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昭和五十七年六月八日提出
質問第一五号

 銘柄別薬価基準等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十七年六月八日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 福田 一 殿




銘柄別薬価基準等に関する質問主意書


 国民総医療費の膨張は、国の財政を大きく圧迫するものとして、現在、財政再建の中で大きな課題として取り上げられている。
 医療費のうち、約三分の一を薬剤費が占めると言われており、また、医薬品の流通に関しては公正取引委員会が、独占禁止法に違反する疑いありとして調査を開始し、会計検査院も国立病院の高値による医薬品購入が国費を浪費するものと指摘している。
 医薬品の流通機構は、極めて不明朗であり、国民の納得し難いところであるが、その根底にある最大の問題は、薬価基準の算定方式及びその運用にあるものと思われる。
 私は、本問題を関係委員会で繰り返し指摘してきたが、いまだに納得できる答弁を得ていないので、改めて医療並びに保険財政の健全な確立を目指す立場から、次の事項について質問する。

一 本年一月に実施した薬価調査の結果に基づく薬価基準改定の実施時期及びその見通しを明らかにされたい。
  更に、これによる薬価基準の改定は、従前どおりの全面改定の方法で行うのか、又は、他の方法で行うよう検討しているのか、明らかにされたい。
二 近年発売される新薬には、従来の同品種に比べてそれほど効力差がないにもかかわらず、新薬の薬価は高値であり、そのため医療費中に占める薬剤比率が上昇している現状をどう考えるか。
  また、「新薬の薬価算定に関する懇談会」の審議の状況及び答申の時期について明らかにされたい。
三 薬価基準算定の根拠について、例えば、抗生物質として大量に消費されているセファレキシンは、その薬価がAランク百四十七円、Bランク八十円、Cランク三十五円と三段階に区別されており、経口ペニシリンのアンピシリンについても、同じくAランク八十円、Bランク六十三円、Cランク四十円、Dランク三十円と四段階に区別されている。これらは、いずれも同一規格・同一効果(薬効)の輸入医薬品をそれぞれ厚生省の定めるGMP(品質管理基準)に従つて錠剤化し、あるいは、カプセル化して製品化したもので、医薬品としての効能に何らの差異はない(昭和五十三年六月一日衆議院社会労働委員会中野薬務局長答弁)。にもかかわらず、前記のごとき価格格差はいかなる理由によるものか、その根拠を示されたい。
四 我が国の健康保険法による診療報酬体系は、診察料・入院料・看護料・調剤料・手術料等が相対的に低いため、医療機関はその不足部分を薬価差益で補てんせざるを得ない状態にある。このため、医薬品の購入はその販売価格よりも薬価差に左右されることになる。例えば、三十五円に設定されたCランクの商品は、たとえ無償で提供してもAランク医薬品の薬価差に及ばず、販売量は激減し、薬価をCランクに設定されたメーカーはその製造を中止しているのが現状である。かかる傾向は、Cランクに位置付けされるメーカーの競争力を奪い、市場の独占若しくは寡占によつて薬価の高値安定を招く原因ともなり、保険財政に不利益をもたらし、独占禁止法の精神に違反するものであると考えられるが、政府の見解を示されたい。
五 銘柄別薬価基準の各ランク間の価格差問題を取り上げる際、Aランクに収載された会社の開発経費の補償が問題にされるが、外国で開発され、安全性がすでにその国において認定されている医薬品を原料として輸入し、これを加工・製品化するだけで、どの程度の経費が必要とされるのか明らかにされたい。
  また、国内での臨床試験に多額の経費を必要とするならば、その経費を公開し、国民を納得させるべきである。新医薬品開発の名目の下での製薬業界と学会等関係者間での癒着が指摘されており、莫大な業界の使途不明金の存在が疑われていることはまことに遺憾である。
  同時に、医薬品がいわゆる先発権保証期間(副作用報告義務期間)として、事実上六年間の市場寡占を許されているのは長過ぎないか。自由主義経済下にあつては、医薬品といえども、自由な流通機構が認められるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
六 特に、アンピシリン、セファレキシンのごとく十数年前に輸入し、市販され、すでにその安全性が確認されている医薬品が、いまだに銘柄別薬価基準によつて保護されている一方、Cランクに位置付けされた中小メーカーの製品は、そのために生産中止に追い込まれるなど、銘柄間の格差の拡大により市場は極めて厳しい状況にある。
  また、薬価は高値安定化し、医療保険制度の上からも問題があると考えられる。政府は、銘柄別薬価基準の見直しをするべき時期にきていると思うが、政府の見解を示されたい。
七 最近の薬事行政の方向は、医薬品の販売競争による価格低下を防ぐため、中小・後発メーカーを整理し、少数の大手メーカーの体質を強め、国際競争力を強化する方向がうかがわれる。
  医薬品は、国民の生命に密接に関連する製品であり、安全性・信頼性が絶対条件である。しかし、医薬品は大手メーカーのみに製造が許されるものでない。中小メーカーを銘柄別薬価基準によつて低いランクに位置付け、後発医薬品として進出規制し、先発大手メーカーを保護し、医薬品の高値安定の上に立つ企業育成策は改めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。





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