衆議院

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昭和五十四年六月十四日提出
質問第四七号

 沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年六月十四日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問主意書


 復帰八年目を迎えた今日、なお沖繩県における失業問題は解決の見通しもなく昭和四十七年に失業者が急増して以来、依然として高い数字を記録し推移しており、本年五月二十九日に総理府統計局が発表した四月分の統計でも、沖繩県の完全失業者は二万九千人、完全失業率六・六パーセント、全国平均の三・三倍という深刻な事態が続いている。
 政府は、委員会等でこの問題が論議されるたびに沖繩の失業の解決は、基本的に沖繩振興計画に基づく産業振興にあるという趣旨の答弁を繰り返してきたのである。
 しかしながら、沖繩振興開発計画はすでに七年二カ月を経過し、残すところあと二年十カ月となつたにもかかわらず、産業振興策によつて雇用促進が図られ、失業問題が解決されるという見通しが全くたてられない状況にある。
 従つて、沖繩県の雇用及び失業の基本的な問題について政府の明確な答弁を求める。

一 本年一月二十五日衆議院本会議並びに参議院本会議の施政方針演説で大平内閣総理大臣は、「当面の経済運営に当たつての課題は、物価の安定を保ちながら、雇用の維持拡大に努め、あわせて世界経済に対するわが国の責任を果たすとともに財政再建の契機をつかむことであると思います」と述べ、さらに「雇用対策の面では、中高年齢者、離職者等の雇用拡大に細心周到な配慮を加えますとともに、中小企業、構造不況業種に対する対策をきめ細く実施することといたしております」と表明している。
  また、「沖繩の振興開発につきましても、その実情に応じて施策の充実を図つてまいる考えであります」との所信を述べている。
  このような立場からするならば、完全失業者が全国平均の三・三倍という沖繩県の雇用及び失業問題について、とくにこれまでの施策の根本的な見直しと対策の強化が何よりも求められていることは明らかである。
  大平内閣総理大臣は、この施策を推進するために昭和五十四年度の沖繩開発庁予算並びに各省庁の沖繩関係予算にどのように具体化し、またどのような施策を講じたのか。
二 沖繩県の産業振興を図る上でも重大な問題になつているのが沖繩本島に大規模かつ高密度に集中している米軍基地の存在である。
  沖繩では今なお米軍基地事故や基地被害などが相次ぎ県民の生命と安全にかかわる事態として深刻な問題となつている。このことは、沖繩復帰してから満七年を過ぎたとはいえ“基地のなかの沖繩”という県民をとりまく状況は、七年前の全面占領のそれと少しも変らないことを示している。
  また、米軍基地の存在は産業構造、都市形成、交通体系の整備、改善など地域開発上の大きな障害ともなつている。
  これらのことを見ても、沖繩県の経済と県民生活の危機の根源に米軍基地があることは明白である。
 @ 米軍基地の存在が沖繩の産業振興等の大きな障害となつていると考えるが、どうか。
 A 沖繩振興開発計画は、産業振興について「基地依存経済から脱却して自立の経済の確立をはかるため米軍施設、区域の整理縮小をはかり、その跡地および跡施設を産業振興および社会資本のために活用する」としている。
   しかし、実際に復帰から今日まで返還された米軍施設、区域は、面積にして全体のわずか八・八七パーセント(五十四年六月一日現在防衛施設庁調)にしか過ぎない。
   これでも計画の趣旨にそつて実行されていると考えているのか。
 B 米軍基地の存在は、県民の生命と安全を脅かす根源、そして沖繩県の経済と県民生活の危機の根源ともなつていると考えるが、どうか。
三 政府は、昭和五十三年五月十三日の私の「沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問主意書」に対する昭和五十三年五月三十日の答弁書で、「沖繩県における雇用機会の確保を図るためには基本的には沖繩振興開発計画に基づく産業振興の施策等を積極的に実施していくことが重要である」と答えている。
  これまで実施してきた沖繩振興開発計画に基づく産業振興の諸施策と内容及びその方針を明らかにされたい。
四 昭和五十四年三月沖繩開発庁・沖繩総合事務局がまとめた「沖繩経済の概況」は、「県内での雇用力を高めて沖繩の経済社会を自立的な姿で発展させていくためには、農林水産業の積極的な振興を進めるとともに製造業を中心とする第2次産業の振興を図ることが極めて重要である」と指摘し、このために「地場産業、既存企業の育成振興と併せて、沖繩の亜熱帯性気候、海洋性自然などの与件を有利に活かした特色ある産業の導入と振興を図つていくことが必要である」と述べている。
 @ 地場産業及び既存企業の振興のためにこれまでどのような施策を講じてきたのか具体的に明らかにされたい。また、施策を講じた業種はどのようなものがあるか。
 A 農林・水産業の振興についてはどうか。
 B 「沖繩の亜熱帯性気候、海洋性自然などの与件を有利に活かした特色ある産業導入と振興」についての諸施策を明らかにされたい。
 C 「特色ある産業」とは具体的にどういう業種を指すのか。
五 昭和四十七年十二月十八日に決定された沖繩振興開発計画は計画期間が昭和四十七年度から昭和五十六年度までの十ヵ年で、すでに七年二ヵ月を経過し、残すところあとわずか二年十ヵ月である。
  政府は、沖繩の失業問題の解決の基本が沖繩振興開発計画に基づく産業振興にあるとの言明をしているが、しかし同計画に基づく産業振興の施策は少なくとも七年二ヵ月にわたつて続けられてきたはずである。
  しかるに、昭和四十七年の復帰時に急増した失業者は減少するどころかさらに増加する兆しさえ見せているのが現状である。
 @ これまでの産業振興の施策は、失業問題の解決のためにどのような効果があつたと考えているのか。
 A これまで産業振興を図つてきたにもかかわらず、今なお失業問題の解決の見通しがたつていないのはなぜか。その原因と理由を明らかにされたい。
 B 産業振興等の諸施策によつて雇用促進を図り失業問題を解決できる見通しはいつごろと予想しているのか。
六 昭和五十一年十月二十七日に沖繩振興開発審議会総合部会が作成した「沖繩振興開発計画中期展望」ですでに産業振興による失業問題の解決については、後期五カ年に県内での需給バランスが回復する見通しは極めて薄いという趣旨の見通しを述べている。
 @ 沖繩振興開発計画の期間内で失業を解決する見通しを持つことができると考えているのか。
 A 解決の見通しがたたない場合はどうするのか。
 B 現在、沖繩振興開発計画の“見直し作業”を進めていると聞いているが、どういう内容の作業か、いつまでに終了するのか。
 C 沖繩振興開発計画の延長を考えているのか、それとも新しい同種の計画を策定するのか。
七 駐留軍関係離職者は、駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年五月十七日法律第百五十八号)によつて一年以上米軍基地に在職していた者が解雇された場合、離職時から三年間同法の適用を受け雇用保険の受給後も就職促進手当が支給されている。
  昭和五十四年四月財団法人沖繩駐留軍離職者対策センターがまとめた「駐留軍関係離職者就職促進手当期間満了者の追跡調査報告書」によると、昭和四十五年以降職業安定所で駐留軍離職者の認定を受けた者は昭和五十四年三月末現在まで合計一四、二四七人となつているが、このうち就職促進手当の期間満了者は三年後の昭和四十八年以降昭和五十四年三月末現在まで合計五、九〇七人に達し、期間満了者の率は四一・五パーセントとなつている。
  同センターでは、就職促進手当の期間満了者一、〇二二人を対象に直接面接の実態調査を行つているが、同報告書によると回答者八五九人のうち失業中が二六五人で全体の三〇・九%を占めているという結果がでている。
  しかも失業者は中高年齢層が多く再就職が極めて困難な状況にあるという。
 @ 駐留軍離職者の就職促進手当期間満了者について、その後の追跡並びに実態調査を実施しことがあるか。もしあるとすればその結果を明らかにされたい。
 A 就職促進手当の期間が満了となり、しかも再就職もできない失業者についてこれまでどのような救済策を講じてきたのか。また、今後どのような措置を講ずるのか。
 B かかる失業者のためにもこういう時こそ、例えば沖繩振興開発特別措置法第三十八条に基づく緊急就労のような失業対策事業を講ずべきと考えるが、どうか。
八 沖繩県の失業に対する特別措置の一つとして昭和四十六年十二月三十一日に制定された沖繩振興開発特別措置法第三十八条に基づく失業対策事業の実施については、制定後これまで一度も発動されたことがない。
  このことは法律の趣旨並びに法律の規定を全く無視したものと言わざるを得ない。
  私は、本年二月二十七日衆議院予算委員会第一分科会でもこの問題を取り上げ、緊急に実施するよう重ねて強く要求したのに対して、沖繩開発庁の亀谷総務局長は「それを直ちに発動するということについては、やはり、もう少し慎重に考えたいというのが労働当局の意向である」と答えている。
 @ 「もう少し慎重に考えたい」ということは何故か、その理由を明らかにされたい。
 A 沖繩県の失業がこれほど深刻であるにもかかわらず、制定後今日まで同法に基づく緊急就労のような失業者の吸収を目的とした失業対策事業を一度も発動しなかつた理由は何か。
 B 同法第三十八条に基づき失業対策事業を直ちに発動する意思はあるか、もしその意思がないとするならばその理由を明確に答えられたい。
九 「Uターン」者の問題について、昭和五十三年五月十三日の私の「沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問主意書」に対する昭和五十三年五月三十日の答弁書は、その原因を「@就職前における職業に対する知識経験が十分でないことA本土との生活習慣の違いがあること等」にあるとして、就職前における職業情報の提供、就職指導の徹底、就職後における職場定着指導の強化等に努めるとの答弁をしている。
 @ 施策の強化を図つてきたにもかかわらず、依然とし「Uターン」者が多く広域職業紹介の効果があがつてないように考えるが、どうか。
 A 施策の強化に当たつて、公共職業安定所など関係機関の適正な配置を含む必要な態勢をとつたのか。
 B 「Uターン」者に対する実態調査を実施したことがあるのか。
   もしあるとすれば調査結果の概要を明らかにされたい。

 右質問する。



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