衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和六十二年九月八日提出
質問第二七号

 血友病患者のエイズ感染者に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年九月八日

提出者  寺前 巖

          衆議院議長 原 健三郎 殿




血友病患者のエイズ感染者に関する質問主意書


 厚生省の調査によると、日本全国のエイズ患者は本年九月四日現在五十人、うち二十八人が死亡している。この五十人中、血友病患者が二十九人を占め、うち十八人が既に死亡している。さらに、血友病患者が日本で約三千五百人いるといわれているなかで少なくとも三割、千人前後がエイズの被害にあつているといわれている。
 エイズビールスの感染を受けた血友病患者は、生まれながらに背負つている血友病治療とエイズ発症の恐怖にさいなまれ、なおかつ発症予防のための治療と二重の闘病を強いられている。また、正確な知識が国民の中に普及していない状況のもとで血友病患者は、感染の疑いがあるというだけで職場を解雇されたり、保育園を退園になつたり、入学願書の受付を拒否されたりするなどが起こつている。
 血友病患者の多くがエイズに感染した原因は、エイズビールスに汚染された輸入血液製剤を投与したことによるものであり、患者本人が何ら責任を問われるものでないことは明らかである。
 一九八二年、アメリカで血友病患者がエイズになつた症例が明らかとなつた時点で、全国の患者組織から安全な血液製剤の確保を政府に要望したが、政府は無視し何ら適切な対処をしなかつた。一方アメリカでは、一九八三年三月から全面的に加熱処理製剤に切り替えられ、西ドイツも同年四月から切り替えられた。フランスではアメリカの血液製剤の輸入を全面禁止した。ところが日本政府は、エイズ混入血液製剤の輸入停止及び医療現場からの回収もしないままアメリカより遅れること二年間、一九八五年まで加熱処理製剤の認可を放置してきた。
 以上のように、血液製剤ぬきには生きていけない血友病患者の切実な要求に背を向け、安全な血液対策を怠つてきた政府の責任は明確であり、血友病患者の生命を守る対策は緊急を要すると考える。
 従つて、次の事項について質問する。

一 血友病患者のエイズ感染の救済について
  昭和五十五年に設立された「医薬品副作用被害救済基金」の適用について、血液製剤は該当しないという理由で運用されていない。しかし、「アルブミン」等の血液製剤は適用品となつており、「抗血友病製剤」と「乾燥人フィブリノーゲン」は適用外となつている。その選別基準の根拠を示されたい。
二 薬害被害者である血友病患者のエイズ感染者の救済について
 1 共産党はエイズ患者の入院治療について、その費用について公的な援助制度をつくることを要求している。血友病のエイズ感染者については、エイズ治療費の公費負担はもとより血友病の治療費についても十分な保障をすべきであると考えるがどうか。
 2 エイズ感染者の健康管理手当・介護手当などの生活保障と血友病のエイズ死亡者に対する遺族補償を基金で行うべきだと考えるがどうか。
三 エイズ発症予防の充実について
  AC(無症候キャリア)状態の血友病患者のエイズ発症予防治療について、各医療機関、医師、患者の考え方の違いによりまちまちの状態が生まれている。ある医療機関においては「血友病患者全てが陽性者と自覚せよ」との無責任な指導が行われたり、またある病院では一部の患者に一定期間、集中予防が行われているかと思えば、別の医療機関においては告知もされず何ら発症予防治療も行われていない。一方先端的な病院ではインターフェロンの自己注射が試験的に行われている。このように発症予防、治療体制は系統的には実施されず、一部の医療機関において研究目的にごく少数の患者に対して行われているのが現状である。
  よつてエイズ感染者の発症予防については、プライバシーの十分な保護のもと、国の責任で専門的な検討と計画のもとに実施し、エイズ感染者が平等に発症予防治療が受けられるよう必要な予算措置のうえ、ワクチンの開発・発症予防治療剤の研究・医療技術・医療体制の確立が必要であるがどうか。
四 現在の政府の施策が、患者や感染者などにさまざまな強制を加えプライバシーを著しく制限し、何の援助、救済策も定めていないため、エイズに感染する危険の多い人達の自覚的な協力が得られないなど実効のあるエイズ蔓延防止策とはならないとして、日本輸血学会、日本衛生学会、血友病患者団体、難病団体、法曹会などは強い批判を表明している。政府は、患者や感染者へのさまざまな強制やプライバシーの制限をすることなく、公的援助措置を含む実効あるエイズ蔓延防止対策などをとるべきだと考えるがどうか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.