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昭和六十一年五月十五日提出
質問第二三号

 民間空港の米軍及び自衛隊の利用に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十一年五月十五日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 坂田道太 殿




民間空港の米軍及び自衛隊の利用に関する質問主意書


 私は、去る三月六日の衆議院予算委員会第七分科会(以下「予算第七分科会」という。)で、全国各地の民間空港が米軍によつて頻繁に利用され、しかも三宅島、函館などでは、タッチ・アンド・ゴー(離発着)訓練やゴーアプローチ(進入)訓練まで行われていた問題を取り上げ、その軍事的利用について追及した。
 このときの私の質問に対して、三(注)運輸大臣は、米軍の利用目的が物資の輸送、給油であり、通告があれば当然その使用を認める旨答弁した。
 民間空港の安全を考えるべき立場の運輸大臣が、米軍の軍事的利用を積極的に受け入れていく態度を表明したことは、極めて重大である。
 運輸省当局が提出した資料によれば、昨年の米軍機の利用は、長崎空港の二一四回(離着陸回数)をはじめ、福岡一一六、徳之島(鹿児島県)八九、仙台四六、稚内(北海道)五一、釧路(北海道)三八など、全国の民間空港七七のうち二三ヵ所に及んでいる。
 自衛隊にいたつては、一日平均約九六回の離着陸が行われ、年間三万五千回に達する。一九八三年以降三年間でみると、その利用は、大阪、多良間(沖縄県)、波照間(沖縄県)を除いたすべての空港にわたつている。
 こうした事態は、まさに民間空港の“軍民共用化”と言わざるを得ない。
 私は、米軍、自衛隊の民間空港の利用を認めるべきでないとの立場から、以下の点について質問する。

一 米軍機の利用について
  私達が調査したところによれば、特に利用の多い長崎空港には、フィリピンや嘉手納を拠点とするP3C対潜哨戒機がたびたび飛来している。また稚内空港は、稚内通信施設との連絡のため恒常的に米軍が利用している。
  大韓航空機事件のあつた一九八三年の同空港での米軍機の離着陸回数は、三九二回となつている。
  更に、福岡空港の場合は、横田 ― 嘉手納、横田 ― 韓国の中継地点として、大型輸送機が定期的に利用していることが判明した。
  仙台空港のように、日米共同訓練に伴つた機材や物資輸送のために利用している例もある。
  沖縄県の宮古、石垣空港の場合には、韓国 ― フィリピンの事実上の給油中継地となつている。
 1 福岡、長崎、稚内、釧路空港の利用目的は何か。
 2 一九五二年五月の日米地位協定第五条一項に基づく日米合同委員会合意は、米軍機の出入りは通常日本側が提供している施設、区域からとし、「緊急の場合」にのみ、例外としてその利用を認めている。
   だからこそ、昭和四十四年四月十八日の衆議院内閣委員会で、当時、運輸省の手(注)航空局長は「(地位協定第五条は)不時着的な使い方をさしての米軍の権利と申しますか、条約上の地位になつておる」と答え、「不時着的なもの以外の使用を拒絶していく」と言明していたのである。
   つまりこの日米合意は、民間空港の米軍利用を原則として禁止している。
   従つて、米軍は本来、訓練はもとより兵員・物資輸送、給油などの目的で民間空港を使用することはできないと考えるが、どうか。
 3 先の三(注)運輸大臣の米軍の物資輸送や給油のための民間空港の利用を認める旨の答弁(予算第七分科会)及び運輸省の山田航空局長の米軍機の民間空港の利用について「何も緊急の場合に限らない」(予算第七分科会)とする答弁があるが、前述の一九五二年五月の日米合同委員会合意は改定されたというのか。
   もしそうだとするならば、いつ、いかなる変更の日米合意があつたのか、明確にされたい。
 4 山田航空局長は、米軍機が民間空港でタッチ・アンド・ゴー訓練等をやつた例が、過去にある旨答えている(予算第七分科会)。
   三宅島、函館、松山空港を含めて過去の実例を明らかにされたい。
 5 三(注)運輸大臣は、米軍機がタッチ・アンド・ゴー訓練をやるという場合には、通告を受け合意してスタートしなければ、民間航空の安全性の維持ができないという趣旨の答弁(予算第七分科会)をしている。
   また、日本共産党の岡崎万寿秀議員は、一九八四年十一月二十九日、三宅島空港で米海軍厚木基地所属のC ― 12一機がタッチ・アンド・ゴー訓練を行つたことに関して質問主意書を提出(同年十二月十八日)したが、これに対して政府は、同年十二月二十五日の答弁書の中で、米側はこの事件が「パイロットの個人的ミスによるもの」だつたことを認めて陳謝するとともに、「今後は、いかなる民間空港においても、日本政府の事前の同意なくしてこの種の訓練が行われることはない」旨約束したことを明らかにし、「米軍に提供した施設、区域外で米軍がタッチ・アンド・ゴー訓練を行うことは、日米地位協定上予想されていないところである」と述べている。
   民間空港を利用した米軍訓練は、日米地位協定上も許されていないと理解してよいか。
 6 第三種の民間空港は、都道府県知事が管理する空港である。
   管理権者である知事が米軍機の使用を拒絶した場合、政府は、当然その意思と権限を尊重しなければならないと考えるが、どうか。
 7 この際、米軍機の民間空港の利用について、過去五年間の年度ごとの着陸回数、その目的、機種を各空港別に明らかにされたい。
二 自衛隊機の利用について
  自衛隊機の利用は、民間空港全体に及び常態化している。
  昨年の主なものをあげると、例えば那覇空港は一〇、五二七回(離着陸回数)、名古屋六、四五九、八尾四、四八一、熊本四、三一二、長崎三、八五四、福岡一、三〇一、新潟九七三、山形六八八、対馬二四一、仙台二〇四、上五島(長崎県)九六、奄美九一、壱岐(長崎県)七九、函館七三、釧路四四、稚内三八、久米島(沖縄県)六三、宮古(沖縄県)五五、石垣(沖縄県)三五という状況であり、事実上、“自衛隊基地”同然となつている。
 1 自衛隊機の利用について、過去五年間の年度ごとの着陸回数、その目的、機種について、各空港別に明らかにされたい。
 2 自衛隊が民間空港を利用するについて、防衛庁は、運輸省並びに各都道府県と使用協定を結んでいるのか。
   もしそうだとするならば、その内容を明らかにされたい。

 右質問する。





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