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昭和六十二年九月十九日提出
質問第四三号

 宇宙開発に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年九月十九日

提出者  貝沼次郎

          衆議院議長 原 健三郎 殿




宇宙開発に関する質問主意書


 宇宙は人類の平和と繁栄のために開発され、利用されるべきであるという理念に立ち、また、宇宙開発は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、国際協調を図りつつ、自主的に、安全の確保に留意してこれを行う、との基本方針を定め、更に宇宙開発に関する施策を総合的に、かつ計画的に推進することにより、宇宙に関する科学および技術の進展と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉並びに国民経済の発展及び国民生活の水準の向上に寄与することを目的として既に、宇宙開発基本法案を国会に提案しているところである。
 残念ながら、いまだ成立をみていないが早期に実現させたいと念願している者である。
 また、宇宙科学研究を推進することは当然であるが、基礎的、先導的科学技術の研究、その波及性、経済の活性化、社会生活の質の向上など考えると、宇宙開発の産業化とその切さ琢磨が重要であると考える。
 ついては、次の事項について政府の迅速かつ総合的対応を求め、その決意と取組姿勢について質問をするものである。

一 この法案の趣旨についてどのように受け止めているか。
二 宇宙開発の必要性・認識について
  既に、宇宙開発委員会長期政策懇談会の報告書にもあるように、宇宙開発の意義は、@宇宙開発の科学的探求、A人類の活動領域の拡大、B経済社会発展への貢献特に公共性、波及性、基礎技術の蓄積、内需拡大等、C国際協調への貢献など、その必要性は誰もが認めるところである。
  従つて、従来の科学技術振興の枠に捕らわれない発想でなければならないのではないかと思うがどうか。
三 技術情報等の蓄積・保存システムについて
  H ― 1ロケットの成功は、問違いなく我が国の自主技術の成果を証明した。従つて、将来とも自主技術の開発に力を入れることは当然として、さらに、そのノウハウを不具合のものも含めて蓄積・保存するシステムを構築しておくことの必要性を痛感するが、この点どのように対応されるのか。
四 宇宙開発の目標設定について
  諸外国の宇宙開発に比べ、我が国の宇宙開発は、専門家のみの知る難しいイメージが濃く、一般にはなじみの薄い面がある。従つて、中学生、高校生、一般の人にも夢とロマンを持たせるような、解り易いキャッチフレーズとかスローガン、という形で目標設定が必要なのではないかと考えるがどうか。
五 行政機構の見直しについて
  長期政策懇談会報告によれば、『我が国は、今世紀内の努力により、二十一世紀初頭に於いて世界の宇宙開発に於ける中核的一翼となることを目標とすべきである』とあるが、そのためには宇宙局の設置や宇宙開発委員会の強化など行政機構の手直しが必要と考えるが如何。
六 宇宙産業の展開について
  宇宙産業とは、宇宙機器産業、宇宙利用産業、宇宙運用産業、宇宙関連サービス産業などの集合体と考えられるが、現況は、産業構造審議会の報告によれば、一九八四年度、航空機・宇宙産業(国防関係を除く)の売上高は、アメリカは約十五兆七千億円、フランスは約一兆八千億円、イギリスは約一兆九千億円、西ドイツは約一兆三千億円と言われているのに、我が国は約六千二百億円程度(ただし、昭和六十年度の宇宙産業売上高約一、九七五億円)で先進諸国の中で極めて少ない。また、長期政策懇談会報告でも年間千五百億円ないし二千億円程度と報告している。利用面においても潜在的需要は大きいと期待されるものの投資リスクが高いため、通信、放送、気象観測が公共部門のユーザーとして、限定的に行われているだけで、いまだ研究開発の域を脱していない。
  今後、全人類的に共同プロジェクトなど考えると、先進国の一員として単なる資金負担のみならず、応分の技術的協力が行えるような力を持たなければならない。そのためには、宇宙利用面での産業化を積極的に推進する必要があり、産業としての自立化を達成する必要があると考えるが、この点の展望を示されたい。
七 研究者、技術者など人材の育成・確保について
  二十一世紀初頭の我が国の宇宙産業を展望するに、西暦二千年までに五万五千人規模の技術者等の人材育成・確保が必要と言われているが、この点どのように認識しているか。また、その対応方を具体的に示されたい。
八 宇宙開発資金の確保について
  前段で述べたように、宇宙開発の事業は極めて公共的意味の強いものであることから、従来の『科学技術振興費』の枠に捕らわれないで、公共投資的発想の下に、一般会計、特別会計、対外援助なども含めた幅広い観点からの国家資金投入を実現すべきではないか。
九 最後に、宇宙開発と宇宙科学研究の関係について
  この二つは、各々の特徴を持つものであり、今後とも各々の立場で発展していくよう国は十分配慮すべきである。そこで、現在問題になつているロケットのサイズの見直しの件について伺いたい。
  昭和四十一年五月十二日の科学技術振興対策特別委員会において、宇宙開発に関する小委員会の中曽根康弘小委員長の報告によつて、『大型ロケットについては、東京大学は、昭和四十二年度まで、直径一・四メートルのミューロケットの開発を行い、以後これを超えるロケットの開発は行わないものとする』『直径一・四メートルを超えるロケット及び液体燃料ロケットの開発及びこの為の射場追跡施設等については、科学技術庁が中心となつて推進すること』となつており、いまだにこの国会発言が生きている。
  しかし、二十一年も経た現今の宇宙科学研究は当時と天地水火の差があり、宇宙研究活動に大きな支障となつている。
  従つて、ロケットのサイズで縛るようなことは廃止して、研究目的など別の考え方に改めるべきと考えるがどうか。

 右質問する。





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