質問本文情報
昭和六十年十月二十四日提出質問第二号
米空母艦載機夜間離着陸訓練基地建設構想に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十年十月二十四日
衆議院議長 坂田道太 殿
米空母艦載機夜間離着陸訓練基地建設構想に関する質問主意書
私は昨年七月十二日の米空母艦載機夜間離着陸訓練(NLP)基地化問題に関する質問主意書で、NLPに伴う米軍要員の駐留の可能性や基地の規模、あるいは米軍への基地の提供形態などをただした。それに対して政府は、「いまだ結論を得ていないので具体的構想を述べることはできない。」と事実上の答弁拒否を行つた。しかし、厚木基地の代替というからには詳細は別として政府に構想がないはずはない。
現に、一九八三年(昭和五十八年)、三宅村議会の当時の三宅島空港建設促進特別委員会が、議会が住民になんの説明もせずに採択したNLP基地誘致意見書をたずさえ、首相や防衛庁長官など関係大臣に提出したさい、当時の塩田防衛施設庁長官は構想の基本について説明を行つている。
一九八三年十二月二十八日付の村議会に対する「三宅島新空港建設促進特別委員会」の報告書によれば、塩田長官は、
「訓練は夜間行い、時間については厚木の場合、午後六時から午後十時くらいまで訓練しておる。訓練時間は冬と夏では違いがある。」
「三宅島の場合は多少多くなる。」
「米軍兵士の滞在に伴う住民とのトラブルはないと思う。」
「空港管理については米軍が行う可能性がある。」
「(飛行場の規模は)幅員は三百米から四百米くらい。延長は一千八百米から二千米です。」
と公式に説明している。
政府はNLP基地建設地として三宅島に的をしぼり、さまざまな圧力や働きかけを行いながら、具体的な構想を示そうとはしない。事実を隠し、それが明らかになつたときには既に遅し、といつた状況をつくりだすようなことがあつては断じてならない。しかも、当時の誘致派議員等には説明しながら国会では質問にも答えないという政府の態度は許されない。
以下、NLP基地化問題が重大な局面を迎えているので、その構想について、改めて具体的に質問する。
二 訓練時間について
1 塩田防衛施設庁長官が説明したように、三宅島の場合、厚木に比べて訓練時間が多くなる可能性があるのか。
2 それは現在の二機編隊での訓練が四機編隊、あるいは六機編隊での訓練になる可能性もあるということか。
三 米軍要員の駐留について
1 塩田長官は、「米軍兵士の滞在」「居住」を前提にした説明を行つているが、米軍機の夜間訓練に伴う米軍要員が、訓練期間中は駐留するのではないか。
2 その場合、指揮、訓練評価、機体整備、基地整備、補給、事故対策などのための米軍要員が考えられるが、どのような目的をもつた要員が配置されると考えるか。また、その要員数はどの程度が考えられるか。
3 米空母艦載機の夜間離着陸訓練は米軍規程に基づいて行われると思うが、そのさいの基地の運用の在り方や態勢、すなわち人員の配置や訓練の評価、基地の整備、補給、事故対策などについてはどのように規定されているか説明されたい。
四 空港管理は米軍が行う可能性があるのではないか。また、訓練期間中の空港管理はどういう形態が考えられるか。
五 飛行場の規模について
1 塩田防衛施設庁長官は飛行場の規模を、幅員三百米から四百米、長さ一千八百米から二千米と説明しているが、このとおりか。
2 昨年四月の「PHP WORLD REPORT」誌上で米国防総省を取材した日高義樹NHK特派員が、当面アメリカは「二千メートル程度の滑走路をつくれば十分」だが、「国防総省の考えによれば、三宅島に夜間離着陸訓練用の飛行場をつくれば、それを充実させることによつてシーレーン確保のための重大な拠点ができることになる。」と述べている。「当面二千メートル」の構想が、将来は「充実」される可能性は絶対にないといいきれるか。
右質問する。