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昭和五十五年四月二十三日提出
質問第一二号

 原子力平和三原則中「公開の原則」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年四月二十三日

提出者  松浦利尚

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




原子力平和三原則中「公開の原則」に関する質問主意書


一 原子力基本法第二条(基本方針)に規定されている「公開の原則」は、最初、日本学術会議の「原子力の研究と利用に関し、公開、民主、自主の原則を要求する声明」(昭和二十九年四月)に示され、基本法にとり入れられたものとされている。この声明においては、「わが国において原子兵器に関する研究を行わないのは勿論、外国の原子兵器と関連ある一切の研究を行つてはならないとの堅い決意をもつている。われわれは、この精神を保障するための原則として、まず原子力の研究と利用に関する一切の情報が完全に公開され、国民に周知されることを要求する。この公開の原則は、そもそも科学技術の研究が自由に健全な発達をとげるため欠くことのできないものである。」と述べられている。
  更に、日本学術会議は、「ふたたび原子力平和利用三原則についての勧告」(昭和四十九年六月)において、「最近の全般的な環境汚染と関連して、国民の健康と安全を守ることがますます重要になつている。従つて、企業機密に名をかりて、必要な資料の提供を拒否することは、絶対に許されない。」と主張している。
  右の、平和利用の限定と環境保全・安全確保の両面から、原子力の研究、開発、利用に関する情報、資料を公開すべしとする主張に対する見解を問う。
二 公開の原則、特に安全問題からみた公開の原則と企業秘密との関係については、最近の国会では次のような意見又は答弁が述べられている。
  「原子力技術の現状が日本中の科学者に公平に公開されれば、現在の技術では、ここまで安全だということがわかる。公開の原則はこの意味をもつている。それが、秘密にされたのでは、どうしても一方の側の意見を聞けということにとどまる。」(昭和四十八年五月九日衆議院科学技術振興対策特別委員会中島参考人)
  「国益上の秘密というのはむしろ時間の問題で、国益上公開を待つてほしいということはあると思うが、そうでない限りは国益の問題は機密に属しない。」(昭和五十三年四月十九日衆議院科学技術振興対策特別委員会 有澤参考人)
  「企業秘密のゆえをもつて安全性を犠牲にするわけにはいかない。」(昭和五十四年二月二十二日衆議院科学技術振興対策特別委員会 大平内閣総理大臣)
  「公開の大原則は官民を問わず順守すべきものである。企業秘密の名のもとにいたずらに公開を拒むことのないよう十分に指導する。」(昭和五十四年五月三十日参議院科学技術振興対策特別委員会 大平内閣総理大臣)
  右の意見又は答弁に照らし、安全確保の前に企業秘密、商業機密はあり得ないと考えるが、見解を問う。かりに一部の情報、資料については、安全問題に関係があつても秘密を要するものがあり得るとするならば、その範囲、限界線を示されたい。
三 原子力基本法の精神及び現内閣の国会答弁等からみて、原子力関係の研究開発、利用施設のうち、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく安全審査の対象となるものについては、少なくとも安全審査の際の提出資料はすべて公開されるべきものと考えるが、見解を問う。
四 商業発電用原子炉の場合、「安全審査関係の資料は、外国からの技術導入契約に基づいて秘密保持が義務づけられている商業機密を除き、ほとんどを公開している。その商業機密の部分をできるだけ少なくするよう設置者を指導しており、最近では非常に少なくなつている。」旨の答弁(昭和五十三年四月十九日衆議院科学技術振興対策特別委員会 牧村原子力安全局長)がある。この実績について、原子炉ごとの実例を挙げ、公開資料と非公開資料の件数内訳の推移を示すとともに、今後の公開に関する基本方針を示されたい。
五 商業用原子炉以外の原子力施設について、安全審査関係の資料のうち、公開されたもの、外国との技術提携契約に基づいて公開されなかつたもの、別の理由で公開されなかつたもののそれぞれの件数内訳を主要な実例を挙げて示すとともに、今後の公開に関する基本方針を示されたい。
六 いわゆる核ジャック等を予防するための核物質防護対策については、核物質防護措置の内容を秘密にしてはじめて有効なものであるので、公開の原則は適用されないと解すべきであるという意見があるが、これに対する見解を問う。
  一方、核物質防護に名をかりて安全問題に関係する情報、資料を秘密にすることは許されないし、また、核物質防護措置以外についてはすべて公開されるべきものと考えるが、見解を問う。

 右質問する。





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