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昭和五十二年八月一日提出
質問第一号

 伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年八月一日

提出者  渡辺三郎

          衆議院議長 保利 茂 殿




伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問主意書


 北海道電力株式会社(以下「北電」という)の伊達発電所は、その本体工事が既に完成しているとされているにもかかわらず、エネルギー源となる燃料の適正な安定供給手段を欠いたため、まだ電力の供給が開始されていない。この原因が適地判断の誤りにあるとの指摘もあることなので、以下、電気事業法(以下「事業法」という)を所管し、北電に対する監督責任を有する通商産業大臣の御見解を賜りたい。

一 公共事業用施設は、最適地に最適規模のものが作られねばならず、公共事業者がいい加減な判断でこれを行うとすれば、その罪万死に値すると思料するが、公共事業用施設の設置に係わる適地判断の重要性について、どのような認識をもつておられるのか。併せてその理由を示されたい。
二 伊達発電所の設置に係わり行われたはずの適地判断について
 (1) その妥当性(適正かつ合理的であること)に関し、どのような認識をもつておられるのか。
 (2) 右適地判断の対象(範囲)及び要件は何か。またその法律上の根拠規定は何か。
 (3) 右適地判断はどのような手続きにより行われたのか。またその法律上の根拠規定は何か。
 (4) 右適地判断において、経済性についてはどのように処理されたのか。
三 北電の電力供給業務に係わる昭和三十六年から同五十一年に至る実績について
 (1) 右各年間毎の総供給電力(キロワット時)は、それぞれどれ程か。
 (2) 右各年間毎に発生した総電力需要(キロワット時)を、民生用、産業用及びその他にわけるとそれぞれどれ程か。
 (3) 右各年間内における最大供給能力(キロワット)は、それぞれどれ程か。
 (4) 右各年間内における最大需要発生時における需要(キロワット)は、それぞれどれ程か。
四 伊達発電所の設置は、海面埋立てを必要としたと聞くが、同埋立てに係わる公有水面埋立法(以下「埋立法」という)二条による埋立免許等について
 (1) 右免許の取得及び申請の年月日並びに同免許に付された条件を示されたい。
 (2) 右免許に係わる伊達市議会の意見の内容を示されたい。
 (3) 右免許の際、埋立法四条一号による同意は得られていたのか。
 (4) 右同意に係わる者は、埋立法五条のどの号に該当する者か、そのすべてを示されたい。
 (5) 右免許の際、埋立法四条二号に該当すると判断されたのであれば、それに必要な北電の提示した根拠を示されたい。
 (6) 右免許に係わる埋立法六条一項による損失の補償総額、その算定根拠及び補償の支払いのあつた年月日を示されたい。
 (7) 同じく損害防止の施設の種類(内容)、そのための経費総額、その算定根拠及び施設の設置の完了した年月日を示されたい。
 (8) 右免許で指定された埋立工事の着手及びしゆん工の年月日を示されたい。
 (9) 右免許に係わる埋立工事が現実に着手され、またしゆん工した年月日を示されたい。
五 伊達発電所設置に係わる漁業法の手続きについて
 (1) 右設置により消滅の対象となつた漁業権及び入漁権の種類(内容)を漁業法六条及び同七条により示されたい。
 (2) 右漁業権及び入漁権の消滅による補償について、権利補償及び損失補償の別に、補償総額、その算定根拠及び支払い時期を示されたい。
 (3) 右漁業権及び入漁権の消滅は、どのような手続きにより行われたのか。法手続き上の経過を時期を添えて示されたい。
 (4) 右漁業権及び入漁権の消滅は、各権利者の書面による同意に基づくものか。
 (5) 昭和四十七年五月三十一日、伊達漁協では漁業権放棄が決議され、北電が補償として一億七千万円支払つたと聞くが、
   (イ) 右決議は水産業協同組合法五十条によるものか。またその手続きは書面によつたものか。
   (ロ) 北電が支払つた補償は権利補償だけか、それとも損失補償を含むのか。
   (ハ) 右補償の算定根拠及び支払いの年月日を示されたい。
   (ニ) 右補償において、個別補償の原則はどのように扱われたのか。
 (6) 昭和四十八年六月十七日、有珠漁協に対し、農業振興資金等として四億二千万円、同年八月二十八日、伊達漁協に対し排水溝の移転に伴う農業振興資金等として二億五千万円が北電より支払われたと聞くが、北電による右支出の法律上の根拠規定及び支払い額の算定根拠を示されたい。
六 伊達発電所の当初の給電開始の予定期日は、昭和五十年十月とされていたと聞くが、現在に至るも未だ給電が開始されていない。
 (1) 給電を開始するために必要な施設で、未だ設置が完成していないものは何か、そのすべてを示されたい。
 (2) 右の施設の設置が現在に至るも完了していない原因は何か。
 (3) 右原因が発生した理由は何か。発電所の設置位置に係わる適地判断の誤りということではないのか。
 (4) 伊達発電所の設置を必要とした理由は何か。現在でも変わりはないのか。
 (5) 右の設置の前提となつた北電の電力の需給予測を示されたい。
 (6) 伊達発電所向けの燃料の安定供給手段に代る暫定処置までして、給電を開始する必要はないのか。何故か。
七 伊達発電所の設置に係わる事業法上の手続き経過について
 (1) 事業法八条による変更許可及びその申請の年月日を示されたい。
 (2) 右許可において、発電所の位置に関する適地判断は、通商産業大臣が独自の責任で改めて行つたのか。
 (3) 右の適地判断において、燃料の安定供給手段についてはどのように処理されたのか。
 (4) 事業法五条の許可の基準は、同法一条の目的にある電気事業の健全な発達と公共の安全を確保し、公害の防止を図ることを前提として解釈・運用されるべきものとしてよいのか。
 (5) 事業法五条の六号基準は、健全な電気事業にあつては、公共の安全確保と公害の防止が適正かつ合理的に行われているということが要件となつているとしてよいのか。
 (6) 事業法一条の目的にある公害の防止は、同法五条の許可の基準では、どの号で実現されるものとしているのか。
 (7) 事業法三条による許可及び同八条による変更許可という法律行為は、公共の安全確保及び公害の防止という同法一条の目的にき束され、従つて、右許可に当たつては、安全審査及び環境審査を必然的に伴うとしてよいのではないのか。つまりこれらの審査は、右許可の法律上の要件として実施されなければならないのではないのか。
 (8) 伊達発電所設置の許可に係わる適地判断は、法律上の要件を満たすべく安全審査及び環境審査がその前提となつて行われたとしてよいのではないのか。
 (9) 右許可に当たり、電源開発促進法(以下「電発法」という)三条一項の基本計画はどのように扱われたのか。またその法律上の根拠規定は何か。
 (10) 伊達発電所の設置に係わる事業法四十一条による工事計画の認可及び申請の年月日を、関係するすべてについて示されたい。
 (11) 右において、何故、燃料の安定供給手段である室蘭・伊達間の石油パイプラインの設置を殊更別立ての認可対象としたのか。
 (12) 右の別立ての認可対象とするのは、法律上の要請に基づくものか。そうであれば、その根拠規定を示されたい。
 (13) 別立てとなつた石油パイプラインの工事計画の認可が、先行する本体工事の認可に比べ四年近くも遅延していると聞くが、遅延させた理由は何か。
 (14) 電発法二条による基本計画では、伊達発電所の給電の開始時期は、昭和四十九年十一月となつていると聞くが、給電開始に必要不可欠な石油パイプラインの工事計画の認可申請が昭和五十一年六月に入つてからと聞く。北電には、昭和四十九年十一月に給電を開始するという意志も能力もなかつたとしてよいのではないのか。それとも監督者たる通産省の責任か。
 (15) 事業法に係わる事務は、通産省のどの局、庁、部、課が担当しているのか。
八 伊達発電所の設置に係わる電発法の手続き経過について
 (1) 昭和四十七年十月十九日に開催された第六十回電源開発調整審議会(以下「電調審」という)において、伊達発電所設置に係わる基本計画が議決されたと聞くが、同議決の際、発電所設置の適地判断はどのように行われたのか。手続きと内容を示されたい。
 (2) 右適地判断において、燃料の安定供給手段についてはどのような議論が行われたのか。
 (3) 発電所設置に係わる電調審の議決の要件は、事業法五条の許可基準とはどのような関係にあるのか。
 (4) 電調審における発電所の位置の議決は、事業法の目的からして、公共の安全確保と公害の防止が適正かつ合理的に行い得る場所(適地)が選定されるとしてよいのではないのか。
 (5) 伊達発電所設置に係わる基本計画は、電発法三条によりいつ決定されたのか。また公表はどのような形で行われたのか。その内容を示されたい。
 (6) 電発法七条による損失補償が、伊達発電所設置に関し行われていれば、損失の種類(内容)、補償総額、その算定根拠及び支払いの時期を示されたい。
九 公共事業用施設の設置は、適地判断の外に最適規模判断もまた重要であることは既に指摘した。伊達発電所を構成する諸施設が適正かつ合理的でなければならないということである。施設に手抜きがあつたり、また余分なものが付加されたりしてはならないことはいうまでもない。そこで伊達発電所の給電開始に必要不可欠な燃料の安定供給手段たる石油パイプライン(以下「本件パイプライン」という)について、一点を取り上げ検証を試みたい。
 (1) 本件パイプラインの設置は、移送取扱所として消防法でも規制されるが、その安全性については、危険物の規制に関する政令十八条の二の一項からも明らかなごとく、事実上、石油パイプライン事業法(以下「パ事業法」という)の対応する技術基準により担保されることになつている。パ事業法に係わる事務は通産省では、どの局、庁、部、課が担当しているのか。
 (2) パ事業法制定当時の国会答弁では、パ事業法に係わる技術基準の設定は、学識経験者の意見によるとのことであつたが、同基準の解釈も最終的には、これら学識経験者の意見によらねばならないとしてよいのではないのか。そうでないのなら、その理由を示されたい。
 (3) 本件パイプラインに係わるホース・コネクションを殊更設置する目的は何か。
 (4) ホース・コネクション自体及びその設置目的を果たすために必要とされる措置のために要する費用の概算は、本件パイプライン全体でどれ程か。
 (5) 右ホース・コネクション設置のために必要な諸経費は、公共料金としての電力料金に、額の大小はどうであれ、貢献するものとしてよいのではないのか。
 (6) 北電は自社の電力料金を可能な限り低廉に維持できるよう、日常的に努力を積み重ねているとしてよいのではないのか。従つて、伊達発電所設置の場合も例外ではないとしてよいのではないのか。
 (7) ホース・コネクションは、配管のゆがみ、ひび割れ等の場合、緊急しや断弁を閉鎖した状態で、所要の区間毎に危険物(内容物)を水又は不燃性の気体で置換することを可能とする措置であるとしてよいのか。
 (8) その他ホース・コネクションの設置によつて保安上のメリットがいささかでも期待されるのであれば、これをすべて示されたい。
 (9) ホース・コネクションは、消防法に係わる技術基準上、法定要件として設置されるのか。そうであれば、その根拠規定を示されたい。
 (10) パ事業法に係わる技術基準告示(昭和四十八年九月二十八日付)の四十六条にある石油を除去するための措置は、表現が不鮮明であるが、要するに、相隣接した緊急しや断弁の区間の石油を、区間毎に独立に置換できる措置を講じる必要があるとしているのではないのか。
 (11) 右において、例えば、相隣接した二ではなく、相隣接した五の緊急しや断弁の区間の石油しか置換できない措置であれば、右要件を欠くとしてよいのではないのか。
 (12) パ事業法に係わる技術基準省令(昭和四十七年十二月二十五日付)の三十四条(石油除去装置)が、技術基準省令の体系の中で「保安設備等」と分類されているところからして、石油を除去することが必要となる場合として、パイプラインの構造等に異常事態が発生した場合も想定しているとしてよいのではないのか。
 (13) 右異常事態には、例えば、同省令五十四条のピク取扱い装置に係わるスフェアがパイプラインを通過できなくなる事態も当然含まれているとしてよいのではないのか。

 右質問する。





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