衆議院

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昭和五十九年八月七日提出
質問第四四号

 米軍の空中戦闘技量評価装置(ACMI)の設置及び新訓練空域の「提供」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年八月七日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 (注)永健司 殿




米軍の空中戦闘技量評価装置(ACMI)の設置及び新訓練空域の「提供」に関する質問主意書


 運輸省は反対世論を無視して、昨年十二月十六日の日米合同委員会民間航空分科委員会で、在日米軍がF15戦術戦闘攻撃機などの戦闘即応能力向上のための訓練システム・空中戦闘技量評価装置(ACMI)を設置するため沖縄周辺に新たな訓練空域(以下「ACMI空域」という。)を求めていたことに対して了解を与えた。
 同省が認めたACMI空域は、沖縄本島の北東に位置する既存の米軍のホテル・ホテル訓練空域(W一七三)と一部重複し、更に四千平方キロメートルにわたつて、北に台形状に突出し、本土と沖縄間の民間航空路の要衝に隣接したところに設定するもので、民間航空の安全上、重大な支障となることは明らかである。
 全運輸省労働組合、日本乗員組合連絡会議、航空安全推進連絡会議などを始め、民間航空機の乗員や管制官ら航空関係者が強く反対し、撤回を求めているのは、当然のことである。
 かかる重要な問題について政府の見解をただしたい。

一 運輸省がACMI空域を了解した条件として、@沖縄の基本的な航空交通の流れを変えないAVOR航空路の編成に際して支障となる訓練空域は削減するB新たなACMI空域の面積以上のものを既存の訓練空域から返還させることをあげている。
 1 「基本的な航空交通の流れを変えない」とは、具体的にどういうことか説明されたい。
 2 VOR航空路編成で支障となる訓練空域はどこか。また、削減する空域はどこか明示されたい。
 3 新たな空域分以上のものを既存の訓練空域から削減するというが、それはどの空域か。
 4 この三つの条件について、米側は合意若しくは了解したのか、この条件が満たさなければACMI空域の「提供」は認めないということか。
 5 三つの条件は、ACMI空域を設定する上での確たる安全措置とはなりえない。同空域に伴う具体的な安全対策を示せ。
二 ACMI空域を利用して、どのような訓練を行うのか、同空域では一度に八機の戦闘機訓練が可能といわれ、更に近い将来、米国本土においては十六機の訓練も可能になると伝えられているが、最大限一度に何機の訓練が可能なのかなど、訓練の内容を明らかにされたい。
三 空中戦闘技量評価装置(ACMI)を運用しての空中戦闘機訓練は、新たな空域四千平方キロメートルと既存のホテル・ホテル訓練空域(W一七三)の一部を使用するというが、実際に使用する総面積はどれくらいか。
  また、その高度制限はどうなつているのか。
四 ACMI空域を利用する機種は、F15を始めとする米空軍、海軍、海兵隊が訓練を必要とする機種というが、その機種名は何か。
五 米国本土及びその同盟国で現在、ACMI空域が設定されている国名と所在地を明らかにされたい。
六 発進基地とACMI空域との間を行き来する訓練機の機数と回数は、月及び年間にどのくらいあると予想しているのか。
  同様に現在、基地からホテル・ホテル訓練空域(W一七三)へ行き来する訓練機の機数及び回数はどのくらいあるのか。
七 米軍がACMI空域で訓練をやる場合に、その都度日本の管制当局に通告はあるのか。
八 ACMI空域が最も民間航空路に近接しているところの距離間隔はどのくらいか。
九 訓練機の嘉手納基地とACMI空域との往復飛行は民間航空路の要衝を横切ることになるが、そのルートはどこか、また一定したルートか。
十 那覇空港の進入管制業務(高度六千メートル・半径九十キロメートル等)は、嘉手納基地、いわゆる嘉手納ラプコンが行つており、完全に米軍に握られている。
  しかも一九七五年五月の日米合意事項「(米軍の)防空任務に従事する航空機に対しては航空交通管制上の便宜を与える」に基づき、米軍用機の作戦行動を支障なく遂行するために民間機を排除して、特別の航空路が設定されている。
  こういう状況の下で、米軍の訓練機が民間航空路を横切る際に、離発着を遅らされたり、航空路の高度規制を受けることは、これまでの実例からして予想される。
  こういうことが全く無いと保障できるのか。もし保障できるというならその具体的根拠を示せ。
十一 米軍機が民間航空路を横切る量も急増し、ニアミス(異常接近)、コンフリクション(衝突)など、事故発生の可能性が非常に大きくなる。
  また、訓練機は超高速による空中戦闘をすることになれば、訓練空域から逸脱する可能性も否定できない。
  もし、そういうことがないというなら明確な根拠を示して説明されたい。
十二 沖縄と本土間の民間航空路の要衝に既存の訓練空域よりも更に隣接したところに設定されるACMI空域は、民間航空の安全確保の上で大きな障害となることは明瞭である。
  ACMI空域の危険な実態を国民の前に全く明らかにしないで、米側と日米合同委員会での最終的な合意を強行しようとしていることは一層重大である。
  国民の生命と安全にかかわるこうした危険きわまりないACMI空域の設定について、政府は断固拒否すべきであると考える。
  また、運輸省の了解を撤回するよう併せて強く要求する。
  重ねて政府の見解を求める。
十三 最後に、今日なお那覇空港の民間機の進入管制業務が米軍嘉手納基地に奪われていることは重要な問題である。
  この根拠となつている一九七二年五月十五日の日米合同委員会民間航空分科委員会での覚書きは、「合衆国政府は、日本政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制業務を行うことができるまでの暫定期間、これらの飛行場に対する進入管制業務を実施するものとする」となつている。
  沖縄が復帰して十三年目に入るが、覚書きでは「暫定期間」となつているにもかかわらず、進入管制業務を日本側に返還するという何らの兆しもない。
 1 政府は、これまでに返還交渉をしたことはあるのか、あるとすればその交渉経過について報告されたい。
 2 この際、米側と交渉し速やかに進入管制業務の日本への返還を求めるべきと考えるが、これについての見解を伺いたい。
 3 政府は、返還の時期をいつ頃と考えるか。

 右質問する。



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