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昭和六十二年二月二十七日提出
質問第一〇号

 国際情勢に背を向けた蚕糖事業団の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年二月二十七日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




国際情勢に背を向けた蚕糖事業団の在り方に関する質問主意書


 私は、昨年来、三回にわたり質問主意書をもつて、今日の蚕糸行政を取り巻く問題点を指摘してきた。現在、蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)は、焦付き債務とも言うべき約二千億円の長期借入金と約五百億円もの欠損金をかかえている。また最近では、その在庫生糸にカビが発生するという事態を招いているにもかかわらず、抜本的な対策を講ずることなく、その制度を一部仕手筋に利用され、いたずらに在庫を増やし国民の血税をタレ流している。
 今日、減税財源が問題になつているが、政府は売上税創設を求める前に、矛盾したこのような制度を速やかに改善すべきと考える。既にこのことは、臨調答申、会計検査院の厳重な指摘からも明らかである。健全な蚕糸行政の確立を求める立場から次の質問をする。

一 事業団は、カビ糸の売渡しに際し一般競争入札の方法をとらなかつたことを前回の答弁書・内閣衆質一〇八第五号(以下「答弁書」という。)で認めた。その際事業団は、転売禁止を盛り込んだ念書(買受生糸は、撚糸等の加工を行つた後でなければ他へ転売はしない等)を売渡し先である西陣糸商七社から取つているというが事実か。
二 しかるに西陣糸商七社は、事業団からの買受け価格に約二百円/kgを上乗せし、直ちに転売したというが、これは事実か。また、転売先を決めるに当たつては、百十七社が参加する抽選が行われ約五十社に売り渡されている。かかる事実は、先の答弁書に示された主旨と異なる行為ではないか。当局の見解を求める。
三 このような売渡しが行われた場合、念書が禁じた転売行為になると思われるが、当局の見解を明らかにされたい。
四 今日、生糸・乾繭の各取引所は、一部の仕手筋の介入によつて市場が混乱していると言われる。商品取引員は顧客への資金の融資及び斡旋を禁じられているが、私の調査では、機関店が関係会社を通じ仕手筋に資金を斡旋している疑いがある。関係当局はこの際、徹底して調査すべきと考えるが見解を求める。
五 横浜生糸取引所において、特定の大手取引員が、市場管理要綱に定められた建玉制限を超えた取引を継続的に行つている具体的例がある。的確な監査も行わず、臨時増証拠金の増額のみでは、事態の解決を望めるものでない。当局の早急かつ厳正な指導が必要と考えるが、見解を求める。
六 商品取引員資格の許可更新に当たつて、商品取引所法並びに取引所の定款、業務規程、受託契約準則及び市場管理要綱等に違反をした取引員は、業界の健全な発展のため、許可すべきでないと考えるが、当局の見解を明らかにされたい。
七 具体的事例として質問するが、日本器械製糸工業組合は、本年一月、臨時総会を開いて、安定基準価格と強固な糸価対策として、同組合の借入金限度額八億円を百億円に引き上げることを決めた。もし、製糸団体が、自ら生産した製品をこのような大量な資金をもつて先物取引市場で価格操作のために買占めを行うことは、商品取引所法等に違反すると思われるが、改めて当局の見解を求める。
八 国内生糸価格は、海外の三倍近い高値であることは繰り返し指摘してきたが、この価格差を利用して、近年、製品の輸入が増加し、絹業者を圧迫している。このまま推移することは、絹業を唯一の販売先とする蚕糸業をも直撃することは必然である。現行の生糸一元輸入措置、繭糸価格制度の維持は、「養蚕」「製糸」「絹業」のすべてを崩壊することにつながる。通産省は、かかる業界の現状をどのように把握しているのか。また、関係自治体の生糸価格の適正化に対する要望(生糸価格の適正化に関する要望書・六十二年二月)をどのように受けとめているか明らかにされたい。

 右質問する。





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