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昭和六十年六月二十四日提出
質問第四一号

 自衛官によつて写真撮影を妨害された事件に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年六月二十四日

提出者  矢山有作

          衆議院議長 坂田道太 殿




自衛官によつて写真撮影を妨害された事件に関する質問主意書


 本年三月三十一日午後二時四十五分頃、陸上自衛隊八戸駐屯地正門前において、わが党の機関紙「社会新報」の記者が、公道上から駐屯地方面にカメラを向けて写真撮影をしようとしたところ、警衛勤務中の自衛官数名に取り囲まれ、写真撮影を妨害されるという事件が発生した。
 その際、右自衛官らは記者に対して、「写真を撮るのは禁止されている。ちよつと中へ来てくれ。」「写真を撮つて何に使うのか。」「身分を証明するものを見せて欲しい。」「とにかく中へ来てくれ。」などと十数分間にわたつて詰問し、これらの発言の根拠を問いただした同記者に対して、「そういうことは言えない。上からそう指示されている。」と述べたという。
 戦前の時代においては、例えば軍機保護法が、「陸軍大臣又は海軍大臣は軍事上の秘密保護の為必要あるときは命令を以つて……軍事施設……に付……撮影……を禁止し又は制限することを得」(第八条)と定め、あるいは要塞地帯法が、「何人と雖……要塞地帯内水陸の形状又は施設物の状況に付撮影……を為すことを得ず」(第七条)と定めていた。だが、平和主義と国民主権主義の日本国憲法を最高法規とする今日においては、このような国民の人権抑圧を目的とした法律は存在せず、個人のプライバシーに対して配慮する場合を除いては、国民がいかなる場合に、いかなるものを写真撮影しようと一切自由なはずである。
 それにもかかわらず自衛隊の駐屯地に関して、自衛官が国民に対して「写真撮影は禁止されている」などと述べ、犯罪を犯しているわけでもない者に向かつて自衛官が氏名を問いただしたり、基地内への同行を求めるなどということは、主権者たる国民に対する重大な挑戦と言わねばならない。
 またこれが、もし防衛庁の指導によつて行われていたものであるとするなら、防衛庁が戦前の軍機保護法や要塞地帯法の内容を実質的に復活させ、あるいは先般国会に提出された機密保護法の内容を先取りしているものと言わざるを得ず、極めて危険な事態である。
 よつてこのことについて、次のとおり質問する。
 

一 防衛局運用課長からの私に対する口頭説明によれば、一九七五年に作成して各部隊に配布した「法律支援事例集」で、写真を撮られたくない場合は「撮影禁止」の立て看板を出すように指導しているという。
 1 国民に対して自衛隊が「撮影禁止」を要求するのは、いかなる法的根拠に基づくものか。またこの表示は、国民に対しては何の強制力も持たないと思うが、政府の見解はどうか。
 2 「撮影禁止」の表示があるにもかかわらず国民が写真を撮影した場合は、どのような措置をとるように、防衛庁は隊員を指導しているか。
 3 現在、「撮影禁止」の表示を出している自衛隊の施設はどこか。その施設の名称(駐屯地・基地の名前)を明らかにされたい。
二 前記八戸駐屯地においては、「撮影禁止」の表示は掲示されていない。防衛庁は自衛官に対して、「撮影禁止」の表示のあるなしを問わず、国民が自衛隊の施設を写真撮影することを禁止するよう指導しているのか。
三 防衛庁は自衛官に対して、自衛隊施設を写真撮影している国民に、基地内への同行を求めるよう指導しているのか。指導しているとすれば、その根拠は何か。
四 右運用課長の説明によれば、防衛庁は自衛官に対して、幕僚長名の通達をもつて、写真撮影などしている者を発見した場合は、その者の住所、氏名、目的等を問うよう指導しているというが、その根拠及びその通達の名称、発出年月日を明らかにされたい。
五 警察権を有するわけでもない一般の自衛官が、今回のケースのように、国民に対して威圧的に氏名等を詰問し、同行を求めるなどというのは、刑法第百九十三条の公務員職権濫用罪に当たる違法な行為と言わねばならない。
  防衛庁は、隊員がこのような違法行為を行うことを認めているのか。
六 「陸上自衛隊服務規則」第六十条第二項は、「警衛勤務者の職務及び勤務要領等については、この訓令に定めるもののほか陸上幕僚長が定める」としているが、これに従つて陸上幕僚長が定めている通達等の名称、制定年月日を明らかにされたい。

 右質問する。





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