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平成元年三月十日提出
質問第一二号

 地域環境保全対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年三月十日

提出者  藤原房雄

          衆議院議長 原 健三郎 殿




地域環境保全対策に関する質問主意書


 近年、地球規模の環境問題に関係する各種の国際会議が頻繁に開催され、その対策について論議されている。また、七月の先進国首脳会議(アルシュ・サミット)においても主要な議題となることが予想されている。
 地球的規模の森林破壊、砂漠化の拡大、エネルギー消費拡大に伴う硫黄酸化物、窒素酸化物、炭酸ガス及びフロンガス等の増大は、世界各地で酸性雨の拡大と気温の上昇、オゾン層の破壊等をもたらし、地球環境に重大な影響を与えている。また、海洋汚染においても、海洋生物と海洋生態系に多大な被害をもたらすなど深刻化の一途を辿っている。いまや至るところにおいて人間と自然の調和が崩壊しつつあり、「地球の危機」が有識者から叫ばれている。こうした状況は、人類の活動の規模の拡大が地球の環境容量を超えて、地球生態系に危機的状況をもたらしているとみるべきであり、地球の環境保全について世界各国が早急に合意形成を図り、総力を挙げてこうした地球の危機を防止しなければならない時である。
 第百十四回国会における竹下総理大臣の施政方針演説においても、この点に触れているが、まだまだ不十分である。地球環境保全については、もはや抽象的な議論や調査研究のみに終始する段階ではなく、具体策が実施されていかねばならない。
 特に、我が国は、公害先進国、資源輸入大国として、地球的規模の環境問題の解決のため世界の先頭に立って大きな役割を果たさなければならないと考える。
 よって、地球規模の環境問題に関する政府の施策について質問する。

一 我が国が、地球環境保全について総合的、計画的に推進していくために関係省庁による「地球環境総合対策会議」を設置するとともに、国・地方公共団体とNGO等民間団体が一体となって「地球環境再生計画」(仮称)を策定し、二国間や多国間或いは国連等の国際機関において実施のための協議をしていくべきと考えるがどうか。
二 地球環境の問題は、単なる環境問題ではなく人口・資源エネルギー・食糧問題及び南北問題等の様々な要因の絡み合った複雑な問題であり、そのため、長い時間と忍耐と深い英知が必要である。その意味で、内外の賢人を集め一定の権限を持った総理大臣直属の「二十一世紀地球的規模問題プロジェクトチーム」(仮称)を設置して、長期的かつ強力な取組みを図るべきであると考えるがどうか。
三 地球規模の環境問題を議題として、今年三月五日よりオゾン保護国際会議がロンドンで開かれた。その国際会議における討議の結果、議長は「オゾン層を守るため行動を起こすことで全参加国が合意した。フロンガスを究極的に全廃することが共通の認識である」との声明を発表した。これは、今年一月一日発効された「モントリオール議定書」の目標値より、さらに規制を強化しようとするものである。我が国としても、これに対応する諸施策を早急に講じなければならない。その意味において、我が国もフロンガス規制の全面的な使用・生産禁止を行うとともに、地球の温室効果の主因となっている炭酸ガスについてもその具体的な削減目標を定め、国際的規制を強く世界各国に呼び掛けていくべきであると考えるが、どう認識しているか。
四 今日までの国内における環境対策では、産業活動に与える影響に配慮し、現実的な対応との方針で進めてきたため対策の遅れが問題になった。このたびのオゾン保護国際会議における議長声明でも、フロンガスに代わる無公害化学物質の早急な開発を産業界、科学者に呼び掛けている。我が国は、これら諸対策に先導的な役割を担うべきと思うが、平成元年度予算の中で各省庁の地球規模の環境対策の調査・研究・諸施策等関連予算についてどのように措置しているか。
五 ODA(政府開発援助)予算を一九九〇年までに国際目標である対GNPの〇・七%にまで拡大するとともに、特に公害防止、環境管理、砂漠化防止、植林、省資源・省エネルギー及び廃棄物処理等環境保全に関する国際協力や援助の増大を推進すべきであると考えるがどうか。
六 我が国が関与するあらゆる開発援助計画においては、環境アセスメント並びに公害防止、環境保全対策等を実施するよう義務付け、また、そのための技術指導を進めるべきであると考えるがどうか。
七 公害防止、環境保全・管理、廃棄物処理、無公害生産システム、省資源・省エネルギー等に関し、より効率の高い技術及びシステム(社会システムも含め)を開発し、普及させていくとともに、援助国に適合した技術・システムを開発し、技術援助・移転を推進すべきであると考えるがどうか。
八 地球再生に必要な財源を確保するため、先進国の拠出金、企業等からの寄付を募る「地球環境再生基金」の設置を世界各国に呼び掛け、この基金で地球環境大学の創設や、関係研究機関、地球環境保全運動等へ助成していくべきだと考えるがどうか。

 右質問する。





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