衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十二年十二月十日提出
質問第二号

 駐留軍労務費の一部負担問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年十二月十日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 保利 茂 殿




駐留軍労務費の一部負担問題に関する質問主意書


 政府は、在日米軍地位協定にさえ違反して、アメリカの在日米軍基地労働者の労務費負担に関する要求に応じようとしている。
 我が党は、先の本会議並びに委員会で、こうした態度を批判し、政府の見解をただしたが、政府の答弁は問題の核心に触れるのを避け、それに対する見解を明確にしていない。
 従つて、この際改めて次の事項について政府の見解を求める。

一 在日米軍地位協定第二十四条によれば、在日米軍を維持することに伴う経費(第二条及び第三条の施設及び区域並びに路線権を除く)は、すべて米側の負担で、日本政府は負担できないものと解するが、どうか。
二 労務費用の日本側負担について、福田総理は本年十一月十四日の参院本会議で、「地位協定の枠組みの中で結論が出る」と答弁しているが「地位協定の枠組みの中」とは、どういう意味なのか。「枠組み」なるものを形成する地位協定の根拠条項を示してもらいたい。
三 政府は、「地位協定の枠内」で検討した結果、労務費用の中で日本側が負担できる経費があると考えているのか。もし、あるとするならばそれは何か。その理由と法的根拠を明らかにされたい。
四 地位協定に基づく基本労務契約第四条にある労務費用のすべて、すなわち給与及び諸手当、社会保険料、児童手当に対する拠出金、旅費及び従業員の輸送費、医務費、安全及び衛生費、褒賞金、争訟経費、宿舎費、従業員の福利に関する経費、管理費、求人広告費は地位協定第二十四条第一項の「合衆国軍隊を維持することに伴う経費」に当然含まれると解するが、どうか。
五 駐留軍労働者の給与、諸手当、社会保険料などすべての労務費用は、日本政府が一時立替えて支払い、のちに米側から全額返済されることになつている。
  にもかかわらず労務費用のうち、労務管理費だけが米側から一定の金額(暫定基準額)しか返済されず、その基準額を超える経費については、日米間交渉にゆだねられ米側が合意したものについてのみさらに返済されることになつている。
  労務管理費だけが「暫定支払方式」をとつたうえ、さらに交渉にゆだねられているのはなぜか。その理由と根拠を明らかにされたい。
六 労務管理費について、少なくとも政府がこれまで明らかにした資料などによると昭和四十年度から四十六年度までの集計は、日本政府の立替え払いが六十九億八千八百万円、米側からの返済額が六十億六百万円で、未払いが九億八千二百万円ある。さらに昭和四十七年度から五十二年度までの集計では、日本政府の立替え払いが約百九億円、米側からの「暫定的返済」が二十三億四千七百万円である。米側の未払いが約八十五億五千万円ある。仮に昭和四十七年度以降については、暫定支払いであるとしても日本政府の立替え払いとの差があまりにも大きすぎるのではないか。しかも昭和四十七年いわゆる沖繩返還協定後、とくにこのようなことが顕著になつたのではないかと考えるがどうか。沖繩返還協定の際、日米間に取決めがあるのではないか。
七 在日米軍地位協定でさえも管理費である「調達労務管理事務地方公共団体委託費」は、米側が負担すべきことになつている。
  にもかかわらず、かかる経費については、米側の未払い分が昭和四十年度から四十六年度までの総計で九億八千二百万円にものぼつている。
  この未払い分について、本年十一月十八日の衆議院内閣委員会において防衛施設庁の古賀労務部長は「(米側に)償還を求めることはない」と言明している。
  こうした言明は、地位協定第二十四条第一項にさえ違反する不法な態度だと見なさざるを得ないが、どうか。
  返済を求めるべきだと思うが、どうか。
八 かかる労務管理費については、さらに昭和四十七年度から五十一年度までの未払い分が約八十五億五千万円もある。
  これら未払い分について、直ちに、米側に対し全額返済を求めるべきと考えるがどうか。いま、なお返済されていない理由を明らかにされたい。
九 「調達労務管理事務地方公共団体委託費」については、本年十一月十八日の衆議院内閣委員会での我が党の柴田睦夫議員の資料要求に対しても、昭和三十五年度から三十九年度までの分に関して、米側からの償還額を未だ明らかにしていない。
  政府は、右の年度ごとの米側からの償還額を明らかにされたい。
十 地位協定第十二条第五項で労働者の賃金、労働条件、権利等については、「日本国の法令で定めるところによらなければならない」と規定されている。
  さらに、国内法の「行政協定の実施等に伴う国家公務員法等の一部を改正する等の法律」(昭和二十七年法律第百七十四号)第九条は、賃金、その他の労働条件については「防衛施設庁長官が定める」とされている。
  以上のように、協定上からも当然在日米軍の基地労働者に対する賃金、労働条件、権利等については、雇用主である政府が自主的に決めることができるのである。
  にもかかわらず政府は、米側の賃上げの遅れや、格差給、退職手当の改悪など不当な押し付けを許してきている。
  このことは、政府の屈辱的な対米折衝の結果によるものと考えるが、どうか。
  また、米側の労働者に対する不法な行為を許し、これに屈することは、日本の国家主権に対する侵害と思うが、どうか。
  今後、このような不当な行為を許さないよう、自主的かつき然たる姿勢で対米折衝に当たるべきだが、政府の見解はどうか。
十一 政府は米軍によつて、労働者の生活と権利が著しく侵害されている事態を打開するために@退職手当、格差給など米軍の改悪案を撤回させるA給与改定については、とりあえず国家公務員と同時同率により、実施することを制度として確立させるB本年度給与改定については、人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に準じ、無条件で完全実施させるなど、米側と屈辱的対米折衝を改め自主的姿勢をもつて交渉し、直ちに実現させるべきと思うがどうか。
十二 労務費負担問題については、日米間の事務レベル協議若しくは政府間協議で合意されたのか。
   合意されたとすればその内容を明らかにされたい。
   まだ合意されていないとすればいつ頃される予定か。
   この問題の交渉経過と現在までの相互の主張を国民の前に明らかにされたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.