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昭和五十三年十二月十一日提出
質問第四号

 関西新国際空港の調査に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年十二月十一日

提出者  荒木 宏

          衆議院議長 保利 茂 殿




関西新国際空港の調査に関する質問主意書


 関西新国際空港については科学的調査を尽し、その結果について民主的討議を経て住民合意による決定を求める意見、また景気回復のために積極的に誘致を求める意見、更に地域環境を守るため絶対反対する意見など様々な意見が地域住民との間に交わされているところであり、科学的民主的な住民参加による調査をなすことはとりわけ重要になつている。
 かかる観点から関西新国際空港の条件調査については、たびたび国会質疑を重ね、また先に昭和五十三年六月十五日質問主意書を提出し、同年七月四日政府から答弁書を受理したところであるが、これらの経過にかんがみて此度新内閣発足に当たり、改めて次のとおり質問する。

一 現在候補地とされている泉州沖案が調査の結果具体的に不適当となつたときは、候補地の白紙撤回をする、また候補地の決定には地域の合意が必要であるとの原則については昭和五十年二月二十六日、同五十三年三月二日の各衆議院予算委員会分科会において担当大臣が明確に約束しているが、新内閣もこれらの原則を継承し確約するかどうか。
二 運輸省航空局は、最近関西新国際空港環境アセスメントの一環として調査した昭和五十三年一月一日から同年三月三十一日までの大気汚染測定結果を発表した。それによると二酸化窒素は〇・〇六一乃至〇・〇四六PPMであり、ザルツマン係数の変更を考慮すると〇・〇五三乃至〇・〇四〇PPM程度と推定されている。ところで泉州沖を候補地とする旨の航空審議会答申では、候補地決定の比較に当たり泉佐野市の〇・〇六PPM、神戸灘区は〇・〇四〇PPM、高砂市は〇・〇三六PPMとしてこの数値比較から二酸化窒素による大気汚染に関する限りは神戸沖と播磨灘には問題があり、泉佐野は問題が少ないとの結論を導き出している(同答申六十四頁参照)。
  しかし、この答申部分で示された航空審議会の結論がそれぞれ調査方法、調査期間を異にしており単純比較は適当でなく、また環境庁編集にかかる昭和五十二年版「日本の大気汚染」によれば、昭和四十九年乃至同五十一年を通じて泉佐野は〇・〇八八PPMとされ、かえつて泉州沖に問題があることは明らかであり、そのことは昭和五十三年三月二日の衆議院予算委員会分科会の質疑で環境庁の担当課長も肯定したところである。この度の運輸省の大気汚染測定結果の中間発表でも、二酸化窒素汚染に関する限り泉州沖が神戸沖や播磨灘より問題が多いことが裏付けられている。
  以上の事実に照らし前記航空審議会答申の候補地比較に関する要素のうち、大気汚染にかかる部分は誤つており是正すべきだと考えるがどうか。また条件調査の結果は総合的に判断されるとしても少なくとも前記部分については答申の再検討が必要だと思うがどうか。
三 また前記中間発表では光化学オキシダントは環境基準値を超えており、これも候補地として消極的要素になると思うがどうか。仮りに最終的には総合判断するとしても光化学オキシダントが環境基準値を超えていることは不適当要因として働く一要素になると思われるがどうか。
四 いずれにしても前記調査の結果今後更に科学的調査を重ねる必要性が裏書きされたが、この調査の行われた昭和五十三年の大阪府南部地方の気象状況は夏季は干ばつ冬季は冷害と異常であり、恒常的な状態を適格に把握するためには今後も相当期間の調査の継続が必要だと考えるがどうか。また今回の中間発表では浮遊粉じんについて適合・不適合の判断を避けており、人体への総合的影響も考慮の外におかれているが、将来にわたつて地域住民の健康保持の為にこれら諸点についても判断が可能となるような調査を実施することが必要だと思うがどうか。
五 先般開かれた第十回関西新国際空港調査懇談会に出席した運輸省担当官が、関西新国際空港の調査を昭和五十四年度に完了させたあと結果の評定を行い新空港の建設計画をまとめ、同五十五年度には調査結果を地元関係府県知事に示し、了解が得られれば同五十五年度末には閣議決定し、同五十六年度に着工、同六十年度前半には開港したいと表明した旨報ぜられている。
  しかしながら前記のとおり、現段階は科学的民主的条件調査を地元中心に進めつつある段階であり、しかも調査は始まつたばかりですでに前記のとおり幾つかの問題点が明らかになりつつある。従つて現在は住民参加のもとにその調査の誠実な実施に努力すべきであり、一応の調査予定が終了しても改めて問題が指摘されれば更に必要に応じて調査の続行・補充をなすべきである。従来政府自ら成田の教訓を生かして住民合意を得たいと明言してきている。
  かかる観点からすれば今の段階で政府省庁の一担当者が調査の終了時期を明言したり、いわんや計画の閣議決定時期、着工の時期などを特定すべきではないと考えるがどうか。
六 前記のとおり環境調査結果は中間発表されたが、社会条件調査や周辺地域調査の結果は何時頃どのような方法で発表するのか。また昭和五十三年七月四日付政府答弁書によれば「周辺地域整備計画の作成方法等については、関係地方公共団体の意向と自主的努力に配意し、必要に応じ、関係行政機関の連絡調整を図りつつ検討していく」と述べているが、これはその後どのように具体化されているか。

 右質問する。





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