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昭和五十九年十二月一日提出
質問第二号

 自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年十二月一日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 (注)永健司 殿




自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問主意書


 政府は、交通事故による保険収支の悪化並びに保険金支払い限度額引上げを理由として自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の料率引上げを検討し、現在、自動車損害賠償責任保険審議会に諮問中である。
 私はこの件に関し、第九十五回国会決算委員会、第九十六回国会交通安全対策特別委員会、第九十八回国会予算委員会で問題点を指摘したが、これらの解決のないまま料率引上げが審議され決定されることは極めて遺憾である。
 しかも自賠責特別会計から二千五百六十億円もの巨額の運用益を一般会計に繰り入れた状況での料率引上げは、昨年、衆参両院で「今回の繰入を理由として安易な保険料の引上げを行わないよう努めること」との附帯決議違反でもある。これでは国会審議は全く形骸化し納得できるものではない。
 自賠責保険は、自動車全保有者に加入を義務付けている強制保険であり、「準税金」的性格を有するものである。また、自動車、オートバイの保有台数が約六千万台に達していることから、保険料率の引上げは国民生活に重大な影響を及ぼすことは明らかである。
 更にユーザー及び国民にとつて自賠責保険制度は、その収支状況等が全般的に不明瞭かつ理解しにくい制度となつているため、収支悪化を理由とした保険料値上げに強い不信感を抱いている。保険料率の引上げを極力抑制し、国民負担の軽減を図るとともに、国民に保険制度をより明確に理解させる必要から自賠責保険に関し、次の事項について質問する。

一 現在、自賠責保険の運用益は、国の特別会計で五千七百六十億円、損保会社など八百二十億円、合計六千五百八十億円に達している。こうした運用益については、過去数次にわたる自賠責保険審議会の答申が示すとおり保険料負担の軽減(昭和四十四年答申)及び収支改善の財源(昭和四十八年、昭和五十三年答申)に資すべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。
二 自賠責保険が制度的に定着した現在、再保険する必要性はなくなつたと考えられるが、再保険制度を見直す考えはないか見解を明らかにされたい。
三 自賠責保険料率の引上げとともに農協共済の保険料率の引上げが検討されているが、収支内容の異なる農協共済の保険料を自賠責保険料と同率の引上げをする理由を明確にされたい。
四 自賠責保険の収支、料率算定については、自動車保険料率算定会の算出する資料に基づいているが、自賠責保険収支状況は、昭和五十八年のデータと昭和五十九年のそれとでは大幅な格差が見られる。年度予測に格差が生じた理由とその積算根拠を明らかにされたい。
  また、自賠責保険の収支は、毎年度どの様な方法で算出されているのか具体的に説明されたい。
五 自賠責保険の単年度収支は、昭和五十三年度以降から、また累積収支は、昭和五十七年度以降から、それぞれ赤字となり、赤字幅は拡大傾向にあると指摘されているが、今日まで収支改善策がとられなかつた理由を明らかにされたい。
六 医療費が傷害の損害額の大半を占め、慰謝料休業補償などの生活保障金が少なくなつているが、医療費の適正化については、自賠責保険審議会の昭和四十四年答申においても指摘されており、その対応が遅れている行政の責任は大きいといわざるを得ない。医療費適正化について、具体的にいつどの様な措置を講ずるのか見解を伺いたい。
七 後遺障害の認定は、現在、自動車保険料率算定会調査事務所において、後遺障害認定担当者が後遺障害診断書の審査に当たつていると聞くが、その審査業務を担当している者の資格基準及び後遺障害審査基準を明らかにされたい。
八 自動車損害賠償保償法第二十六条は、責任保険については「損害保険料率算出団体に関する法律第十条の二の規定は適用しない」とし、利害関係者の異議申し立てはできないこととしている。それだけに、自賠責保険審議会は、審議に当たつて、ユーザーの意見を十分反映させることに努めるべきである。しかし、現在の審議会の構成からは、ユーザーの意見が反映されているとは考えにくい。ユーザー代表といわれる代表委員は臨時委員に過ぎない。この際、ユーザー代表の委員を審議会委員とすべきであると考えるが政府の所見を問いたい。
九 更にユーザー等の意見を審議に反映させるため、公聴会を開催すべきであると考えるが、政府は審議会にその意向を表明する考えがあるか見解を伺いたい。
十 過去数次の自賠責保険審議会答申が指摘した自賠責保険の改善対策
 (1) メリット・デメリット制の導入
 (2) 重複支払いの廃止
 について、今後具体的にどの様に措置するか明らかにされたい。

 右質問する。





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