衆議院

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昭和六十一年十一月二十一日提出
質問第一五号

 蚕糸価格政策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十一年十一月二十一日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




蚕糸価格政策に関する質問主意書


 最近、生糸・絹織物製造業者、流通段階における問屋業者の中に大型倒産や工場閉鎖が続出し、零細経営者の中には、自殺者が出るなど、大きな社会問題となつている。
 この原因のひとつは硬直化した一元輸入制度にある。
 輸入生糸価格の三倍もする国産生糸を原料として経営が成り立つものではない。
 国際経済の現状に背を向けた蚕糸価格安定制度は、以前のような需給調整機能を失い、角をためて牛を殺す結果となつている。
 私は、財政的破綻を来している我が国の生糸価格支持制度を改めることが今日の中小・零細企業を救うとの立場から、次の質問をする。

一 国際化時代にふさわしい農業政策の推進が求められているが、政府は生糸・繭等の農産物価格政策のあり方を見直す考えをもつているのかどうかまず質問する。
二 臨調最終答申は、蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下、蚕糖事業団)について、制度の抜本的検討を行うこと。また、需給事情に即して毎年度の行政価格を見直すことを求めているが、現状はその期待に答えていない。
  また、会計検査院は、五十八年度決算報告で、蚕糖事業団に関し、特記事項として、問題点を指摘しているというが、その要点を明らかにされたい。
三 蚕糖事業団の生糸在庫について、私の調査によると、在庫総量十四万五千俵(六十一年八月現在)のうち、五十四年度分、約二千四百俵、五十五年度分は約二万四千八百俵が保管されていることが判明した。こうした古い糸が、今日まで何故放出されていないのか、その理由を明らかにされたい。
四 このような古い糸を含め大量の在庫を事業団はかかえているが、適正在庫(この場合、政令で認められている買入限度数量、三万俵の半分と想定した数量)になるまでには、どの程度の年月を要するのか、その計画、見通しを明らかにされたい。
五 蚕糖事業団は、長期保管生糸のため約二千億円に近い長期借入を行つているというが、具体的数字と金利レートを明らかにされたい。
  また、特別勘定・繰越欠損金額は、いくらか明らかにされたい。
六 私は、去る十一月四日、生糸業界の現状調査のため、民間企業の団体である横浜生糸問屋協会の幹部と懇談会を持つた。その際、私に了解なく、蚕糖事業団の職員が終始身分を隠し会議に同席し、その内容を逐一記録していたことが判明した。この会議は、農水省、事業団の紹介で設定されたものでなく、私自身の申し込みにより行われたものである。民間企業の団体である問屋協会が事業団職員の出席を要請することは考えられず、ましてや私が求めたものではない。農水省の指導のもとに出席したのか、事業団の判断によるものなのか、その責任の所在を明らかにされたい。
七 日本器械製糸工業組合は、加盟組合員に対し六十一年九月二十九日理事長名で「生糸・生産並びに出荷の緊急調整についてお願いの件」として次のように通知した。
  「(前文略)九月二十九日、工業組合正・副理事長会議を開催し検討した結果、行政当局のご指導もあり緊急の措置として、各組合長に対し、取敢えず、十月度の生産・出荷を再検討願い『前年度に対し二〇%以上の減産』の目標に操業の修正をお願い致し、併せて納会への渡し物の一層の自粛を要請することに致しました。(後文略)」と通知している。
  同主旨の通知は、この他にも繰り返し行われているが、独禁法上問題はないか。
  また、もし行政官庁の指導があれば、かかる行為は法令違反を免れるのか、明らかにされたい。
八 右にかかげた行為は、中小企業団体の組織に関する法律に基づく共同行為の認可を受けなければできない行為であると考えられるが、この組合の場合、どのような取扱いとなつているのか明らかにされたい。
  また、認可を得ていない組合が、かかる行為を行うことは、一般論として許されるものかどうか、当局の見解を示されたい。
九 最近の生糸・乾繭先物取引所の現状を見る時、市場管理要綱、受託業務指導基準に反した行為が、まかり通つているとの指摘が多い。
  本年九月十一日、横浜、神戸、前橋、豊橋の四取引所が、特定の大手取引員に対し、監査を行つたことは、事実か、事実ならばその目的、内容を明らかにされたい。
十 本年十月二十九日、前橋、豊橋乾繭取引所は、理事長名で取引員に対し「売買取引の受託の適正化について」の通達を出した。この中で、
 (一) やむを得ず仮名を使用して受託せざるを得ない場合は承諾書に実名を明記させ、売買取引の主体を明確にすること。
 (二) アキ口座及び他人名儀を使用する受託は行わないこと。
 などを求めているが、この問題は、取引の前提として「受託業務指導基準」で明記されている事項である。何故、改めてこのような通達をするのか。この背景には、市場秩序を乱す行為があるからこそ、その自粛を求めていると推察される。
  当局は、この事態をどのように把握し、どう対応しているか、明らかにされたい。
  また、通産省所管の取引所では、かかる通達を行つた例があるか答えられたい。
十一 私の調査では、横浜、神戸、前橋、豊橋の四取引所で特定の大手取引員が「受託業務指導基準」「市場管理要綱」に反して、融資の斡旋、仮名口座、名儀貸し等の行為を行い取引の公正を失わしめている例がある。
  また、長期間にわたつて実質的建玉制限を上回る取引を行うなどの行為は健全な運営とは言いがたい。
  あまつさえ、仕手筋と一体になり生糸価格安定対策を利用し、この制度を仕手の救済措置に利用したことは暴挙である。このような行為がまかり通るならば商品先物市場の健全な発展は望めず、取引の公正さは保証されず、商品先物市場の衰退につながることは、自明の理である。
  行政当局は、仕手筋を排除し、健全な市場運営を図るため取引員に対し、どのような指導を行つているか明らかにされたい。
十二 委託者にとつて現在資金を預かる取引員の財務内容や経営状態を判断する手段は、皆無に等しい。
  安心して取引員に委託できるようになることが、商品市場の発展に不可欠である。
  通産省は、東京工業品取引所の取引員に対し、その信頼性を高めるため、取引員の経営内容について公認会計士の監査制を採用している。
  農水省所管の取引員には、どのような対応をしているのか、今後どういう方針で臨むのか明らかにされたい。

 右質問する。



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