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昭和五十八年三月十二日提出
質問第一四号

 信濃川上流千曲川流域の総合的治水対策の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年三月十二日

提出者  林 百郎

          衆議院議長 福田 一 殿




信濃川上流千曲川流域の総合的治水対策の推進に関する質問主意書


 昨年九月の台風十八号による風水害は各地で大きな災害をもたらした。
 長野県内の千曲川流域でも、飯山市では千曲川支流の樽川が決壊、約七百戸が浸水したのをはじめ、長野市の松代温泉団地や須坂市の北相之島団地、更埴市の雨宮地区、上水内郡豊野町の沖団地などでも多数の民家が浸水被害を受けた。
 千曲川流域は、以前から繰り返し浸水による災害が多発し、長野市の松代町、須坂市、更埴市などでは一昨年に続く災害であるうえ、宇原川土石流災害など、土石流や地すべり災害も多発しており、流域全体を通しての総合的な防災対策を強力に進めることが緊急に求められている。
 そこで、千曲川流域の防災対策の在り方、その推進について、以下質問する。

一 台風十八号による千曲川支流樽川の堤防決壊の原因について
 1 建設省の立ヶ花流量観測所の観測によると、台風十八号による最大流量は、九月十三日午前五時に六千七百五十四立方メートル(毎秒)、その時の水位が十メートル五十四センチメートルであつた。これを、それまでの最高といわれる昭和三十四年八月の台風七号の時と比べると、流量は七千二百六十一立方メートル(毎秒)に比べ五百七立方メートル(毎秒)少ないにもかかわらず、水位は十メートル四十四センチメートルを十センチメートル上回つている。
   これは、下流の西大滝ダム建設などに伴つて、樽川との合流点を含めた千曲川の河床が上昇していることを示すものと考えるがどうか。違うというのであれば、具体的に説明されたい。
 2 今回の樽川の堤防決壊の原因については、河床上昇によつて千曲川本流の断面積が小さくなつているにもかかわらず、しゆんせつや掘削によつて本流の水位を下げることを怠つてきたため、本流から支流の樽川へ水が逆流し決壊したものと考えるがどうか。そうであれば、政府の責任は重大であるが、その点についても明らかにされたい。
   そうでないというのであれば、具体的資料を示して、決壊の原因について明確にされたい。また、原因について調査中であるのであれば、どのような調査をいつまでの予定で行つているのか明確にされたい。
二 千曲川流域の防災対策について
 1 流量が少ないにもかかわらず、計画高水位の十メートル七十五センチメートルに迫るという状況に対して、流域住民の安全を守るため、河幅の狭い立ケ花より下流部分について、河床掘削を含めた洪水対策を、いつまでにどのように行う計画であるのか。
 2 流域の森林の乱伐や都市化の進展など、現在の「工事実施基本計画」を決定した昭和四十九年当時とは、降雨量と流量に係る条件が大きく変化しており、基本計画の見直しも検討すべきと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。
 3 また、千曲川本流の堤防改修整備を中心とする計画とともに、遊水機能強化や水防林の活用などを含めた流域全体についての総合的防災対策が必要と考えるが、どのような計画で、いつまでに実施しようというのか、具体的に明らかにされたい。
 4 支流から本流への流量を制限するため水門を設けている更埴市雨宮などでは、水門を閉じたために行き場を失つた水が支流にあふれ、浸水被害を繰り返している。
   改修計画が実施されれば氾濫はなくなるはずといつても、そのメドは全く立たない状態である。本流と支流とのバランスを欠いた改修事業の結果であり、改修計画が達成されるまでの措置として、排水機場の設置が必要と考えるがどうか。
三 改修事業費について
  千曲川流域の河川改修について、建設省千曲川工事事務所の改修事業費は、昭和五十三年度の十五億二千六百万円を頂点に年々減少している。昭和五十七年版の河川便覧によると、昭和五十六年四月現在、千曲川を含む信濃川について、直轄区間内の堤防延長六百三十六・七キロメートルのうち不必要区間百六キロメートルを除いた五百三十・七キロメートルに対して、完成されているものはわずか百六・二キロメートル、わずか二〇パーセントに過ぎない。
  「二度と再び水害を繰り返すな」という住民の切実な願いに応えるためには、改修予算を大幅に増額し、事業の進捗を図るべきであるが、政府の考えはどうか。
四「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため」、「総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図」るという災害対策基本法の主旨に照らして、防災対策の遅々とした進展の下で、災害が多発している現状をみるとき、政府の責任は重大であると考えるが、政府としてその責任を明らかにされたい。

 右質問する。





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