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昭和六十一年四月十一日提出
質問第一三号

 「日米防衛協力のための指針」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十一年四月十一日

提出者  矢山有作

          衆議院議長 坂田道太 殿




「日米防衛協力のための指針」に関する質問主意書



 「日米防衛協力のための指針」(以下「ガイドライン」と言う。)について次のとおり質問する。

一 ガイドラインの性格等について
 1 ガイドラインは、条約法に関するウィーン条約第二条に言う「条約」に当たるか。また、同条約第三条に言う「国際的合意」には当たるか。
 2 ガイドラインの正文は、英文と日本文のどちらか。
 3 ガイドラインについて、「閣議はこれを了承いたした」(昭和五十四年五月八日、衆議院内閣委員会、原政府委員)とされているが、「閣議の了承」とは、法的にはどのような性格を有する行為か。また、「了解」との相違如何。「決定」との相違は如何。
 4 ガイドラインに基づく次の各研究を担当しているのは、統幕では第一〜第五幕僚室のどれ
か。各幕ではそれぞれ何課か。また、それぞれの研究の現在までの進捗状況はどうか。
  (1) 共同作戦計画
  (2) 作戦上必要な共通の実施要領
  (3) 調整機関のあり方
  (4) 作戦準備の段階区分と共通の基準
  (5) 作戦運用上の手続
  (6) 指揮及び連絡の実施に必要な通信電子活動に関し相互に必要な事項
  (7) 情報交換に関する事項
  (8) 補給、輸送、整備、施設等後方支援に関する事項
 5 ガイドラインに基づく各研究に関連して、防衛庁又は外務省が、防衛、外務以外の省庁との間で、研究、協議、調整、照会等を行つたことはあるか。あるとすればどの項目について、どことやつたのか。また、その内容は何か。
 6 昭和五十三年十二月十五日に防衛庁長官が発した「日米防衛協力に関する研究作業の実施に関する長官指示」の番号はいくつか。また、あて先及び配布区分は誰か。秘区分は何か。
 7 ガイドラインに基づく研究に関して政府は、「このガイドラインができた後、研究に入るに当たりまして、防衛庁長官が閣議で特に発言しまして、これから先の研究は防衛庁長官の責任においてやらしていただきたいということを申し上げて了承いただいて始めておるということでございますので……外務大臣にこの研究の中身を御報告するという立場にはございません」(昭和五十六年三月十八日、参議院予算委員会、塩田政府委員)と述べているが、「防衛庁長官の責任で研究を行う」とは、他省庁の容喙を許さないという意味なのか。
二 「前文」の内容について
 1 「関連取極」は、英文では related arrangements と複数形になつているが、具体的には何を指すのか。該当するものすべてを明らかにされたい。
 2 「日米両国が有している権利及び義務」とは何か。また、それに「影響を与えるものと解されてはならない」とはどういうことか。
 3 「便宜供与」と「支援」はどう違うのか。
 4 「関係法令」とは具体的には何か。また政府は、ガイドラインに基づく米国に対する日本の便宜供与は「日本の関係法令に従う」のであつて、「今の現行法令ということで考えておるわけではございません」(昭和五十九年三月二十七日、衆議院内閣委員会)と述べているが、「関係法令」と「現行法令」とはどう違うのか。
 5 「日本の関係法令に従うことが了解される」(It is understood that……)と受身形になつているが、「了解」する主体は誰か。
三 I(侵略を未然に防止するための態勢)の1について
 1 「その防衛政策として」は、どこまでかかるのか。また、あえて「防衛政策として」という言葉を入れた理由は何か。
 2 「自衛のため必要な範囲」とは具体的にはどのような範囲か。
 3 「最も効率的な運用を確保するための態勢を整備」するとあるが、それには法令の整備を含むか。他には何が含まれるか。
 4 「地位協定に従い、米軍による在日施設・区域の安定的かつ効果的な使用を確保する」とはどういう意味か。また、「安定的な使用」と「効果的な使用」はどう違うのか。
 5 ガイドラインの他の部分ではすべて「取極」という言葉を用いているのに対して、ここだけ具体的に「地位協定」としているのはなぜか。
 6 核攻撃力を有する米軍部隊と自衛隊が共同行動をとることは、我が国の非核三原則に反するのではないか。
 7 ガイドラインによれば、米軍は「自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦」を実施することになつており、その作戦には、米海軍部隊による「機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦」及び米空軍部隊による「航空打撃力を有する航空部隊の使用を伴うような作戦」が含まれるというが、これらの打撃力には核兵力も含むのではないか。これらの米軍による核兵力の使用に関しては、日米間でどのような協議が行われているか。
 8 日本防衛のためにこれら米軍が核兵器を使用する場合には、日米間でどのように協議することになつているか。
 9 「即応部隊」とは具体的にはどの部隊か。
 10 「前方展開」とはどのような展開か。また、「前方」とは具体的にはどこか。
 11 「来援し得るその他の兵力」とは具体的には何か。
四 Iの2について
 1 「日本に対する武力攻撃」と、日米安保条約第五条の「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」との関係如何。
 2 「共同対処行動」とはどのような行動か。また、「共同対処行動」と「共同作戦」との関係如何。
 3 「作戦、情報、後方支援等の分野……」の「等」の内容は何か。
 4 「作戦」「情報」「後方支援」を、自衛隊ではそれぞれどう定義しているか。
 5 「自衛隊と米軍との間の協力態勢」とは、具体的にはどのような態勢か。
五 Iの2の(1)について
 1 「日本防衛のための整合のとれた作戦」とはどのような作戦か。
 2 「共同作戦計画」とは何か。また、「共同作戦計画」では何が定められるのか。
 3 「共同作戦計画」と自衛隊が毎年度作成している各防衛計画とはどういう関係に置かれるのか。
 4 「共同作戦計画についての研究」とは何か。
 5 他の事項については、例えば「共通の実施要領を……準備しておく。」「共通の基準を……定めておく。」としているのに、何故、共同作戦計画については「研究を行う」だけで、「作成」したり「定め」たりするとしなかつたのか。
 6 「共同作戦計画についての研究」と「防衛研究」との関係如何。
 7 「共同演習」と「共同訓練」との相違如何。
 8 「共通の実施要領」とは何か。
 9 「この実施要領には、作戦、情報及び後方支援に関する事項が含まれる」とあるが、作戦、情報、後方支援以外ではどのような事項について、「共通の実施要領」は定められるのか。
 10 「共通の実施要領」で既に存在しているものはあるか。また、その内容は何か。
 11 防衛庁は国会で、海上自衛隊が昭和三十四年頃からACP(連合軍通信要領書)やATP(連合軍戦術要領書)を米軍から提供されて使用していると答弁(昭和五十九年十月十六日、衆議院安保特別委員会)しているが、このACP、ATPとはどのようなものか。
 12 大高説明員は同委員会で、「こういつた文書」という表現を使つているが、「こういつた文書」にはACP、ATP以外に何があるか。
 13 海上自衛隊はリムパック84で何種類のACP及びATPを使用したか。また、それらの名称、内容、秘区分は何か。
 14 航空自衛隊はACPやATPを使用したことがあるか。陸上自衛隊はどうか。また、それはいつからか。
 15 海上自衛隊は現在、それぞれ何種類のACP、ATPを使用しているか。航空自衛隊、陸上自衛隊はどうか。
 16 ACP、ATPは「共通の実施要領」に当たるか。
 17 米軍が同盟軍との間で結んでいる標準化協定(Standardization Agreement)は、「共通の実施要領」に当たるか。
 18 現在までに日本が米国との間に結んだ標準化協定はあるか。その番号及び名称は何か。
 19 陸自教範「野外幕僚勤務」第二二四に言う「作戦規定」はここに言う「実施要領」に当たるか。
 20 「共通の実施要領」と「共同作戦計画」との関係如何。
 21 「通信電子」「連絡」をそれぞれ自衛隊ではどのように定義しているか。
 22 「通信電子活動に関して相互に必要な事項」とは具体的には何か。そのようなもので既に定められているものもあるのではないか。
 23 「通信電子活動に関して相互に必要な事項」とACPとの関係如何。
六 Iの2の(2)について
 1 「情報を作成」するとはどういうことか。
 2 情報の「交換」は、これまでも行つてきているのではないか。
 3 自衛隊の情報を米軍に提供する国内法上の根拠は何か。
 4 「交換する情報の種類」とは何か。
 5 「交換の任務に当たる自衛隊及び米軍の部隊」とはどのような部隊か。
 6 「相互間の通信連絡体系」とはどのようなものか。それを「整備」するとは具体的にはどうすることか。それには、自衛隊の通信回線と米軍の通信回線とを接続することが含まれるか。
 7 「相互間の通信連絡体系の整備等所要の措置を講ずる」とあるが、「所要の措置」には他に何があるか。
七 Iの2の(3)について
 1 「補給」「輸送」「整備」「施設」をそれぞれ自衛隊ではどう定義しているか。
 2 補給についての「相互支援」とは何か。そのために何を「調整し又は研究を行う」のか。
 3 輸送についての「相互支援」とは何か。そのために何を「調整し又は研究を行う」のか。
 4 整備についての「相互支援」とは何か。そのために何を「調整し又は研究を行う」のか。
 5 施設についての「相互支援」とは何か。そのために何を「調整し又は研究を行う」のか。
 6 「補給、輸送、整備、施設等の各機能」とあるが、「等」の内容は何か。
 7 「共同の……計画作業」とあるが、この「計画」と「共同作戦計画」との関係如何。
 8 「予想される不足補給品目」とはどういうことか。
 9 「補完の優先順位」とは何か。
 10 「取得」を自衛隊ではどう定義しているか。また、「緊急取得」とは何か。
 11 「緊急取得」には、自衛隊法第百三条に基づく「物資の収容」は含まれるか。
 12 「緊急取得要領」とは何か。この「要領」は英文では procedures と複数形になつているが、具体的にはどのような分類で、何種類の「要領」を作るのか。
 13 「緊急取得要領」で、現在既に定められているものはあるか。それは何か。
 14 「緊急取得要領等」とあるが、「等」の内容は何か。
 15 基地の「経済的かつ効率的な利用」とはどんな利用か。また、「経済的な利用」と「効率的な利用」はどう違うのか。更に「経済的かつ効率的な利用」は、Iの1に言う「安定的かつ効果的な使用」とはどう違うのか。
 16 「調整」には日米間での新たな「取極」の締結は含まれるか。
 17 この「調整」に関連して、日米間で取極が結ばれたことはないか。
八 II(日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等)の1(日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合)について
 1 「武力攻撃がなされるおそれのある場合」とは何か。また、これと自衛隊法第七十六条の「武力攻撃のおそれのある場合」との関係如何。
 2 「日米両国は、連絡を一層密にして……」とあるが、この「連絡」はいかなるルートを通じて行うのか。
 3 日本が行う「所要の措置」の内容如何。
 4 「情勢の変化に応じて必要と認めるときは……必要な準備を行う」とあるが、「必要」か否かの判断は誰が行うのか。この判断については国防会議に諮るか。国会の承認は得るか。
 5 「自衛隊と米軍との間の調整機関」とは何か。この「調整機関」は英文では a coordinationcenter と単数になつているが、それはどこに、いつ、どのような手続を経て開設するのか。
 6 「調整機関」の日米双方の責任者は誰か。管理運営はどこが行うか。
 7 「調整機関」には幕僚部は置かれるか。また、調整機関に付置すべき機構としてはどのようなものがあるか。
 8 「調整機関」の勤務態勢は何段階に区分されるか。
 9 「必要な準備」には、調整機関の開設以外に何があるか。
 10 「作戦準備」には、次のことは含まれるか。
  (1) 防衛出動待機命令(自衛隊法第七十七条)
  (2) 治安出動(同七十八条)
  (3) 治安出動待機命令(同七十九条)
  (4) 海上保安庁の統制(同八十条)
  (5) 海上における警備行動(同八十二条)
  (6) 防衛招集(同七十条)
  (7) 物資の収容、施設の管理(同百三条)
  (8) 業務従事命令(同百三条二項)
 11 「作戦準備」は、防衛出動待機命令より前の時点から着手されるのか。その場合、誰が、いかなる権限に基づいて、それを命ずるのか。
 12 「共通の準備段階」とは何か。それは何段階に区分されているか。
 13 「作戦準備」のうち、どのようなものを「協力して行う」のか。
 14 「共通の基準」とは何か。また、「共通の準備段階」との関係如何。
 15 「共通の基準」と「デフコン」との関係如何。「プレプコン」との関係はどうか。
 16 航空自衛隊の「警戒態勢」と「デフコン」との関係如何。「防空態勢」との関係はどうか。
 17 「共通の基準」で現在既に定められているものもあるのではないか。それは何か。
 18 「共通の基準」は、防衛出動命令以前の段階についてだけ設けるのか。防衛出動以後の作戦段階についてはどうするのか。
 19 「情報活動」とは何か。それは「情報」とどう違うのか。
 20 「行動準備」とは何か。それは「作戦準備」とどう違うのか。
 21 「移動」を自衛隊ではどう定義しているか。
 22 「管理移動」とは何か。定義を明らかにされたい。
 23 「その他の作戦準備に係る事項」とは、英文では matters と複数になつているが、具体的には何か。
 24 「部隊の警戒監視のための態勢」とは何か。
 25 「部隊の戦闘準備の態勢」とは何か。
 26 「戦闘準備」と「行動準備」との相違如何。「作戦準備」との相違如何。
 27 「共通の基準」の区分は、「共通の準備段階」の区分と完全に一致するのか。
 28 準備段階の選択についての「日米両国政府の合意」を行う場は日米安保協議委員会か。
 29 日本政府が行う準備段階の選択は、閣議に諮つて決めるのか。国防会議等の閣議以外の場で決めることもあり得るのか。
九 IIの2(日本に対する武力攻撃がなされた場合)の(1)について
 1 「限定的かつ小規模な侵略」とはどのような侵略か。
 2 侵略が「限定的かつ小規模」であるとの判定は誰が行うのか。
 3 「侵略の規模」と「侵略の態様」の相違如何。
 4 「侵略の……態様等」の「等」は英文では other factors of aggression (他の侵略の諸要素)となつているが、それは具体的には何か。
 5 「独力で排除することが困難」との判定は誰が行うのか。
 6 ガイドラインは「日本は……限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する」場合と、「独力で排除することが困難な場合には、米国の協力をまつて、これを排除する」場合の二つの場合を挙げて、侵略を排除するに当たつて、「米国が協力しない」場合があり得ることを明示している。だが、日米安保条約第五条は、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対しては、それが「限定的かつ小規模」であると否とを問わず、「共通の危険に対処するよう行動する」ことを米国に義務付けているのであり、侵略排除に当たつて米国が協力しない場合があり得ることを日米間で合意したことは、安保条約を事実上改定したものと言わねばならない。政府の見解如何。
十 IIの2の(2)について
 1 英文の defense capability と defense capacity を、邦文は「防衛力」と、同じ訳語をあてているが、この二つはどう違うのか。
 2 防衛力を使用する上での「適時な方法」(timely manner)とは何か。
 3 防衛力を使用する上での「効果的な方法」(effective manner)とは何か。
十一 IIの2の(2)の(i)(作戦構想)について
 1 「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い」とあるが、そうすると自衛隊は「従として」攻勢作戦なども実施するのか。
 2 「防勢作戦」を自衛隊ではどう定義しているか。また、「防衛作戦」との相違如何。
 3 「周辺海空域」の範囲如何。
 4 米軍の行う「支援」の内容如何。
 5 「自衛隊の能力の及ばない機能」(英文では functional areas と複数形)とは具体的には何か。また、それを「補完するための作戦」とはどのような作戦か。
 6 報道によれば、「自衛隊の能力の及ばない機能」に関連して、防衛庁首脳は、敵地攻撃や核兵器、空母、長距離爆撃機の運用などについて「米側とこれらの点を協議するに際しては『いつ、どこで、どのような状況で使用するか』につき、わが国も独自の観点を準備することが必要だ」(一九七八年十一月三十日、読売新聞)と述べたと伝えられているが、これらについて自衛隊はどのような「観点」を準備しているのか。また、それに基づいて米側とはどのような協議を行つているのか。
十二 IIの2の(2)の(i)の(a)(陸上作戦)について
 1 「米空軍」「米海軍」とあるのに、なぜ「米陸軍」とせずに「米陸上部隊」となつているのか。
 2 「阻止のための作戦」とは何か。
 3 「持久のための作戦」とは何か。
 4 「反撃のための作戦」とは何か。
 5 「海上作戦」の項にも「航空作戦」の項にもない、「必要に応じ来援し」という文言をわざわざ挿入した理由如何。
 6 「必要」と判断するのは誰か。
十三 IIの2の(2)の(i)の(b)(海上作戦)について
 1 「陸上自衛隊及び米陸上部隊は、日本防衛のための陸上作戦を共同して実施」し、「航空自衛隊及び米空軍は、日本防衛のための航空作戦を共同して実施する」となつているのに、なぜ「海上作戦」については「日本防衛」という言葉が使われていないのか。
 2 「周辺海域の防衛」「海上交通の保護」とあるが、「防衛」と「保護」とはどう違うのか。また、「防備」との相違如何。
 3 「周辺海域の防衛のための海上作戦」とは何か。
 4 「海上交通の保護のための海上作戦」とは何か。
 5 「海上交通」とは、日本に来航する船舶、又は日本から外国へ向かう船舶の「海上交通」に限られるのか。それとも、日本の港を経由することなく、外国から他の外国へ(例えば米国から韓国へ)航行する船舶の海上交通も含むのか。
 6 「海上交通」には、米海軍の海上交通も含まれるか。
 7 ガイドラインによれば、「日本及び米国は、米国から日本への補給品の……輸送活動を緊密に協力して実施する」となつているが、「海上交通」には、この「米国から日本への補給品の……海上輸送」は含まれるか。
 8 「周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦」の部分は、英文では the defense of surrounding waters and the protection of sea lines of communication となつており、「周辺海域」の語は「海上交通」にかかつていないが、自衛隊が実施する海上交通保護作戦の地理的限界はどこまでか。
 9 「日本の重要な港湾及び海峡」とは具体的にはどこか。
 10 「港湾及び海峡の防備」とは何か。
 11 「対潜作戦」とは何か。
 12 「船舶の保護のための作戦」とは何か。
 13 「船舶」には米海軍の空母も含まれるか。
 14 「その他の作戦」とは具体的には何か。
 15 「陸上自衛隊は……を実施する」、「航空自衛隊は……を実施する」となつているのに、なぜ海上作戦についてだけ「海上自衛隊は……を主体となつて実施する」と、「主体となつて」という文言をわざわざ入れたのか。
 16 政府は、一九八四年四月十日に公表した「海上防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲について」の統一見解で、ガイドラインでは「「周辺海域」の範囲を、日米が共同して作戦を行う海域という観点から、航路帯を設ける場合のおおむね千海里程度の海域をも含むより広い概念で使用しているが、これは運用上の観点に立つたものである。」と述べている。ここに言う「運用上の観点」とは何か。
 17 米海軍が行う「支援」の内容如何。
 18 「機動力」(mobility)とは何か。
 19 「打撃力」(strike power)とは何か。
 20 「任務部隊」とは何か。
 21 「機動打撃力を有する任務部隊」とは、具体的にはどの部隊か。
 22 「機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦」とは具体的にはどのような作戦か。
 23 「侵攻兵力を撃退するための作戦」には、「機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦」以外に、どのような作戦が含まれるか。
 24 「侵攻兵力を撃退するための作戦」には、相手国土への攻撃も含まれるか。
 25 「米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し」、「米空軍部隊は、航空自衛隊の行う作戦を支援」するのに、なぜ米陸上部隊は陸上自衛隊の行う作戦を「支援」しないのか。
十四 IIの2の(2)の(i)の(c)(航空作戦)について
 1 「防空」とは何か。
 2 「着上陸侵攻阻止」とは何か。
 3 「対地支援」とは何か。
 4 「航空偵察」とは何か。
 5 「航空輸送」とは何か。
 6 「……航空輸送等の航空作戦」と「等」となつているが、「航空作戦」には右の外に何があるか。
 7 「対地支援」には相手国土への爆撃を含むか。
 8 「航空偵察」には相手国土の偵察も含むか。
 9 「航空輸送」には米軍の兵員の輸送も含むか。
 10 「航空輸送」には「日本から外国へ」又は「外国から日本へ」の輸送も含むか。
 11 米空軍部隊が行う「支援」の内容如何。
 12 「航空打撃力」とは何か。
 13 「航空打撃力」は英文では additional strike power となつているが、 additional の意味は何か。
 14 「航空打撃力を有する航空部隊」とは具体的には米軍のどの部隊か。
 15 「航空打撃力を有する航空部隊の使用を伴うような作戦」とは具体的にはどのような作戦か。
 16 「侵攻兵力を撃退するための作戦」には、「航空打撃力を有する航空部隊の使用を伴うような作戦」以外に、どのような作戦が含まれるか。
 17 「侵攻兵力を撃退するための作戦」には、相手国土への攻撃は含まれるか。
十五 IIの2の(2)の(i)の(d)について
 1 「情報、後方支援等の作戦に係る諸活動」と、「等」という文字が使われているが、「作戦に係る諸活動」には情報、後方支援以外に何があるか。
 2 「作戦に係る諸活動」に関する「必要な支援」の内容如何。
 3 自衛隊が米軍に「支援を与える」国内法上の根拠は何か。
 4 ガイドラインが統合部隊間の共同について全く触れていないのは何故か。
十六 IIの2の(2)の(ii)(指揮及び調整)について
 1 「指揮」及び「調整」を、自衛隊ではどう定義しているか。
 2 「指揮系統」は英文では command and control channels となつているが、 command(指揮)と control(統制)の相違如何。
 3 「指揮権」と「統制権」の相違如何。
 4 「作戦統制」とは何か。
 5 米陸軍の教範「作戦」は、第十七章「連合作戦」の「日本における作戦に影響を及ぼす要因」について述べた中で、自衛隊に対する「作戦統制はある限られた期間又は、特別の状況下で必要となる場合があろう」と述べている。そこで問う。
  (1)日米共同作戦に際して、自衛隊の部隊が自衛隊の指揮下に置かれたまま、ある特定の行動又は作戦に関して、米軍から作戦統制を受けることはないか。
  (2)同じく、自衛隊の部隊が米軍の部隊の下に配属されることはないか。
 6 「整合のとれた作戦」とは何か。
 7 「作戦運用上の手続」とはどのようなものか。
 8 「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」とあるが、「作戦運用上の手続」の何をどのように調整するのか。
 9 「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」と「共通の実施要領」の相違如何。
 10 「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」で、現在既に存在しているものはあるか。それは何か。
 11 いわゆる「松前・バーンズ協定」は今日もなお有効か。
 12 「松前・バーンズ協定」は締結以来今日までに何回改正されたか。その改正年月日はいつか。
 13 「松前・バーンズ協定」は、ガイドラインの「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」に当たるか。
十七 IIの2の(2)の(iii)(調整機関)について
 1 「自衛隊及び米軍は……作戦、情報及び後方支援について相互に緊密な調整を図る」とあるが、具体的にはどんな内容についての調整を行うのか。
 2 この調整機関と、自衛隊の中央指揮所との関係如何。
 3 この調整機関での調整は、自衛隊の制服組の手に完全に委ねられるのか。もしそうだとすれば、自衛隊の作戦の内容が日米の制服組の手で実質的に決定されることになり、シビリアン・コントロールがきかなくなるのではないか。調整機関での調整に対する防衛庁内局の関与の形態如何。また、外務省はどう関与するのか。
十八 IIの2の(2)の(iv)(情報活動)について
 1 「情報活動」とは何か。中曽根首相は、特殊部隊による諜報、謀略、破壊活動などをどう思うかとの質問に対して、「やつぱり近代防衛におきましてはインテリジェンスオペレーションというのは必要であり、日本の防衛に役立つと思つております。」(昭和五十九年三月三十日、参議院予算委員会)と答弁しているが、ガイドラインの「情報活動」も諜報、謀略、破壊活動などを含むのか。
 2 「情報組織」とは何か。米軍及び自衛隊の情報組織には、それぞれどのようなものがあるか。
 3 「自衛隊及び米軍は……協力して情報活動を実施する」とあるが、具体的には何をどのように協力するのか。
 4 作戦の「遂行(implementationと、作戦の「実施(conduct)」とはどう違うのか。
 5 「情報の要求」「情報の収集」「情報の処理」「情報の配布」とはそれぞれ何か。また、それぞれについて何を「調整」するのか。
 6 「保全」とは何か。それに「責任を負う」とはどういうことか。
 7 「保全に関し責任を負う」ための、新たな立法措置は必要ないのか。
十九 IIの2の(2)の(v)(後方支援活動)について
 1 「日米両国間の関係取極」は英文では relevant agreements と複数形になつているが、具体的には何を指すのか。該当するものすべてを列挙されたい。
 2 この「関係取極」は、現行の取極に限られるのか。あるいは将来日米間で締結される取極を含むのか。
 3 この「関係取極」と、ガイドラインの前文の「(安保条約の)関連取極」との関係如何。
 4 現在でも自衛隊が米軍に対して後方支援活動を行つている分野があるのではないか。その内容、実績及び国内法上の根拠を明らかにされたい。
 5 「後方支援(logistic support)」及び「後方補給(logistics)」をそれぞれ自衛隊ではどう定義しているか。
 6 日本(自衛隊)が米国(米軍)に対して行う後方支援には、人員の補充、捕虜・戦没者の取扱い、健康管理等の「人事」は含まれるか。
 7 「後方支援の各機能」とは具体的には何か。
二十 IIの2の(2)の(v)の(a)(補給)について
 1 「補給」「装備品等」「補給品」「取得」を、自衛隊ではそれぞれどのように定義しているか。
 2 米国が「米国製の補給品の取得を支援」するとは、どういうことか。
 3 日本が「日本国内における取得を支援する」とは、どういうことか。
 4 「日本は……支援する」とあるが、支援を行うのは具体的には日本のいかなる機関か。また、それについて所管する省庁は何か。
 5 「取得」と「調達」はどう違うか。
 6 日本側が行う「取得」には、自衛隊法第百三条に基づくものも含まれるか。
二十一 IIの2の(2)の(v)の(b)(輸送)について
 1 「輸送」を自衛隊ではどのように定義しているか。
 2 「米国から日本への……輸送」に従事する日本側の機関は何か。また、それを所管する省庁は何か。
3 「米国から日本への……輸送」に従事するものには、自衛隊法第百三条に基づき業務従事命令を受けたものも含まれるか。
二十二 IIの2の(2)の(v)の(c)(整備)について
 1 「整備」を自衛隊ではどう定義しているか。
 2 「品目」と「装備品」の相違如何。
 3 「サルベージ」と「回収」の相違如何。
 4 「米国製の品目の整備であつて日本の整備能力が及ばないもの」としては具体的にはどのようなものがあるか。
 5 「日本国内において米軍の装備品の整備を支援する」日本側の機関は何か。
 6 自衛隊が「米軍の装備品の整備」を行うことはあるか。あるとすれば、その国内法上の根拠は何か。
 7 これまで自衛隊が米軍の装備品の整備を行つたことはあるか。
 8 「整備要員の技術指導」とは具体的には誰が誰に何を指導することか。
 9 「関連活動」とは、何に関連する活動か。
 10 「サルベージ」「回収」の支援に当たる日本側の機関は何か。
二十三 IIの2の(2)の(v)の(d)(施設)について
 1 「施設」を自衛隊ではどう定義しているか。
 2 安保条約の「関連取極」は英文では arrangements と複数形になつている。この場合の関連取極として一つは米軍地位協定があると思われるが、他には何があるのか。
 3 この「関連取極」とガイドラインの前文に言う「関連取極」との関係如何。
 4 この「関連取極(related arrangements)」と、「(v)後方支援」の最初の部分にある「関係取極(relevant agreements)」との関係如何。
 5 基地の「効果的な使用」と「経済的な使用」の相違如何。
 6 ここに言う「効果的かつ経済的な使用」と、Iの2の(3)に言う「経済的かつ効率的な利用」との相違如何。また、Iの1に言う「安定的かつ効果的な使用」との相違如何。
 7 「同条約及び取極」の「取極」と「(安保条約の)関連取極」との関係如何。
 8 この「関連取極」は現行の取極を指すのか。それとも将来日米間で締結するものも含まれるのか。
 9 自衛隊の基地を米軍に使用させる法的根拠として政府は「地位協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律」第二条を挙げている(昭和四十六年三月一日、衆議院予算委員会)。
   だが同法は、国有財産の管理及び処分の方法、手続等を定めたものであつて、自衛隊基地を米軍に使用させる権限を自衛隊に与える法的根拠とはなり得ない。自衛隊の権限は自衛隊法に定めねばならないことは、自衛隊法第一条より明らかだからである。そこで問う。自衛隊基地を米軍に使用させる自衛隊法上の根拠規定は何か。
二十四 III(日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力)について
 1 「極東」の範囲如何。また、この「極東」には中東地域は含まれるか。
 2 「日本以外の極東における事態」とは具体的にはどのような事態か。また、それが「日本の安全に重要な影響を与える場合」とはどのような場合か。
 3 「日本の安全に重要な影響を与える」か否かの認定は誰が行うのか。その認定については国会に諮るか。また、閣議には諮るか。
 4 「日米両政府は……随時協議する」とあるが、この「協議」と日米安保条約第四条の「随時協議」との関係如何。また、この「随時協議」の場としては具体的には何を考えているのか。
 5 「その関連取極」(英文は its related arrangements と複数形)とは具体的には何か。
 6 「その関連取極」とIIの2の(2)の(v)の(d)に言う安保条約の「関連取極」は同一のものか。前文に言う「関連取極」とはどうか。
 7 「その他の日米間の関係取極」(英文は other relevant agreements と複数形)について政府は、「「その他の日米間の関係取極」というのは、日米相互防衛援助協定を意味しております」(昭和五十四年五月八日、衆議院内閣委員会)と、その一つを明らかにしているが、それ以外には何があるのか。
 8 「関係取極」とIIの2の(2)の(v)に言う「日米両国間の関係取極」との関係如何。
 9 「日本の関係法令」としては具体的には何があるか。
 10 「便宜供与のあり方」は、英文では the scope and modalities of facilitative assistance と、「便宜供与の範囲と方式」という表現になつているが、「便宜供与の scope(範囲)」とはどういうことか。また、「便宜供与の modalities(方式)」とはどういうことか。
 11 「米軍による自衛隊の基地の共同使用……のあり方」も英文は the scope and modalities of joint use と、「共同使用の範囲と方式」という表現になつている。「共同使用の scope(範囲)」と「共同使用の modalities(方式)」との相違如何。
 12 極東有事研究については作業の内容について公表しないことを日米間で合意していると言われているが、その合意は、@いつ、A誰によつて、Bどのような形でなされたのか。
 13 基地の共同使用以外の「その他の便宜供与」とは具体的には何を想定しているのか。
 14 政府は極東有事の際の米軍に対する便宜供与に関して、「現行法令上も物品管理法等で可能な分野がございます」(昭和五十九年三月二十七日、衆議院内閣委員会)と答弁しているが、現行法令上可能な分野としては具体的には何があるのか。また、「物品管理法等」と言つているが、物品管理法以外にはどのような法令を想定しているのか。
 15 ガイドラインは、「このような研究には、米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる」と、極東有事研究では「共同使用」及び「その他の便宜供与」以外についても研究を行うことを示しているが、それは何か。

 右質問する。





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