衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成三年十月一日提出
質問第六号

昭和六十二年度、昭和六十三年度の東京都実施の小田急線連続立体交差事業調査報告に関する質問主意書

提出者  鈴木喜久子




昭和六十二年度、昭和六十三年度の東京都実施の小田急線連続立体交差事業調査報告に関する質問主意書


 都市の基盤作りの一貫として、都市高速鉄道の連続立体交差事業計画が複々線化とあわせて推進されようとしており、計画沿線各地に環境上の、また都市計画上の波紋を大きく投げ掛けている。とりわけ市街地地域では住民の間から高架ではなく地下化を望む声が大きく、高架計画を推進しようとする事業者側との紛争となっており、連続立体交差事業の構造形式の決定の在り方が厳しく問われている。
 小田急小田原線の東北沢駅・喜多見駅間の複々線連続立体交差事業は昭和三十九年の現行都市計画決定の後、その構造形式を巡って、鉄道の高架化を基本として推進しようとする東京都と鉄道の地下化を求める沿線住民との間で二十数年にわたり、論争が続いてきた。また、昨年八月に発足した東京鉄道立体整備株式会社への東京都及び世田谷、練馬両区の出資に関しては、高架化を前提とし、収益事業を中心とした同会社への出資は不法かつ不当であるとして都民、両区民により監査請求がなされた。同監査請求については却下されたが、請求人は納得せず、いずれについても出資の取消し等の訴訟が提起され、現在東京地裁民事二部で併合審理されている。
 ところで、去る八月二十一日より二十八日までの間に東京都と世田谷区が実施した「小田急線複々線化連続立体交差事業素案説明会」では、梅ヶ丘駅・喜多見駅間の都市計画の一部変更を伴う高架複々線化計画素案が発表された。この素案は、昭和六十二年と六十三年に国庫補助を受け、東京都が実施した小田急線連続立体交差事業調査(以下「調査」という。)に基づき行われたものである。しかしながら、東京都は、右連続立体交差事業の主体であるのにかかわらず、この「調査」については説明会での住民側からの再三の公開要求に対し、一切応じていない。そればかりか、東京地裁民事二部からの資料要求の嘱託にも未だ応じようとしていない。また、先般九月六日の建設委員会での質疑で、国に調査内容を明らかにするよう私は求めたが、国は東京都が実施主体だからという理由で、参考人として出席していた東京都の責任者に質問をすることを促した。東京都に質問すると、内部資料であるからとして公開を拒否した。
 都市計画法第十六条、第十七条は住民参加をうたっている。住民の意思を都市計画の決定過程に反映させようとするならば、事業者側が住民から意見を求めようとする計画案(素案)は、その形成過程と基礎資料が明らかにされなければ公聴会や意見書の提出は立法の趣旨に反し、形骸化してしまうことはいうまでもない。今回の「調査」に関しての公開拒否は明らかに立法の精神を逸脱している。
 連続立体交差事業は都市計画事業であり、今回の事例は都市計画法第十八条第三項及び第二十一条第二項により、認可権は建設省が握っている。東京都は先般の説明会で高架を選択する理由として「調査」により事業費が地下式よりも安上がりと試算されたという結果のみを強調し、計画素案については建設省の内諾を得ていることを理由に高架計画を変更する意思のないことを強弁している。
 連続立体交差事業は国の補助金を受けて行われる事業でもあり、小田急線の今回の計画素案分だけでも、国の税金で五百億円以上出資されるといわれている。かかる血税の出資に直結する許可内諾の根拠となっており、かつ衆議院議員が国政調査権に基づき、提出を求めている「調査」報告について建設省が国民の代表機関である国会に明らかにしないのは不当であるばかりでなく、違憲であると考える。「調査」は国庫補助を得て実施されている以上、既に報告は法令に従って国には当然提出されているものである。事実、九月六日の建設委員会での答弁でも市川政府委員は「極めて具体的な調査報告をかなりの期間にわたりまして詳細に聴取している」としている。
 ここに、改めて我々が有する憲法上の国政調査権に基づき、東京都が昭和六十二年度と六十三年度に実施した小田急線連続立体交差事業調査の報告を議会の前に明らかにすることを、国民の代表として要求する。
 以下の質問に答えられたい。

一 昭和六十二年度、六十三年度に実施された小田急線連続立体交差事業調査の報告について、
 (1) 国はいかなる補助を与えたのか。具体的に明らかにされたい。
 (2) 右調査報告書を建設省はいつ受領したか。
 (3) 報告及び内容の詳細について、具体的に明らかにされたい。
二 東京都は八月二十一日から二十八日まで実施された「小田急線複々線化連続立体交差事業素案説明会」で、建設省より高架を基本とする素案について内諾を得たとしているが、事実であるか。事実であるとすればいかなる根拠によるものか。具体的に明らかにされたい。
三 東京都の素案による事業化に対し、国及び地方公共団体が出資する金員は概ね幾らか。
四 小田急線連続立体交差事業関連の最近の国の予算措置について明らかにされたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.