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平成元年三月三十一日提出
質問第一四号

 更生保護会の整備充実に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年三月三十一日

提出者  寺前 巖

          衆議院議長 原 健三郎 殿




更生保護会の整備充実に関する質問主意書


 昭和六十三年犯罪白書によれば、犯罪の発生は前年より増加傾向にあり、特に受刑者の六割が再犯者であること、また、その累犯出所者の六割が更生保護会の施設に帰住している。さらに、更生保護の推進からみても更生保護会の入所者に対する処遇の一層の充実のためからも、更生保護会の経営基盤の強化、処遇態勢の整備の必要性を強調している。
 更生保護会は明治二十一年、静岡県で静岡県出獄保護会社が設立され、昨年で百周年をむかえた。現在、全国で百ヵ所の保護会があり、更生保護の事業に取り組んでいる。更生保護会は、更生緊急保護の対策者や保護観察所長から委託された者などに対し、宿泊・食事の供与、就職の援助・相談助言などを行っており、毎年一万人を超える者が入所している。しかし、各保護会の経営実態は極めて劣悪であり、施設も老朽化している。民間の援助でかろうじて維持しているのが実態である。
 入所者の処遇では、法は六ヵ月以内になっているにもかかわらず、国の補助は全国平均で食事付宿泊は三十六日、宿泊のみで六十日であり、ときには期末予算不足のため補助を途中で打ち切り、保護会が責任をもたされるケースもあった。補助単価が低く体制の不十分さとあわせ、食事など居住条件は極めて悪い。また、職員は全国で三百四十三名おり、その平均年令は五七・四才、勤務年数八年、平均給与月額一四四、四〇五円、わずかに一ヵ所五〜六人の職員で二十四時間勤務を行うという過重な条件となっている。入所者に対する処遇や指導が十分できないことから、せっかく保護会に入所しても無断・事故などによる退会は、二四・六%にもなっている。
 以上の現状を踏まえて、更生保護の実を挙げるため、経営基盤の強化と処遇の改善を図ることが急務であり、その点について以下質問する。

一 更生保護事業は本来、国の固有の任務である。民間に頼るだけでなく、民間施設の援助とあわせ国自身が国の施設として設立することが大切であると考えるがどうか。
二 入所者の処遇の改善のため、食事費、宿泊費の単価を引き上げるとともに、短期で無理な更生指導にならないよう、更生保護委託費予算の大幅な増額や入所者の実態にあった委託期間にすべきだと考えるがどうか。
三 職員の労働条件を改善し、若くて意欲的な人材を登用することは、再犯防止、入所者に対するゆきとどいた指導のためにも重要である。現在の委託事務費は、一級地の場合、一日一人一、五一二円(二〇人以下)、補導費一二二円と極めて低く、しかも入所者人数分だけ支払われている。現在、保護会の定員に対する入所は六〇・九%であり、定員に対して六〇%の収入しかない。更生保護の充実のため、委託事務費の単価引上げを含め補助額の大幅な引上げをすべきではないか。
四 京都の感化保護院は昭和十年の建物であり、全国の保護会でも建物が老朽化しており、居住条件は悪い。六十二年の施設補助金は、事務補助金とあわせて三、四〇〇万円しか予算化されていない。施設補助金の補助率の引上げと予算の増額が必要であると考えるがどうか。

 右質問する。





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