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昭和六十二年三月十八日提出
質問第一八号

 沖縄の米軍基地内の未契約者所有の土地に対する強制使用に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年三月十八日

提出者  上原康助

          衆議院議長 原 健三郎 殿




沖縄の米軍基地内の未契約者所有の土地に対する強制使用に関する質問主意書


 本年二月二十四日、沖縄県収用委員会(以下「県収用委」という。)は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」(以下「米軍用地特措法」という。)に基づく未契約米軍用地に関する強制使用の裁決を下した。
 その内容は、那覇防衛施設局より申請された未契約米軍用地の強制使用期間二十年を、那覇港湾施設は五年、嘉手納基地など他の施設は十年とするものである。
 二十年申請を半減したとはいえ、これまで五年刻みの使用期間を一挙に十年へ倍増するものである。これが強行されるならば、復帰後から数えて二十五年、米軍統治のころからすると優に半世紀を越し、まさに沖縄の永久基地化を企むものである。
 かかる暴挙は、恒久平和主義を定めた憲法に違反することは明白である。
 従つて、契約拒否地主や、数多くの県民の「祖先伝来の土地は、戦争のために絶対に使用させない」とする強い決意を体して、次の事項について質問する。

一 今回の県収用委の裁決で否認された強制使用期間二十年について、政府の所見を問う。
 1 政府が、強制使用期間二十年を定めた理由は何か。
 2 県収用委の裁決で、同二十年が否認された理由及び原因について、政府はどうみるか。
 3 政府が定めた強制使用期間二十年が、一行政機関である県収用委により否認されたことについて、政府の所見はいかがか。また、このような事例が本土においてあれば明らかにされたい。
 4 このような結果を招いたことは、政府の防衛施設行政が根本的に誤りであつたか若しくはズサン極まりないものであつたことを示すものに他ならないと考えるが、どうか。
 5 そうでないと政府が主張するならば、契約拒否地主といわゆる一坪反戦地主間の分断・切り崩しを狙つた本来の行政の在り方と全く相反する政治的効果をもくろんだ行為であると断定せざるを得ないが、どうか。
二 県収用委の裁決を受けての政府の今後の対応を問う。
 1 政府が裁決について、建設大臣に審査請求をしなかつた理由は何か。「裁決について不服がない」と解してよいか。
 2 損失補償金はいかなる方法で支払うのか。また、支払対象者は、県内、県外、国外でそれぞれ何名か。利息差引の損失補償金は期間の何年分に相当するか。
 3 那覇港湾施設は強制使用期間五年の裁決であるが、政府は、同施設に対し三度目の米軍用地特措法の発動を考えているのか。
 4 政府は、沖縄県内におけるすべての米軍用地の強制使用措置を即刻撤回し、返還軍用地の跡利用・平和転用の措置を促進すべきと考えるがどうか。
三 沖縄県における米軍用地の賃貸借契約拒否地主に支払われる損失補償金に伴う諸問題について、政府の所見を問う。
 1 損失補償金の年間一坪当たりの平均金額及び対前年度増加率について、一九七二年以降現在まで各施設ごとに明らかにされたい。
 2 契約地主の賃料について、右問三 ― 1と同様に明確にされたい。
 3 損失補償金の算出方法、支払方法(単年払いか、一括払いか)について、これまでの適用事例を詳細に示されたい。
 4 契約地主の賃料について、右問三 ― 3と同様に明確にされたい。
 5 契約地主に対し協力謝礼金なるものが支払われているが、その目的は何か。また、これまでの支払い実績、対象者数、一人当たり金額について明らかにされたい。
 6 憲法第二十九条は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」と定めている。仮に百歩譲つて、公共用として米軍用地のための強制使用が許されるとしても、それは「正当な補償の下に」なされるのは当然である。
   しかし、契約拒否地主に対する損失補償金の一括前払方式は、利子をあらかじめ差し引くなど、正当な補償とは到底いえない。また、一時的な所得増に伴つて多額の税金が課税され、所得を積算根拠におく保育料の大幅引上げや老齢福祉年金の支給停止など、不利益ははかり知れないものがある。
   このような当該地主の不利益・損失について政府の所見はいかがか。また、何らかの負担の軽減措置を講ずるつもりはないか。
四 沖縄県における米軍用地の契約拒否地主に対する「契約強要」問題について、政府の所見を問う。
 1 那覇防衛施設局による契約拒否地主に対する契約強要の働きかけが執拗になされている。
   政府は、当該地主に対しいかなる契約勧誘業務を行つているのか。また、その法的根拠は何か。
 2 例えば入院中の契約拒否地主に対し、契約を働きかけたことはないのか。
 3 契約に応じない地主の兄弟や親族に対し、契約のための説得を依頼したことはないのか。
 4 ひとり暮らしの老人のところに深夜、契約勧誘の電話をかけたことはないのか。
 5 契約勧誘のため、何らかの金品を用意し働きかけたことはないのか。
 6 以上の質問は数多くの証言に裏付けられたものである。まさに、公務員の正当な職務行為と全く相反するものである。また、契約拒否地主に対する悪質な就職妨害もなされているとの訴えもある。政府は、契約することも拒否することも、あくまでも個人の自由であるとの立場を堅持し、これらの契約強要業務を即刻中止すべきと考えるがどうか。
五 今後、強制使用措置を講じようとする施設ごとの件数、所有者数、面積及び使用期間を明らかにされたい。

 右質問する。





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