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昭和六十二年三月十日提出
質問第一二号

 蚕糖事業団の不明な運営に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年三月十日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




蚕糖事業団の不明な運営に関する質問主意書


 私は、税金の無駄遣いともいうべき繭糸価格安定制度、国際情勢に背を向けた我が国の蚕糸行政の矛盾点を過去四回にわたつて質問主意書で取り上げてきた。しかるに政府は、その問題点に何ら手を打つことなく、国際市況から遊離した価格維持のみに固執しているのは極めて遺憾である。現在、生糸先物取引市場では、蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)の買入れを前提とした、なり振りかまわぬ仕手戦が続いているが、このままでは、安定制度が利権のシステムに組み込まれ、約二千億円の焦付き債務と、約五百億円の欠損金は更に増加することになる。また、先の質問(二月九日提出質問第五号)で明らかな如く、在庫生糸にカビが発生し、新たな損失を生むばかりか、その売渡しに当たつては極めて不明朗な点が多い。売上税を減税原資とする以前にまずなすべきことがあるとの立場から、繰り返し次の質問をする。

一 事業団は、会計検査院の五十八年度決算報告で危機的財政状況と指摘され、過剰在庫の解消と繭糸価格安定制度の抜本的見直し等を求められたのは周知のとおりである。ところが、会計検査院は、六十年度決算報告の中でも事業団に対し、その生糸の保管方法に問題があり、保管経費一億一千万円が不経済になつたと指摘している。事業団の状況を考えるならば、このようなずさんな運営が許されるものではない。会計検査院の「六十年度決算検査報告」で指摘された要点を明らかにされたい。また、かかる事業団の在り方に対し、総務庁は行政監察をすべきではないか、見解を求む。
二 カビ糸の売渡しは、大臣の承認を得たものかとの質問に対し、政府は、繭糸価格安定法附則第四項を読み替え、大臣の承認を受けた計画の定めるところにより実施したと答えた(内閣衆質一〇八第五号)。更に、カビ糸の発見は、いつなのかとの質問に対し、昭和六十年十月売渡し先でという答弁があつた。この内容からすると、事業団の定める六十一年度の生糸の売渡しに関する計画書作成の時点で、カビ糸の売却計画が盛り込まれていなければならないと思われるが明らかにされたい。
三 政府は、カビ糸の売渡しに当たり、転売禁止の念書を取つたのかとの私の質問に「流通業者から、事業団に対し、他へ転売しない等の旨の届出があつた(要旨)」(内閣衆質一〇八第一〇号)と答弁したが、その「届出」は、業者が自発的に行つたものか、あるいは、事業団と業者の間に事前の合意が有り、それに基づいて出されたものなのか明らかにされたい。また、その「届出」は、売渡しに際しての契約条件の一つなのか併せて答えられたい。
四 カビ糸を一般競争入札によらず、用途を限定して特定業者にのみ売り渡したにもかかわらず、その後直ちに、転売されたことについて先の答弁書(内閣衆質一〇八第一〇号)はその事実を認めた。この転売は、百十七社を対象に抽選を行い、約五十社に二百数十円/kgを上乗せして行われているが、この経過を見ると、そもそも事業団が、特定業者に売渡しの限定をする必要はなかつたことになる。当局は、どのように考えるか明らかにされたい。
五 農水省は、カビ糸が転売されたことは、事業団の本来の主旨に反する行為ではないかとの私の質問に次のように答えている。「当該生糸については、その適正な使用を確保する観点から、当該生糸流通業者七社に売り渡されたものであるが、その後、当該生糸について当該生糸流通業者七社のみでは事業団の売渡しの趣旨にのつとつた処分が困難となるおそれが生じたため、御指摘のような方法により転売が行われたと聞いている。なお、当該転売に際しては、当該生糸につきその適正な使用を確保する観点からねん糸を製造しこれを先染め織物業者に販売する者に対して売り渡したという事業団からの売渡しの趣旨にのつとつた適正な使用を確保するための措置が講じられていると聞いている」(内閣衆質一〇八第一〇号)。この答弁は、極めて難解であるので具体的に次の点について問う。
 1 「事業団の売渡しの趣旨にのつとつた処分が困難となるおそれが生じたため」とはどのような内容を指すのか。その原因と経緯を含め明らかにされたい。
 2 この答弁は、事業団が七社に限定売渡ししたことが失敗であつたことを認めたものではないか。
六 カビ糸売渡しに当たり事業団が、西陣産地糸商七社を指名入札した理由をただした私の質問に対し「カビ害の発生した生糸は先染め織物用に使用する等用途が限定されており、売渡しに係る当該生糸の適正な使用を確保するためには、ねん糸を製造しこれを先染め織物業者に販売する実績を有する者に対して行うことが適当であることから、一般競争入札の方法によらなかつたものである」(内閣衆質一〇八第五号)との答弁があつた。ここでいう「実績」とは何か。その基準が明されない限り、特定七社のみへの売渡しは不明朗との批判をまぬがれないのではないか。同七社がいかなる根拠でこの「実績を有する者」と認定されたのか、その理由を明らかにされたい。
  また、抽選で買い受けた五十社は、答弁書のいう「実績を有する者」と認めるのか。認めるとするならば、なぜ当初の七社に加えられなかつたのか併せて問う。
七 事業団から買い受けた特定業者が、手数料等を上乗せして転売できたということは、事業団が得るべき利益を得ずして安く売り渡したことになる。私のカビ糸の売渡し価格が安く設定されているのではないかとの質問に対する答弁によると「当該売渡予定価格の設定により、事業団に損害を与えた事実はない」(内閣衆質一〇八第五号)としているが、転売をめぐるこのような事実をどのように判断するのか見解を問う。
八 商品取引員資格の許可更新に当たり、商品取引所法及び取引所諸規程に違反をした取引員には、業界の健全な発展のため、許可すべきではないとの私の質問に、農水省の答弁(内閣衆質一〇八第一〇号)は、原則論を述べたにすぎない。私の質問は、商品取引所法並びに取引所の定款、業務規程、受託契約準則及び市場管理要綱等に違反をした取引員に対して、業界の社会的信用を確保する立場からの具体的な取扱いを問うたものである。農水省は、どのような措置を講ずるのか改めて明らかにされたい。
九 去る三月五日の報道によれば、日本器械製糸工業組合(以下「日器工」という。)は、三月限納会で買い方大手(仕手筋)と連合して現受けするのではないかとされている。これでは糸価対策どころか、仕手筋のマネーゲームに製糸団体が利用されることになる。これは、これまで私が指摘してきた問題点を裏付けることになる。農水省の見解を求める。
十 生糸先物取引市場の二月限納会(六十二年二月二十四日)は、日器工の窓口である糸連が価格維持と称して一手にこれを受けて、一万二千円の基準価格を死守したといわれている。事業団の買入れを前提としたこの買支え資金の手当について、農水省と大蔵省は、当日未明まで協議し、その枠を四十億円強としたと伝えられる。両省は、資金手当について折衝した事実があるのかどうか、あるとすれば大蔵省は、どのような条件を付けてこれを認めたのか明らかにされたい。

 右質問する。





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