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昭和六十年十二月六日提出質問第一四号
保育所国庫負担に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十年十二月六日
衆議院議長 坂田道太 殿
保育所国庫負担に関する質問主意書
保育所は、児童福祉法(第七条、第三十九条)による児童福祉施設として保育に欠ける乳幼児に関し、市町村長の入所措置(法第二十四条)に基づき必要な保育が行われる所である。
保育に要する費用は、法第五十一条により、市町村長が入所措置をとつた場合、入所に要する費用、入所後の保護につき最低基準(法第四十五条)を維持するために要する費用、即ち、(一)措置児童の一般生活費、(二)人件費、(三)管理費を保育単価(措置児童一人当たり月額単価)として定め、これに各月初日の在籍児童の数を乗じて得た額を支弁することとしている。
国庫負担は、法第五十三条に、地方公共団体の支弁する費用に対し政令の定めるところにより、その「十分の八」を負担するとしている。
然るに、「国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律」による児童福祉法の一部改正により、昭和六十年度適用に限り、法第五十三条中の「十分の八」とあるのは「十分の七」と、法第五十五条中「十分の一」とあるのは「十分の一・五」と改正された。また、昭和五十九年十二月二十二日付をもつて大蔵・自治・厚生三大臣の覚書により、「この措置は、昭和六十年度における暫定措置とする」旨確認された。
昭和六十一年度予算編成期を控え、新聞報道によると、政府の補助金問題検討会において、保育所については補助率「十分の八」を「十分の五」程度まで引き下げることを検討されているとありますが、保育所に対する補助金は、市町村の支弁額に対する国庫負担を他の一般高率補助と同列に取り扱うことは不公平であります。
その理由は、国の責任分担として国庫負担制度を採用していること、また、法第五十六条第一項により市町村長が支弁した措置に伴う費用は、それぞれ本人又はその扶養義務者から徴収しなければならない(施行規則第四十八条)。もし納付しないときは、国税滞納処分の例により処分する(法第五十六条第七項、国税徴収法第四十七条)となつている。
「国の定める保育単価による支弁額に対し、同じく徴収金基準額表による徴収金(保育料)の徴収率は、昭和五十九年度四九・五二%、六十年四月、五月は五〇・五七%、五〇・八七%を示している。従つて、保護者負担は支弁額の約半分を占めている」
国は、その年度において、地方公共団体における支弁総額から徴収金総額を控除した額を基本額(精算額)として、その基本額(精算額)の「十分の八」に相当する額を負担するものである(施行令第十四条、第十七条第三項)。
従つて、国庫負担は現行「十分の八」が「十分の四」の交付となつており、昭和六十年度は「十分の三・五」の交付額となるのである。五割以上の一般高率補助に該当しないことは明白である。
もし言われるように「十分の八」を「十分の五」とするならば、国庫負担は「十分の二・五」となる。
故に、このような引下げ措置は保育事業を根底から崩壊さすものであり、乳幼児の健全育成が大幅に後退を余儀なくされ、到底容認することはできません。
従つて、次の事項について質問する。
右質問する。