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昭和五十三年五月三十日提出
質問第四三号

 自衛隊の対潜哨戒飛行艇墜落事故に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年五月三十日

提出者  山原健二郎

          衆議院議長 保利 茂 殿




自衛隊の対潜哨戒飛行艇墜落事故に関する質問主意書


 本年五月十七日夜、海上自衛隊岩国基地所属の対潜哨戒飛行艇PS1(小笠原常雅機長)が高知県高岡郡檮原町松原の山中に墜落し、搭乗していた自衛隊員全員が死亡した。
 今回の事故は、十三名の乗員とその家族の不幸にとどまらず、四国住民の生命と安全、安保を優先させた四国海域の軍事利用の危険を改めて浮き彫りにした。
 防衛庁が今回の事故の原因等全ぼうを明らかにし、再びこのような事故を起こさないようにすることは国民に対して当然かつ緊急の責務である。しかし今回の事故に関しては、事故発生当初の海上自衛隊岩国基地当局の発表と、その後の海上幕僚監部の記者発表とで大きく食い違い、国民は真実について重大な疑惑を抱かざるを得ない。
 なお、防衛庁防衛局運用課の広中部員は、事故発生に至つた情況について本員に対し次のように説明している。
@ 五月十七日十九時ころ、高知沖で基本訓練を行つていた海上自衛隊第三十一航空群所属の対潜哨戒飛行艇五八一三号機が、浮上し航行する潜水艦と水上艦艇を発見。同二十時まで追跡したが国籍を確認できずそのまま訓練時間が終了したので帰還した。その際に第三十一航空群に国籍不明の潜水艦を発見したことを報告した。
A 同日二十一時十五分ころ、豊後水道での訓練を終え、岩国基地上空で訓練中の第三十一航空群所属の対潜哨戒飛行艇五八一二号機に対し、「国籍の確認のため高知沖に向かうよう」指令。同機は四国山地を越える経路で高知沖に向かつたが二十一時四十五分ころ墜落した。
B 潜水艦の国籍が判明したのは同日二十二時三十分ころであり、米軍に問い合わせた結果判明した。
 以上であるが、この説明からも疑惑は増大せざるを得ない。従つて次の事項について質問する。

一 墜落した海上自衛隊第三十一航空群所属五八一二号機の事故当日の行動・任務を明らかにすることは、事故原因の究明にとつて重要な問題である。次の点について詳細に明らかにされたい。
 1 五八一二号機の訓練内容、訓練地域、訓練時間を明らかにすること。
 2 同機機長(小笠原一尉)のパイロット経歴、PS1機の操縦時間、機長服務時間を明らかにすること。
 3 同機を、国籍不明潜水艦発見後二時間以上も経過した後に、また、発見した五八一三号機が発見水域を離れてから一時間以上経過した後に「国籍確認」のため派遣したのは何故か。
 4 同機への「指令」内容はどのようなものであつたのか。また、誰が指令したのか。
 5 同機の当日の飛行経路、事故の発生した時間及び確認に至る経過を明らかにすること。
 6 山に衝突した原因は何か。操縦ミスか、計器不良か、気流等気象条件によるものか原因を明らかにし、公表すること。
二 国籍不明潜水艦を発見した同所属の五八一三号機の行動には極めて疑問な点が幾つか残されている。また、浮上潜水艦及び同行水上艦艇発見後三時問半以上経過しなければ国籍が判明しなかつたのは理解に苦しむところであり、今回の事故は自衛隊の「対潜哨戒行動」の在り方にも問題があると考えられるものであり、次の点についても明らかにすることが必要である。
 1 五八一三号機の行動・任務について
  @ 五月十七日、国籍不明の潜水艦等を「発見」した五八一三号機の同日の訓練内容及び訓練区域、また、岩国基地を出発した時間、同訓練区域に至る経路及び国籍不明の潜水艦と同行している水上艦艇を発見した時間、発見地点(緯度・経度)について明らかにすること。
  A 国籍不明の潜水艦等の航行の方向、浮上し航行していたという同潜水艦の種類及び名称、同行していた艦艇の艦種及び艦名(ないし艦籍番号)、国籍について明らかにすること。
  B 同機(五八一三号機)が一時間以上追尾していながら国籍を確認できなかつた理由、また、同機が国籍不明の潜水艦を発見しながら一時間以上も報告しなかつた理由、同機が発見水域を離れた時間及び岩国基地に着水した時間について明らかにすること。
  C 同機を潜水艦の国籍を確認しないまま帰任させた理由及び第三十一航空群からの指令内容を明らかにすること。
  D 浮上潜水艦及び同行水上艦艇の国籍を確認するため採られた措置及び確認に至る経過を時間を追つて明らかにすること。
  E 自衛隊航空機は、航行中の米軍機や韓国機などの「同盟」軍機はもとより、浮上航行する艦船に対して敵味方識別装置を作動させるのが通常であるが、五八一三号PS1機はなぜ敵味方識別装置を使用しようとしなかつたのか。
  F 五八一三号機の行動及び五八一二号機の「国籍確認のため」の行動なるものの実際は、米第七艦隊と自衛隊PS1との対潜合同演習ではなかつたのか。
 2 岩国基地における「対潜哨戒作戦」の実態について
  @ 岩国基地に駐屯する海上自衛隊第三十一航空群及び第五十一航空隊の任務、所属人員、機種(機数も含めて)は何か。
  A 同群所属の通常訓練地域及び訓練内容、訓練日及び年間訓練回数を明らかにすること。
  B 公海上を国籍不明の艦船が航行していることを発見すると、自衛隊は国籍確認のための作業を必ず行うのか。その場合実施部隊に任務を命ずる地域は我が国沿岸から何百キロメートルの範囲までか。その任務の法的根拠は何か。
  C 過去五年間、通常ルートをとらないで、すなわち四国を横断して高知沖等に飛行した回数及びその経路、また、その理由を明らかにすること。
三 今回の事故からみて、自衛隊の訓練のため四国上空を飛行経路とすることは、四国住民の生命と安全を守る上から許されないことである。今後市街地等住民が多数居住している上空は飛行しないようにすべきであると思うが、防衛庁の見解を明らかにされたい。

 右質問する。





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