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昭和五十四年十二月十一日提出
質問第六号

 特殊法人「日本中央競馬会」の出資による「日本発馬機株式会社」の不正事件発生にかかる農林水産大臣の監督責任に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年十二月十一日

提出者  小川国彦

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




特殊法人「日本中央競馬会」の出資による「日本発馬機株式会社」の不正事件発生にかかる農林水産大臣の監督責任に関する質問主意書


 日本発馬機株式会社(以下「日本発馬機」という。)の不正事件は、その出資者である日本中央競馬会(以下「中央競馬会」という。)の経営の在り方に深い疑惑を投げ掛けており、同不正事件の徹底的な糾明と中央競馬会の経営の解明は、国政の緊急かつ重要な任務となつている。
 既にこれらに関し一部審議がなされているが、決して十分な解明には至つていない。特に今日の事態発生については、高度経済成長に伴う中央競馬会の利益増大につれて放漫な経営姿勢が目立ち、これを監督する農林水産省の行政も徹底さを欠くうらみを持つている。
 従つてここに農林水産省並びに関係機関に対し次の事項について質問する。

一 中央競馬会の日本発馬機の株式取得について
 1 日本発馬機の株式取得二百五十万円の支払について、五十二年以降の株式取得はすべて農林水産大臣認可に基づく予算支出により固定資産として取得したとしているが、この予算支出の中で行うことについて予算決定前にあらかじめ知つていたのか。
 2 予算決定の際、当該年度中に取得する旨を聞いていたのか。
 3 あるいは、予算執行の途中において株式取得の話があり、いずれかの予算項目から支出しようということになつたのか。
二 日本発馬機への貸付金について
 1 中央競馬会から日本発馬機へ三億七千万円の貸付決定が行われた際、この貸付決定は当初より予算書の中にあつたのか。
 2 あつたとすれば、それは何年度のいずれの款項目にあつたのか。
 3 あるいは、予算執行の半ばにおいて予算の流用で行つたのか。
 4 これらいずれの場合でも農林水産大臣はいかなる形において承認を与えているのか。
 5 中央競馬会より日本発馬機に対し、返済期日が昭和五十四年十二月末日となつている二億二千万円の貸付金があるが、この回収の見通しはついているのか。
三 農林水産大臣承認の責任について
 1 日本発馬機の発足時から既に「新洋物産」との間において不正取引が行われており、それが更に「エス・イー・エス」との不正取引となつて継続されている。
   日本発馬機への出資の安易な承認が今日の事態を引き起こしたのではないか。
 2 日本発馬機においては、使途不明金が八億四千万円、更に「エス・イー・エス」よりの借入金二億四千万円、中央競馬会からの借入残額二億二千万円、合計四億六千万円の負債を持ち、倒産状態に陥つた。
   日本発馬機の乱脈経営と中央競馬会のずさんな経営は一体のものであり、これを容認してきた農林水産大臣にも重大な監督責任があると思うがどうか。
 3 三億七千万円の貸付決定に当たつて農林水産大臣はどういう監督・指導をしたのか。会社の経理内容は検討したのか。
   発馬機の購入費は総体で八億という巨額である。その二分の一近い三億七千万円の融資をするわけであるから、会社の経営状況、資産の状況、担保の有無(機械は消滅するものであるから、当然不動産などでなければならない。)の検討は当然農林水産省も行つたと思うが、どんな検討をしたのか。
 4 出資金、貸付金ともに農林水産省の監督不十分のために、特殊法人たる中央競馬会にいい加減な子会社をつくらせ、デタラメな貸付を行つてこさせた監督責任は免れないと思うがどうか。今後の処理方針はあるのか。
四 中央競馬会の貸付金百四十五億円について
 1 この貸付金、融資について農林水産大臣は逐一どう承認を与えてきているのか。
 2 総額百四十五億円という膨大な額を融資している、その一つ一つを農林水産大臣は予算書で確認できるのか。貸付のチエックはどのような形で行つているのか。
 3 確認できるなら「株式会社宏和」への貸付金のごとぐ、十億円もの貸付を建物も全くできていないものに行つてコゲつきをつくらないのではないか。
 4 いずれにしても、このような事態の発生は大臣の監督責任の怠慢としか言いようがないがどうか。
 5 一般社会における土地家屋の賃貸借の経費は、権利金ないしは敷金及び賃貸料で構成しているが、中央競馬会においては高額な賃貸料の外に「貸付金」という形の支出をしているが、これを妥当と認めているのか。
 6 認めているとすれば、政府関係機関、特殊法人等において外にこのような「貸付金」の例があるのか。あるとすればそれを示されたい。
 7 また、この中央競馬会の「貸付金」は、無利子の据置期間五年、その後二パーセントの利子で十年間の年賦返済という法外な貸付条件となつているが、政府出資の特殊法人等において、このような低利・好条件の貸付の例があれば、それを示されたい。
 8 中央競馬会の利益かくし、乱脈経営に対して徹底調査是正の方針があれば、それを具体的に示されたい。
五 中央競馬会に対する会計検査院の検査について
 1 過去十年間、中央競馬会に対して行つた是正勧告等があれば、それを示されたい。
 2 日本発馬機への出資・貸付について検討したことがあるか。あるとすればその内容を示されたい。
 3 中央競馬会の百四十五億円にのぼる貸付金について、その内容の是非・妥当性について検討したことがあるか。あるとすればその内容を示されたい。
六 中央競馬会に対する行政監理庁の行政監察について
 1 百十一の外郭団体・政府出資の特殊法人中、四十しか監察の対象に入つていないが、何故中央競馬会を対象に入れないのか。
 2 対象とされる法人等、対象とされない法人等の基準はどうなつているのか。その基準内容を示されたい。
 3 今後、このような大規模な予算を執行する特殊法人を監察の対象とする考えはないか。

 右質問する。





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