。
 (2) 右において許可を受けた者が、当該施設につき、運輸省令で定める航空の安全のため特に重要な変更を加えようとするときの手続きが、航空法第四十三条第一項に規定されているのではないのか。
 (3) 右(1)及び(2)において許可を受けた飛行場に係わる施設であつても、航空法第四十三条第一項に定められる変更以外の当該施設の変更については、航空法は、変更手続きを必要としていないとしてよいのではないのか。しからざれば、その変更手続きの規定を明らかにされたい。
 (4) 航空法第三十八条第一項の規定による許可の手続きが適用除外となつている公団の航空法による手続きとして、同法第五十五条の三第一項前段の工事実施計画の認可手続きが法定されているのではないのか。
 (5) 航空法第四十三条第一項の規定による変更許可の手続きが適用除外となつている公団の航空法による手続きとして、右変更手続きに対応して、同法第五十五条の三第一項前段の工事実施計画の変更認可の手続きが法定されているのではないのか。
 (6) 航空法第五十五条の三第一項後段の規定による工事実施計画の変更認可手続きの規定は、工事実施計画に記載されている事項の変更の手続きを定めたものであつて、航空法第三十八条第一項以降で許可を受けた者には、これに対応する手続き規定がないという公団独得の手続き規定ではないのか。しからざれば、右変更認可手続きに該当する航空法第三十八条第一項以降で受けた許可の変更手続きを定める規定は何か。
 (7) 公団は現在までに何度か工事実施計画の変更認可の手続きを行つているが、変更しようとする事項の中には、飛行場施設として、雨水排水管渠、マンホールの構造、構内道路その他の施設が挙げられ、また、工事完成の予定期日や障害物件の存在なども変更認可の対象とされてきている。これらを航空法上変更認可手続きの対象とせねばならなかつたのは、航空法第五十五条の三第一項後段の規定があるからではないのか。しからざれば、その理由は何か。
 (8) 成田空港に係わる施設の一部が、当初の空港敷地の外側に配置されており、明らかに工事実施計画に記載されている事項が変更されているという状況にも係わらず、右航空局長は、殊更、航空法第五十五条の三第一項前段の変更認可の手続きの要件の内容、例えば、滑走路とか、誘導路、エプロンをとりあげることにより、同条項後段の規定による変更認可手続きが必要無いかの如くに対応し、国会審議を空転させている。成田空港敷地の拡張について、右航空局長は、航空法第五十五条の三第一項後段の規定による手続きが、必要ではないかとの指摘に対し、同条項前段に係わる変更手続きを対応させ、もつて変更手続きが不要であるかの如く答弁した理由は何か。
 (9) 右航空局長は、航空法第五十五条の三第一項前段による変更認可の手続きと同条項後段の規定によるそれとの違いについて、どのような認識をもつていたのか。
 (10) ところで、空港敷地の拡張に係わる航空法第五十五条の三第一項後段の規定による変更認可の手続きを何時までに公団に行わせるのか。
五 昭和五十二年二月二十三日の衆議院予算委員会において、田村元運輸大臣は、工事実施計画の認可申請及び認可書、これによる添付書類の提出につき、「なるべく早くお出しいたします。」と答弁され、その後松尾道彦新東京国際空港課長は、遅くとも、三月下旬までには添付書類を含め、用意できますとしていながら、それつきりとなつているが、如何なる事情によるのか。また運輸大臣は本件につき運輸省にどのように処置させるつもりか。

 右質問する。





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