衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十四年五月九日提出
質問第二八号

 茨城県土浦市宍塚、大池東斜面地のゴルフ練習場造成に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年五月九日

提出者  竹内 猛

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




茨城県土浦市宍塚、大池東斜面地のゴルフ練習場造成に関する質問主意書


 茨城県土浦市の宍塚、大池とこれを取り巻く樹林帯の自然がいかに貴重な存在であるかということは、自然保護団体のみならず、十浦市民、筑波学園都市の住民が一致して認めているところである。
 約二・五ヘクタールの池にほ、ジュンサイ、オニバス等他の地域では既に絶滅した植物が自生し、更にタヌキモ、ジョロウスゲ、カンガレイ等植物分布上にも特筆すべき珍しい種が数多く見られる。鳥類も五十種余りを数えており、この森がすばらしい生態系を維持しているかは、ワシ、タカ類の一種であるノスリのつがいが棲息し毎年営巣していることからも、その程度を十分うかがい知ることができる。
 このようなことから土浦の自然保護団体は、約八年前からこの地域の自然保護の重要性を数多くの観察会、調査を通じて強調してきた。県も昭和五十三年十一月、当地区を鳥獣保護区に指定している。
 大池とその樹林帯が二つの人口集中地の中間に位置する極めて貴重な緑地帯であるということも決して見逃してはならない。将来、両都市ともかなりの変貌を遂げることが予想されるが、その時、美しい森に囲まれた大池が今のままの姿で保存されれば現在よりはるかにその重要性を増すことと思われる。
 更にまた、この台地には約三十基に上る古墳群があるともいわれており、考古学的見地からも重要な場所である。
 このように、この地域は茨城県に残された最後の自然の宝庫の一つでありしかも、都市近郊に存在するという意味においてその重要性は他に替え難いものがある。
 ところが今やゴルフ練習場の造成工事によつて失われようとしている。当ゴルフ場予定地の斜面地は市街化調整区域であり、平坦地は農耕地であるが、当ゴルフ場建設者は、これらの地域を一部借り入れ、一部は買収するなどしてゴルフ場への転用を図りつつある。自然保護団体は、ゴルフ場建設者に対して工事の中止と旧状への復元を文書によつて申し入れているが、この問題は単に一ゴルフ場の建設者と自然保護団体とでは解決のできない多くの問題を含んでいる。従つて次の事項について質問する。

一 農地法は、その第二章第一節において農地又は採草放牧地の権利移動の制限に関して明記しているが、今回の土浦ゴルフセンター造成工事は農地法第三条に明らかに違反している。つまり、農地の権利移動はその取得者が耕作あるいは養畜に使用する場合でも営利を目的としない法人であることが前提条件となつている。しかし当ゴルフ場は営利を目的としたレジャー施設であり、従つて農業委員会は当ゴルフ場の経営者の農地取得は違法である旨通告すべきであると考えるが、正確な回答を求める。
二 農地所有者が農地を転用することについての制限に関しては第四条に定められており、農地を農地以外のものに転用する場合、その許可は県知事が下すことになつており(二ヘクタール以上の場合は農林大臣)、また許可を受けなくともよい場合については、同条の一〜六号に定めてあり、当ゴルフ場はそのいずれにも該当しないが明確な回答を求める。
三 都市計画法第三章第一節は開発行為の規制に関して設けられたものであり、その第二十九条には、市街化調整区域における開発行為はあらかじめ県知事の許可が必要である旨明記されているが、当ゴルフ場建設者は市街化調整区域の造成工事を知事の認可を得る以前に開始している。更に当ゴルフ場建設者は、当該地域の直接の行政体である土浦市当局に対しても正式の書面による造成工事の許可申請を提出しない段階で工事を開始している。(なお、同法第二十九条には県知事の許可を受ける必要のない開発行為につき一〜十一号にわたり定めているが、これはあくまで農業、林業、漁業等を営む者に対して認められた例外であり、その他の行為も公共の用に供するための開発行為に限られている。従つて当ゴルフ場に対しては、この例外規定が適用され得ないことは明らかである。)従つて当ゴルフ場の造成工事は無届、無許可のまま市街化調整区域内において開始された違法行為であると断じざるを得ない。しかも建設者は過去二度にわたり県議会選挙に立候補した経過をもつ政治家であることからみて法を知らなかつたということはいえない。当局はいかなる処断を下すかにつき回答を求める。
四 土浦市当局の説明によると、当ゴルフ場は上高津の土浦ゴルフ練習場が国道六号バイパスにかかつたため、その代替地として宍塚地区を取得あるいは借用したという事情があり、その点は十分考慮しなければならないということである。しかし道路建設に当たつては、その補償金は面積、移転費、休業補償その他を考慮して支払われているはずである。そこで国及び関係機関が土浦ゴルフ練習場に対して支払つた明細を提示されたい。
  もし道路建設に当たり、敷地を国あるいは自治体に買い上げられた住民に対し調整区域あるいは農地を法を超えた判断に基づいて提供あるいは許可を下すということになれば、無数の土地所有者、住民がその恩典に浴し得るということになると思われるが、果たしてそのような事が行われ得るものか明確な回答を求めたい。
五 土浦市は定住圏構想の中に組み入れたことにより今後、様々な分野において急速な変化を遂げるものと予想されるが、その環境保全について未だ明確なプランが示されていないため、今回のような無計画な緑地破壊を招く大きな原因になつていると思われる。自然保護が必要な地域について行政当局は早急に環境保全地域又は緑地保全地域として指定することが必要である。これまでの環境保全地域の指定はともすると地元住民の意向と対立する場合が少なくなく、現に当宍塚、大池も県の指定候補の最有力地として挙げられながら結局は指定できなかつた事実があり、行政当局の一方的な保全地指定は非現実的な場合が少なくないという好例であり、山林、農地所有者の意見も尊重することが肝要であり、今後指定については単に市、県のみがバラバラに行うものでなく、国土庁、環境庁等に対し、それらの地域の重要性について詳細に説明し、指定に当たつては国等の財政援助によつてその所有者から買い入れるか、借用するという形を取る事が必要であると考える。
  ついては、当ゴルフ場においても市、県又は国が宍塚、大池周辺の自然保護の重要性にかんがみ、次の事項につき当局の具体的な措置と見解を求める。
 1 宍塚、大池東斜面の土浦ゴルフセンター建設工事は即刻中止させ、旧状に復元するような行政指導を行う。
 2 大池周辺の樹林帯約一ヘクタールについては今後自然破壊につながるいかなる現状変更も認めない。
 3 同地域については山林所有者と話合いの上、売却を希望する場合には国又は自治体がその山林を買い上げこれを自然環境保全法における自然環境保全特別地区と同等の厳重な自然保護を行う。
 4 国又は自治体は所有者と話合いの上、代替地又は買い上げ方式等により公有地とし、霞ケ浦国定公園の飛び地として指定を検討する。
 5 当地域の自然保護の形態については、民間の自然保護団体、大学の専門家、民間の有識者と協議の上決定し、自然破壊の及ばない範囲で一般に開放する。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.