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平成元年二月九日提出
質問第七号

 富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病等の取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年二月九日

提出者  安田修三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病等の取扱いに関する質問主意書


 富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病は、その原因を上流に所在する神岡鉱山から流出したカドミウムによるものとされてきた。
 そして、今日まで患者救済の措置がとられてきたところであるが、なお多くの不明の点があるので質問する。

一 昭和五十一年以後「イタイイタイ病およびカドミウム中毒に関する総合的な研究班」が組織されている。
  同組織に関する年次予算とその執行状況及び組織並びに研究実績の概況をまとめて報告すべきと思うがどうか。
二 同研究班に所属する学者の研究報告の一部が公表されているが、その内容のなかでイタイイタイ病究明の実績として、例えば「イタイイタイ病患者の病理解剖の結果、イタイイタイ病認定患者の所見とその要観察の方の所見は、殆ど骨軟化症の程度その他変わるところはない」と断定していることや、また、「骨のX線検査の所見では把握できなかったことは、十年間の間に治ったり、腫れた状態になっている」ためとも述べられている。このようなこともあって、イタイイタイ病認定の基準は現実にそぐわないのではないかとの疑問も投げ掛けられている。
  富山県のイタイイタイ病患者の多くの被害者救済を促進するため、同研究班による貴重な研究成果に関する報告のまとめとその活用をどのように行う考えか。
  また、同研究の成果を現実に活用を図り、イタイイタイ病患者救済対策を促進していただきたい。
  現地、富山における患者の主治医はイタイイタイ病と診断しているにもかかわらず、法的(公害健康被害の補償等に関する法律)には要観察者として扱われている例がある。その矛盾の解明に努めてもらいたい。同時に、認定基準の再検討の必要があると思うが所見を伺いたい。
  患者認定の基準は厳し過ぎるのではないのかとの疑問もあるので、併せて見解を明らかにされたい。
三 全国八箇所にわたる住民健康調査結果について、内七箇所は既に公表されている。残る富山県神通川流域健康影響調査の結果が未公表である。
  同調査は、昭和五十四年から五十九年まで六年の間第一次調査を行い、六十年から六十四年までの四年間第二次調査を行っていると聞くが、未公表の理由は何か。今後の公表日程を明らかにしていただきたい。
四 次の諸点について見解を明らかにされたい。
 1 第一次調査人数は七、八四五人、第二次調査人数は一、八三五人といわれるのは事実か。また、同調査目的と今後の取扱い方について基本的な見解。
 2 同調査地域は公健法のイタイイタイ病とその指定地域であるが、同地域内居住者に、「腎障害者が多発している」、「地域特性として存在している」との研究発表が相次いで行われている。この事実認識はどのように把握されているか。
 3 このような事実が現認されるとすれば、その腎障の発生原因とそのメカニズムの解明に時間を経過させる以前の問題として、国、地方を挙げてまず救済対策(保険、生活、医療)が先行実施されるべきである。この点どのように考えているか。
 4 十年にわたる調査結果はなお未公表のため、委託調査を実施した当事者の富山県は重複調査を行い得ず、特別に腎障患者対策も行っていない。国の措置によって地方の独自性が損なわれることがないよう人命と健康第一の環境行政を守り、神通川流域腎障患者救済対策に取り組む考えはないか。
五 カドミウムに起因するイタイイタイ病発生のメカニズムについて、昭和四十三年の厚生省見解はもとより、富山地裁(四十六年六月三十日)の判決文によっても、カドミによる「広範な腎尿細管の機能障害」がイタイイタイ病の原因であるとして、「腎障害が地域的に限局して多発した事例が絶無ではないことなどから、腎障害の原因はカドミウムをおいてほかにないものと認める」、「腎障は第一次的で骨病変は第二次的に続発したものである」と述べている。つまりカドミによる腎障患者の事実を認めてきている。以来、二十年を経て腎障患者に対する公害被害者救済対策は今日に至るも皆無である。
  この点に関する環境庁の基本的な見解と方針を伺いたい。
六 神通川流域の汚染地域に存在するとされる腎障患者の実態は公的には不鮮明な状況下であるが、科学的、学問的には、なお今日、カドミと他の要素に起因する腎障患者の区分けは未解明とされているようだが、無過失賠償責任を基本とする公健法の趣旨に沿って迅速な救済措置対策を講ずることが重要である。速やかに所要の措置を講じるべきではないか。
七 イタイイタイ病患者認定に当たって、富山県公害健康被害認定審査会は、国が示した認定条件(環企保第五十五号昭和四十七年六月二十日)の外に「骨生検の取り扱いについての基準」を設定し、イタイイタイ病患者不認定の理由としている疑いがある。このいわゆる内規といわれる新たな基準について県は、環境庁と協議の上策定したので公表するときは環境庁の了解が必要としている。
  従って、あらゆる批判に耐え得る公正な審査と信頼のもとに患者認定を実施している証しとして、「骨生検の取り扱いについての基準」いわゆる内規の公表について環境庁は同意する考えはないか。

 右質問する。





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