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昭和五十九年十二月一日提出
質問第一号

 宍道湖・中海淡水化に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年十二月一日

提出者  武部 文

          衆議院議長 (注)永健司 殿




宍道湖・中海淡水化に関する質問主意書


 農林水産省は、宍道湖・中海淡水湖化に伴う水管理及び生態変化に関する研究委員会の「宍道湖・中海淡水湖化に関連する水理水質及び生態の挙動について」(以下「中間報告」と略す。)を公表し、全面淡水化の事業を進めているが、この中間報告の内容について、以下質問する。

一 中間報告四五一ページの一〇〜一二行目に「淡水湖化によつて塩分躍層が消失すると、上層から下層への溶存酸素の供給速度が大きくなつて、リンの溶出が抑制されることになる。このような酸素の供給速度を見積ることは、下層におけるその消費速度や風による湖水の乱流拡散の影響等が大きいため現段階では困難である。」とあるが、淡水化されても底泥による酸素消費は行われるわけであり、酸素の供給速度が分からなければ、その効果は期待できないはずであるが、この点どうか。
  更に、農林水産省がまとめた中間報告要旨の三六ぺージの四〜六行目と、中間報告の一〇〜一二行目の表現が異なるが、これはどういうことか。
二 中間報告の三七ページ三四〜三五行目の「現時点における本委員会の淡水湖化に関する科学的影響評価は、湖外からの流入負荷量が現状のまま推移するとすれば」という大前提の下で、淡水湖化は湖の現況程度の水質をほぼ維持できるとしているが、島根県の「宍道湖・中海水質管理計画」では、流入負荷量は年々増加すると予測している。
  県の水質管理計画は、科学的でないものかどうか。
  この前提が崩れれば、淡水湖化は、現況程度の水質すら維持できないと理解してもよいのか。
三 中間報告二二九ページで「この様な低風速下でも湖心部で四〜五mm/s程度の流速が発生し、たとえ極度な渇水状態が長期間継続した場合でも湖水は循環という流動を持続し、完全な停滞はまず起りえないものと考えられる。」と渇水時でも、吹送流によつて停滞性を解消できるとしているが、吹送流の具体的な影響を明らかにされたい。
  更に、中間報告二八三ページで「中海の水質上最も注意を必要とするのは、一年を通じて夏期であり、河川の渇水もまた夏期に生ずる。水管理上夏期の流量が激減したときの対策は以下のようになされる。@夏期は、農業用水利用の最盛期に当り、中海沿岸に散在する揚水ポンプの効果により人工的に湖流が発生する。」としているが、具体的にどの程度の流向、流速が発生して、停滞性を解消できるのか明らかにされたい。
四 昭和五十八年度に島根県水産試験場が水産庁の委託で行つた研究においても、ヤマトシジミ漁によるチッソ・リン(N・P)の持ち出しについての効果が大きく評価されているが、水質解析シミュレーションに当たりヤマトシジミ漁をモデルに組み込むべきであると考えるがどうか、明らかにされたい。
五 洪水時等において、中浦水門の開閉による操作を行うとされているが、全開の場合には、塩水の流入が外海より起こると考える。その場合の時間帯位の流入はどれだけの量となり、更に、閉門後、何時間において、塩水濃度二〇〇ppmに戻るとされているのか。
六 中間報告では、中海におけるアオコの現状確認は示されていないが、昭和五十九年十一月二十二日の米子市中学校科学研究会で、米子市尚徳中学校科学部の研究発表によれば、昭和四十六年前後(中浦水門工事時)と昭和五十六年の干拓堤防時、昭和五十八年七月末(月間雨量三五六mm)にもミクロキスティスの発生が確認されているが、これらの調査について見解はどうか。

 右質問する。





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