質問本文情報
昭和六十一年一月二十九日提出質問第三号
捜査関係事項照会に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十一年一月二十九日
提出者 和田貞夫
衆議院議長 坂田道太 殿
捜査関係事項照会に関する質問主意書
刑事訴訟法第百九十七条第二項による捜査関係事項の照会は、乱用すべきでないことは言うに及ばないことであるが、特に、金融機関への照会に至つては、後日当該被嫌疑者の無実が明白になつても取り返しがつかないことになりかねないものである。
大阪府南警察署所属の司法警察員井上斉警視が同法第百九十七条第二項所定の捜査関係事項照会と称して、昭和六十年五月二十九日付で畿内銀行協会宛に、大阪市住吉区苅田町五丁目一八番一二号株式会社富士住建社長安原治氏と同銀行協会加盟の各金融機関との昭和五十七年五月以降の取引状況に関する回答を求めた行為は、後述のとおり極めて不当且つ違法な行為であると思われる。嫌疑を受けたものにとつては、その対策は緊急を要するものと考える。
従つて、次の事項について質問する。
二 同警視が本件捜査をするに至つた動機は、昭和六十年五月十九日午後四時十分頃、大阪市南区上本町西三丁目三番五号の「ソーマ化粧品」所有に係る倉庫が不審火により全焼したことにあるようだが、隣接する五軒長屋が株式会社富士住建社長安原治氏が実質上所有していることが、右不審火とは何ら無縁のものであるにもかかわらず、同社長に嫌疑をかけ、調査も不十分なまま同照会書を送付することは不当違法な行為ではないか。
三 警察官のこの種行為は、一度犯されてしまえば取り返しがつかないことになることは明明白白である。
現に金融機関から「何か犯罪に係わつているのではないか」との疑念を持たれて、金融取引上著しく信用を棄損され、新規融資の停止や融資枠の抑制等により莫大な損害を被つていることに対して、政府は何らかの手立てを講ずる必要があるのではないか。
右質問する。