衆議院

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昭和五十四年四月十三日提出
質問第二二号

 沖繩県の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する国の補償措置に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年四月十三日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




沖繩県の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する国の補償措置に関する質問主意書


 沖繩県における市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)は、第二次大戦中の沖繩戦と二十七年間にわたる米軍占領支配の下で引き起こされたものであり、戦後処理の重要課題の一つとして早期解決が強く求められている。
 これまでも、沖繩県民を初め沖繩県、関係市町村当局は、国の責任による市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の完全補償の措置を速やかに講ずべきことを繰り返し陳情してきたところである。
 政府は、昭和四十六年九月三日の閣議決定による沖繩復帰対策要綱(第三次分)に基づき特別措置を講ずるとし、復帰五年間を目途に補償することとしていた。
 にもかかわらず、今日、国及び県道未買収道路用地(旧つぶれ地)についての進捗状況は昭和五十二年三月末現在で、全体に比較し面積で二三・一パーセント、金額で一一・八パーセントしか補償されていないのが現状である。
 しかも市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)については、実態調査に六年以上の期間を費やし、この間補償についての基本方針をなんら提示することなく未補償のまま事態を推移させてきたのである。
 ところが実態調査が大づめにきた昭和五十三年十二月十四日の参議院沖繩及び北方問題に関する特別委員会で、三原沖繩開発庁長官は「一般の市町村道について十分の八」の補助率で対処したい」と答弁し、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償の処理方針を公式に明らかにしたのである。
 そして政府は昭和五十四年度予算に市町村道未買収道路用地(旧つぶれ地)分として十億円を計上したのである。
 しかしこの方針は、沖繩県民や沖繩県、関係市町村当局が求めていた全額国庫負担による補償措置を全く無視したものであるばかりか、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の発生原因をあいまいにして、国の責任を回避し関係市町村当局に新たな財政負担をしいるものだと指摘せざるを得ない。
 長年の懸案事項であるこの補償問題の解決は、土地所有者の所有権に基づく権利を回復するとともに、都市計画の推進、生活道路等の整備・拡充を可能にするなど県民生活の向上に資するという点で極めて重要である。
 昭和五十四年一月二十五日の衆議院本会議並びに参議院本会議で、大平内閣総理大臣は「沖繩の振興開発につきましても、その実情に応じて施策の充実を図つてまいる考えであります。」と答弁している以上、当然、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償については、発生の経緯、市町村財政の状況を十分考慮し国の一切の責任において補償措置を講ずるよう改めて再検討すべきだと考える。
 このような見地から次の事項について質問する。

一 昭和五十二年十二月十日の私の「市町村未買収道路用地(つぶれ地)の補償に関する質問主意書」に対する昭和五十二年十二月十六日の答弁書で、政府は沖繩県の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の発生原因について「現在までの調査結果によれば、米軍あるいは日本軍が建設したもの、自然発生的に道路となつたもの、市町村により建設されたもの、地区住民によつて建設されたもの等発生原因は区々であり、かつ、その区分も必ずしも明確に分類できないものが多い。」と答えている。
 1 この答弁は、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)が基本的には戦争と米軍の全面占領支配下の混乱によつて発生したものだという認識のうえに立つたものだと理解するが、どうか。
 2 また、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の発生は、現象的には(イ)自然発生的に道路となつたもの(ロ)市町村により建設されたもの(ハ)地区住民によつて建設されたことによるものが存在したとしても、それはやはり戦争と米軍占領の支配に起因するものだと考えるが、どうか。
二 沖繩県当局が作成した「市町村道潰地実態把握調査集計調書」(昭和五十三年三月十八日)によると、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)全体の面積は四百四十二万平方メートル、補償金額にして八百五十二億円(講和発効後に発生したもの六十九億円を含む。)に達している。
  沖繩開発庁の調査結果では、全体の面積と補償総額はいくらか。
三 昭和五十三年十二月十四日の参議院沖繩及び北方問題に関する特別委員会で三原沖繩開発庁長官が明らかにした方針は、沖繩振興開発特別措置法第五条第一項に基づく同法施行令第二条第一項 ― 別表一の市町村道の改築等の補助率を適用して、「一般」の市町村未買収道路(旧つぶれ地)については、国の補助率を十分の八とするということか。
四 一般に、市町村道は「幹線一級」「幹線二級」「その他」に区別されており、「幹線一、二級」とは、建設省の「幹線一級、二級市町村道選定基準」に基づき選定された道路で、国庫補助の対象となる。
  「その他」とは、同選定基準に該当しなかつた道路で、国庫補助の対象とならない。
  従つて、沖繩振興開発特別措置法第五条第一項に基づく同法施行令第二条第一項 ― 別表一の市町村道改築等の補助率の適用では、「幹線一、二級」市町村道についてさえ国の補助率は十分の八でしかない。
  しかも、残り十分の二に相当する分についてはもとより、全く国の補助対象とならない「その他」の市町村道については、すべて関係市町村当局の財政負担となる。
 1 これらについても関係市町村当局の財政負担に帰すべきではないと考えるが、どうか。
 2 もし、「その他」の市町村道を含めて具体的な措置を検討しているならば、その内容を明らかにされたい。
五 沖繩県当局が作成した「市町村道潰地実態把握調査集計調書」(昭和五十三年三月十八日)は、沖繩振興開発特別措置法第五条第一項に基づく同法施行令第二条第一項 ― 別表一の市町村道改築等の補助率十分の八を適用したとして、関係市町村当局の財政負担額を試算している。
  同調書によると市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の全体の面積は四百四十二万平方メートル、補償総額は八百五十二億円、このうち関係市町村当局の負担額は全体の六七・〇九パーセント、実に五百七十一億円、それに対して国の負担額は二百八十億円である(補償総額との一億円の差は四捨五入によるため)。
  試算の内容は次に示すとおりである。
 (1) 講和発効前に発生したもの
    イ 面積三百九十三万平方メートル
    ロ 補償額七百八十二億円
     補償額七百八十二億円のうち、国庫補助対象となる「幹線一、二級」市町村道の補償額は三百五十億円、対象とならない「その他」の市町村道の補償額は四百三十二億円である。
     「幹線一、二級」市町村道の補償額三百五十億円の十分の八に相当する国の負担額は二百八十億円、残り十分の二に相当する関係市町村当局の負担額は七十億円である。
     また、国庫補助の対象とならない「その他」の市町村道の補償額四百三十二億円は関係市町村当局の負担となる。
 (2) 講和発効後に発生したもの
    イ 面積四十九万平方メートル
    ロ 補償額六十九億円
     講和発効後に発生したものについては国が負担できないとしているので、この補償額六十九億円は関係市町村当局の負担として試算している。
     以上で明らかなように、関係市町村当局の負担額は七十億円、四百三十二億円、六十九億円の合計五百七十一億円となる。
 1 これでも政府は市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償措置について、あくまで国の補助率十分の八とするのか。
 2 この処理方針では、関係市町村当局への財政圧迫は必至だと考えるが、どうか。国の補助率を十分の十とする意思はないか。
六 沖繩開発庁が実施している市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の実態調査並びに沖繩振興開発特別措置法第五条第一項に基づく同法施行令第二条第一項 ― 別表一の市町村道改築等の補助率十分の八を適用した試算を、次の事項に基づき明らかにされたい。
 1 講和発効前に発生したもの
  イ 面積
  ロ 補償額
  ハ 「幹線一、二級」市町村道の十分の八に相当する国の負担額
  ニ 「幹線一、二級」市町村道の十分の二に相当する関係市町村負担額
  ホ 「その他」の市町村道の額
 2 講和発効後に発生したもの
  イ 面積
  ロ 補償額
  ハ 講和発効後に発生したものについて、国が財政負担できないとする根拠と理由を明らかにされたい。
七 昭和五十四年三月二日の衆議院予算委員会第三分科会で、自治省の森岡財政局長は「沖繩県の区域内におきます市町村道のつぶれ地につきましては、つぶれ地の生じた経緯と市町村の財政の状況から考えますと、いまお話しのように、私どもは全額国費でやるべきだという気持ちを同様に強く持つております。」とまで答えているのである。
 1 しかるに昭和五十三年十二月十四日の参議院沖繩及び北方問題に関する特別委員会での三原沖繩開発庁長官の国の補助率十分の八とする旨の答弁は、いかなる根拠と理由に基づくのか説明されたい。
 2 政府は、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償について、どういう認識をもつているのか、また、どういう姿勢でのぞむのか。
八 昭和五十四年三月二日の衆議院予算委員会第三分科会で、建設省の金子道路局市町村道室長は昭和五十四年度から「つぶれ地のうちの位置境界不明地域、これにつきましては、建設大臣が沖繩開発庁長官と協議いたしまして指定いたしました路線に対して十分の八ということになつております。ただ、不明地域という特殊な事情もございますので、その中で特別な事情がある場合には、国庫補助事業の翌年度におきまして、予算の範囲内でその必要経費を計上していく、交付金として見ていくというふうに考えております。」と答えている。
 1 これは、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法第二十二条第一項(財政措置等)に基づく同法施行令第十三条によつて指定された位置境界不明地域内の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の「幹線一、二級」市町村道については、十分の八を国庫補助で、残り十分の二に相当する関係市町村当局負担分についても、国の責任において一〇〇パーセント道路特別会計からの交付金で措置するということなのか。あるいは指定された境界不明地域内の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)について、いわゆる「幹線一、二級」、「その他」の市町村道を問わずすべてを対象とし、建設大臣と沖繩開発庁長官が協議し、指定した道路については同様の措置を講ずるということか、内容を詳しく説明されたい。
 2 もし措置するというならば、同交付金の対象となる道路面積及び額はいくらか。
九 市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の発生経緯は位置境界不明地域であるとないとにかかわらず、戦争と米軍の全面占領支配によるという同一の原因によるものである。
 1 しかるに、指定された位置境界不明地域内にある市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の市町村道(「幹線一、二級」市町村道に限ると思われるが)についてだけ、国庫補助と道路特別会計からの交付金によつて、事実上全額国費で措置するというのは不合理だと考えるが、どうか。
 2 もし、かかる措置を講じるということならば、指定された位置境界不明地域以外のいわゆる「一般」の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)についても同様の措置を講ずべきではないのか。なぜ、それができないのか、理由を明らかにされたい。
一〇 昭和五十四年三月二日の衆議院予算委員会第三分科会で、自治省の森岡財政局長は「市町村といたしましては、若干でも負担が生じました場合に財政的にそれに対応できないという事態が生ずるところも出てくる可能性もありますので、そういう市町村につきましては、個別に自治省が財源措置をし得る手段、たとえばいまお示しのような交付税などを含めまして対応してまいりたい」と答えている。
 1 沖繩県の関係市町村当局の今日の財政状況についてどういう認識をもつているのか。
   「財政的にそれに対応できないという事態が生ずる」と予想される関係市町村当局はどこか。
 2 この答弁は指定された位置境界不明地域以外の「一般」の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)の「幹線一、二級」市町村道について、しかも「財政的にそれに対応できないという事態が生ずる」関係市町村当局に限つて、十分の八を国庫補助で、残り十分の二に相当する関係市町村当局の負担分を国が「交付税などを含め」て措置するということなのか、内容を具体的に明らかにされたい。
 3 「交付税を含め」てとは、他にどういう財源措置を考えているのか。
   交付税で措置する場合は、十分の二に相当する関係市町村当局の負担分については一〇〇パーセント国が負担すべく積算するのか。
 4 いずれにしても、かかる措置は「財政的にそれに対応できない事態が生ずる」関係市町村当局と対象を抽象的な基準できびしく限定したうえ、しかも「交付税などを含め」てと答えているように、交付税だけでなく起債による方法も示唆していると思われ、不十分なものとならざるを得ない。
   これで予想される関係市町村当局に対する財政の圧迫を本当にふせぐことができると考えているのか。
一一 沖繩開発庁などは、沖繩県における現在の「幹線一、二級」市町村道は、昭和四十七年に選定されたものであり、この際「幹線一、二級」及び「その他」の市町村道を含めて見直し、弾力的運用による「格上げ方式」で国ができるだけ負担していく方向を考えていると聞いているが、もし考えているならば、その方法と内容を具体的に明らかにされたい。
一二 「格上げ方式」を採用する場合でも、「幹線一、二級」市町村道から県道への格上げは「都道府県道の意義及びその路線の認定」(道路法第七条)に基づき、「その他」の市町村道から「幹線一、二級」市町村道への格上げは「幹線一、二級市町村道選定基準」(建設省)に基づかなければならないとされている。
  例えば「幹線一、二級市町村道選定基準」(建設省)の幹線二級市町村道は、次のいずれかに該当するものとして@都市計画された補助幹線道路A集落(二十五戸以上、以下同じ。)相互を連絡する道路B集落と主要交通流通施設、主要公益的施設もしくは主要な生産の場を結ぶ道路C集落とこれに密接な関係にある一般国道、都道府県道または幹線一級市町村道とを連絡する道路D大都市または地方開発のために必要な道路などの条件を五項目挙げている。
  「格上げ方式」を採用したとしても、「都道府県道の意義及びその路線の認定」(道路法第七条)及び「幹線一、二級市町村道選定基準」(建設省)の条件を満たし格上げされるのは極めて限られたものにならざるを得ないと考える。
  従つて次の事項について明らかにされたい。
 1 「幹線一、二級」市町村道から県道に格上げされるもの
  イ 面積
  ロ 補償額
 2 「その他」の市町村道から「幹線一、二級」市町村道に格上げされるもの
  イ 面積
  ロ 十分の八に相当する国の負担額
  ハ 十分の二に相当する市町村負担額
 3 残された「その他」の市町村道の面積及び額
 4 もし、確答できないとするならば、現在の段階で格上げによつて新たに国が負担する額はおおむねいくらか。
 5 市町村道の見直し作業はいつ終了する予定か。
一三 市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償のうち関係市町村当局が負担すべきだとされているものについて、沖繩開発庁、建設省、自治省は@指定された位置境界不明地域内にある「幹線一、二級」市町村道の十分の二に相当する関係市町村当局の負担分に対する道路特別会計からの交付金A「一般」の「幹線一、二級」市町村道の十分の二に相当する関係市町村当局の負担分に対する地方交付税等B「その他」の市町村道を含む全体の見直しによる格上げの措置を検討しているようである。
 1 これらの措置によつて全体の補償総額のうち最終的に残る関係市町村当局の負担額はおおむねどのくらいになると試算しているのか。
 2 あるいはまた、関係市町村当局の負担額を最終的にどのくらいにするつもりか。
一四 国道及び県道未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償の進捗状況は、沖繩県当局の調べによると昭和四十七年度から昭和五十三年度まで全体に比較して面積で二三・一パーセント、金額にして一一・八パーセントと大幅に遅れている。
 1 特に県道未買収道路用地(旧つぶれ地)が遅れている原因と理由を具体的に説明されたい。
 2 今後補償の促進を図るために予算に計上する補償経費の増額を含め積極的に対処すべきだと考えるが、どうか。具体的な措置を講じていれば、それを明らかにされたい。
 3 国道及び県道未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償については何年をメドに全部を完了させる計画か。
一五 これまでも指摘してきたように市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償措置は、“つぶれ地”が第二次大戦中の沖繩戦と二十七年間にわたる米軍の全面占領支配の下で引き起こされたものであるという発生経緯を踏まえ、これが戦後処理の重要課題の一つとして位置付けるとともに、関係市町村当局の困難な財政状況も考慮して、国道及び県道未買収道路用地(旧つぶれ地)と同様国の責任において完全に補償すべきである。
  これまで、日本共産党は政府に対して@市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)については「幹線一、二級」市町村道及び「その他」の市町村道のすべてを補償措置の対象とするA市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償措置は全額国庫負担とするB講和発効後に発生した県道及び市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償も国が責任をもつC大幅に遅れている県道未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する補償の促進を図ることを強く要求してきたところである。
  政府は昭和四十六年九月三日に閣議決定された沖繩復帰対策要綱(第三次分)の「沖繩の特殊事情により未買収となつている政府道及び市町村道の敷地の取得については、その実態を調査のうえ必要に応じ適切な措置を講ずるものとする」との主旨を尊重し、沖繩振興開発特別措置法第五条第一項(国の負担又は補助の割合の特例等)に基づき同法施行令第二条第一項−別表一の改正を行い、市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)については「その他」の市町村道を含めて補助率十分の十とする措置を講じて、国が全額負担すべきである。
  このことについて改めて政府の方針と見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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