質問本文情報
昭和五十六年十一月二十六日提出質問第一六号
東京女子医科大学衛生学教室第II講座における企業等からの委託実験に関する再質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十六年十一月二十六日
提出者 矢山有作
衆議院議長 福田 一 殿
東京女子医科大学衛生学教室第II講座における企業等からの委託実験に関する再質問主意書
学校法人東京女子医科大学(吉岡博人理事長)は、私大等経常費補助金(昭和五十五年度二十九億六千二百三十九万円、第十三位)を受ける医学系単科大学である。
従つて、私学といえども、その経理が国民に疑惑を抱かせるような内容であつてはならない。同時に、教育・研究等に関して、国民の不信を招くような事態は道義的にも許されない。
しかるに、先に「東京女子医科大学衛生学教室第II講座における企業等からの委託実験に関する質問主意書」(昭和五十六年十月八日提出質問第二号)を提出したところ、それに対する答弁書(内閣衆質九五第二号)は、内容の不備、事実に反する部分等あり、誠意の存在をすら疑わざるをえないもので、質問の主意は必ずしも満たされなかつた。
国民の税負担に由来する国庫からの補助によつて運営される大学において、その経理の内容、教育・研究等の実態が国民の前に公明正大であるべきはもとより、公的研究機関の名において実施された企業等からの委託実験に関する疑義は、大学の問題として明らかにすべきはもちろん、ひいては国民の生命の安全性にかかわるものとして、看過しえない重要性を持ち、その対策は緊急を要すると考えられる。
従つて、次の事項について質問する。
教室の独自研究を全く行わず、企業等からの委託実験が教室の「研究」活動のすべてであるような実態は、大学として正常の姿とはとうてい考えられない。同大学理事者が、あえてこれを容認しているはずもない。実際はどうか。
二 一般に大学の講座費、実験・実習費等金銭の出納は、大学の経理部・課を通じ、その責任においてなされるのが通則である。
しかるに、同大同講座においては、右期間の受託実験に係る合計一億円を上回る多額の金銭を住友銀行成城支店に開設された同教室(石津澄子)名義の口座(普265605)を指定して収受し、独自の管理を行つてきたが、大学当局はこの事実を知つていたか否か。
この口座名義人の住所はどこか。また、この口座の所有者は同教室か、石津澄子教授個人か。
同教授個人の口座でないとしたら、同教授居住地の最寄銀行(東京都世田谷区成城)に開設した理由は何か。
以上の諸点を明らかにされたい。
三 同大学が同教室第II講座に配分した昭和四十九年度以降各年度の講座費、実習費その他の費用の総額並びに使途を明らかにされたい。
また、同講座が受託実験費用として企業等から収受した金銭の出納(昭和四十八年一月から現在まで)を明らかにされたい。
特に収入については、
(一) 入金年月日
(二) 支払企業等の名称
(三) 実験名
(四) 金額
その他明細な答弁を求める。
四 大学から配分される講座費、大学の施設・設備等を使用し、かつ、大学から給与を受ける教職員の手でなされる受託実験の実施に際し、「費用」と称して、施設使用料、考査料、人件費を企業等(委託者)に請求し、その収入を大学経理に帰属させることなしに、また、「人件費」として請求・受領した金銭を実験担当者に支給することもなく処理することは、同大学として正常の行為と認められるのか。責任ある答弁を求める。
五 先の答弁書において満たされなかつた諸点に関し、以下の答弁を求める。
1 先の答弁一に関し、受託実験九十八件について各個の実施期間、実施場所、担当スタッフ(全員の氏名)、実験費受領額を明らかにされたい。
2 先の答弁二に多くの欠落がある。その理由は何か。昭和四十八年一月から同五十年十二月の間に在職した助手全員の氏名と個々の受託実験との関連を明確にされたい。
右質問する。