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昭和五十五年十一月二十八日提出
質問第一七号

 大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十一月二十八日

提出者  榊 利夫

          衆議院議長 福田 一 殿




大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書


 先に私は大都市の経済地盤沈下地域の中小企業振興について質問主意書を提出し、回答をうけとつたが、その相当部分が大都市の中小企業一般を論じたもので、残念ながら、具体的な回答を得ることができなかつた。あらためて、先の回答をふまえながら、再び質問する。
 先の質問主意書でもふれたように、東京や大阪などの大都市地域では、十数年来、企業の地方転出により、産業構造上の変化と経済地盤の沈下が大きく進んでいる。とりわけ東京・城南地域(大田区、品川区)に例をとれば、工業再配置促進法による企業の地方転出や首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律などによつて、産業経済上の構造変化と経済地盤沈下がおこり、機械、金属加工、電気関連の中小下請企業とその従業員は深刻な打撃を受けている。一九六〇年代、七〇年代を通じて、大田、品川両区の工場数、製造品出荷額の伸びが、東京都全体の数値より大きく下回つていることなどはその端的な例である。
 これは、「大都市からの工業分散が進みすぎて、逆に大都市の活力が無くなるという問題がある」(「経団連週報」八月十四日号)との反省があることにも一反映をみることができる。
 京浜工業地帯の中心となつてきた城南地域の中小企業群は、全国的にも高い技術水準を継承し、高加工度産業として高密度の地域的集積を形成しており、この地域が生産活動を多彩に発展させ、日本の経済に重要な役割を果たしうることは明らかである。城南地域にみられるような大都市地域の中小企業が直面している困難を打開するため、しかるべき措置が講じられるべきだと考える。この見地から、以下の事項について質問する。

一 前述した東京・城南地域のような大都市の経済地盤沈下地域における中小企業の現状とその問題点について、政府の分析並びに問題意識を具体的に示されたい。
二 大都市の経済地盤沈下地域における中小企業の振興をはかるうえで、現行の諸制度を駆使するだけでは不十分と考える。とくに完成品を扱わず、機械、金属、電気関連など異業種が多種多様に集まつた地域の零細な下請けにたいしては、現在の業種別、産地別の振興対策ではカバーしきれないと考える。こうした地域の中小零細企業の振興策を政府はもつているのかどうか、もつているとすればその内容を具体的に示されたい。
三 近年、地方自治体は、工場跡地の無秩序な開発を防ぐとともに市内にとどまつて事業を続けたい中小企業の願いに応えて、従来の工場追い出し策をやめ、いわゆる住工共存とよばれる取り組みを進めているところがある。これらの取り組みは、住民の合意を前提として地域に根ざした住みよい街づくりの観点から進められる必要があるが、政府としての所見並びに政府としてすでに取り組まれているものがあれば示されたい。
四 高度化事業のなかでも工場共同利用事業制度は利用しやすい特色をもつているが、土地取得難などの理由により東京などでは利用がきわめて少ない。そこで、公有地の中小企業向け転用をはかる施策がどうしても必要と考えるがどうか。また、同制度の活用をはかるうえで、高度化資金の償還期間の延長、当初期間の償還額の軽減など同制度の拡充・強化を検討する用意はないか。
五 下請けいじめを監視する調査業務・権限は、公正取引委員会と中小企業庁の所轄となつているが、下請け代金の値引きや買いたたきなど悪質な下請けいじめが依然後を断つていないにもかかわらず、必要な立入検査の“積み残し”が出ている。監視体制の拡充が求められていると考えるが、その計画はあるか。監視体制を強化するには地方自治体もその権限をもつことができるようにすべきであり、少なくない地方自治体がそれを望んでいる。公正取引委員会は、監視業務を都道府県に委譲する方向を検討しているが、その中身は何か。そのさい、自治体の負担増にならないよう、予算や人員の面で援助を行うべきと考えるがどうか。
六 中小零細業者が、世代交替で後継者に営業を譲ろうとすれば、「相続税でつぶれる」といわれるほど重荷になつている。相続税の基礎控除を大幅に引き上げ、当面五千万円程度にしてほしい、営業のため使用中の不動産や、株式、借地権、営業権など市場性や換金性のないものを課税対象からはずしてほしい、などの要望があるが、検討の意思はないか。

 右質問する。





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