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昭和五十五年十一月二十八日提出
質問第一五号

 沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十一月二十八日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 福田 一 殿




沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する質問主意書


 去る十一月十七日、防衛施設庁那覇防衛施設局長は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「米軍用地特措法」という。)に基づき、八十六件、百八人の土地所有者にたいし土地の使用についての意見照会の手続をとつた。
 これらの土地は、米軍がアジア侵略の拠点づくりのため沖繩県民に銃剣をつきつけ、問答無用で取上げた土地であり、米軍占領支配の終了とともに県民に返還され、権利の回復がはかられなければならなかつたはずのものである。
 にもかかわらず政府は、憲法違反の沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律(以下「公用地暫定使用法」という。)でふたたび土地を取り上げたばかりか、一九七七年には一旦消滅した権原をさかのぼつて復活させるという空前絶後の暴挙によつて、三たび土地取上げを強行し現在に至つている。
 さらに、今回の米軍用地特措法の発動は、政府自身地籍不明地には同法が適用できないと明言していたにもかかわらず、県民の権利回復の一端をなす地籍明確化作業は終結しておらぬまま、公用地暫定使用法の強制権限の終了が迫つたことのみをもつて四度目の土地取上げ準備を仕上げようとする許しがたい行為といわざるをえない。
 政府がいかに適法性をよそおうとも、米軍が問答無用で取り上げた土地を県民から奪いつづけることは、国民の権利擁護を厳正に規定した憲法体系に違反するものとならざるをえないものであることを厳しく指摘し、次の事項について質問する。

一 沖繩における米軍、自衛隊基地用地の取上げの根拠となつている公用地暫定使用法は、制定当時政府自身違憲立法であることを否定しきれず、憲法が適用されていない沖繩で憲法に基づく所要の措置を講ずるための手続の期間を限つて暫定的に土地使用の空白を生じさせないことを目的とするものであり、決して延長などは考えない旨をくり返し強調し、強行成立させた稀代の悪法である。
  ところが一九七七年には、沖繩の米軍、自衛隊基地用地は土地の地籍が明確でないため一般法による強制使用の手続がとれないため、地籍を明確にし、一般法が適用できるようになるまでの間引きつづき公用地暫定使用法を延長したいといいだし、県民と国民の怒りによつて期限内成立を阻止され一旦消滅した権原でもふたたび生じせしめられるというこじつけを行つて五年の延長を行つたという前代未聞の悪法である。
  この悪法の延長など絶対に許されることではないと考えるが、政府として、同法制定後すでに九年を経た今日、同法の延長を根拠づける合理的理由をあげることができるか。できなければふたたび延長はしないと明言すべきであると考えるが政府の見解を求める。
  また、同法を適用して使用している自衛隊用地について、同法の期限切れ後は、土地収用法による強制使用は考えず、土地所有者へ返還したいという防衛施設庁見解が示されている。これは私有権を保障する立場から当然の措置としての政府の最終方針と理解してよいか。
  また、返還のための具体的方針、手順を明らかにされたい。
二 沖繩の米軍基地用地に関し、従来政府は一筆毎の土地の位置境界が明らかでないため、米軍用地特措法によつて強制使用の手続を進めようとしても、強制使用しようとする土地を現地に即して特定できず、手続が進められないので、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(以下「位置境界明確化法」という。)の手続にしたがつて一筆毎の土地の位置境界を明確にした上で、米軍用地特措法の手続を進めると明言してきた。
  しかるに、今国会において防衛施設庁は、集団和解が成立しないため、位置境界明確化法の手続が進められなくとも、何らかの形で使用する土地が現地に即して特定できれば、米軍用地特措法の手続は進められると答弁している。
  米軍基地内での物証の発掘調査もふくめた現地に即しての調査はできないとして、国土調査法の直接の適用をさけた現行法体系の建前に立つかぎり、沖繩県内の位置境界不明地域内の一筆毎の土地の位置境界の明確化が、位置境界明確化法の手続を経ずして、とりわけその根幹をなしている集団和解の成立をはなれて成立しうるとはおよそ考えられないが、防衛施設庁のいう「何らかの方法」とは何か。法的根拠をもふくめて具体的に明らかにされたい。
三 十一月十七日那覇防衛施設局長の行つた土地所有者への意見照会に関する以下の質問に答えられたい。
 @ 意見書の回答期限を十二月八日とした根拠及び理由を明らかにされたい。
 A 意見書を作成する必要上、土地所有者から、公用地暫定使用法の期限切れ後新たに米軍用地特措法によつて私権制限を行うにたる合理的理由を具体的に明らかにした資料提出の要求があつた場合、または、米軍による土地の使用、管理の状況を把握するための資料提出若しくは基地内への立入調査をしたい旨の要求があつた場合、政府はこれに全面的にこたえる責務があると思うが、政府はこの責任を果たす用意があるか。
 B 当該土地の接収にいたる経緯、米軍の基地使用のもたらしている県民への被害の実態、さらには新規使用の合理性の解明など短時日に意見書を作成するには課題があまりにも山積している。
   土地所有者から回答書提出期限の延期の申出があつた場合には当然これを受入れるべきであると考えるが、政府の見解を求める。
四 十一月十七日に意見照会手続を行つた八十六件の土地については、手続当日現在、すべて現地に即しての土地の特定ができるものなのか、それとも現地に即しての土地の特定ができない土地もふくまれるのか、その実態を米軍施設毎に件数、面積、所有者数をあげて明らかにされたい。
五 八十六件の土地中、地籍明確化法の作業が完了したため、所要の土地を現地に即して特定できるものがどれくらいあるか、米軍施設毎に件数、面積、所有者数を明らかにされたい。
六 八十六件の土地中、集団和解が成立しないため位置境界明確化法の作業が進まず、現地に即して土地の特定ができない土地はどれくらいあるか、米軍施設毎にその件数、面積、所有者数を明らかにされたい。
七 今回、米軍用地特措法の手続をとつた土地の中で現地に即しての土地の特定が手続日当日現在にできていない土地で、集団和解が成立しなければ最終的に現地に即しての土地の特定が困難であると防衛施設庁が判断しているものについて、米軍施設毎の件数、面積、所有者数を明らかにされたい。

 右質問する。





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