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平成五年六月四日提出
質問第一五号

障害者対策に関する質問主意書

提出者  菅野悦子




障害者対策に関する質問主意書


 「国連・障害者の十年」は一九九二年末で終了した。この十年、障害者と家族団体などの粘り強い運動を反映して貴重な前進があったものの、とりくむべき課題はきわめて多く残されている。
 政府の障害者対策推進本部は三月二十二日、「障害者対策に関する新長期計画」を発表したが、そこに示された内容の多くは「国連・障害者の十年」ですでに実行されていなければならない課題である。五百万人を超すといわれるわが国の障害者と、その家族の切実でかつ緊急な願いを実現するために、以下質問する。

一 障害者の自立と施設問題について
  今日、多くの障害者が「学校卒業後の不安」をかかえ、社会参加を希望しても「行く場がない」状況に置かれている。その要因のひとつが、成人期障害者を受け入れる法定施設の不足である。全国の授産施設を見ても、千百七十六ヵ所、四万八千八百四十四人の障害者が利用しているが(一九九〇年十月現在)、自治体数では約六分の一の市町村に設置されているにすぎない。多くの障害者が地域で働き、生活できる場を保障するためには、このような法定施設を計画的に配置するなど、障害者の自立を保障しうる施設体系を国の責任で整備すべきであると考えるがどうか。
  また、法定施設の量的不足を事実上補っている無認可の共同作業所は九百近い市区町村に設置され、養護学校卒業生や各種入所施設の年齢超過児を受け入れるなど、今日はたす役割はきわめて大きい。この小規模作業所に対する助成の基準額と対象箇所を大幅に増加すべきだと考えるがどうか。
二 職員配置基準問題について
  大阪の精神薄弱児入所施設では、市などによる加算配置職員や非常勤職員を含めても障害の実態に見合った処遇がより困難になり、公休もとれないなど職員の労働条件や健康破壊が深刻となっている。
  今日、障害者の重度化・重複化、高齢化の進行とともに、職員にとっても労働時間短縮や週休二日制、有給休暇の完全消化などが切実な問題となっており、そうした状況に対応した労働力の配置を緊急に行うことが求められている。しかし、精神薄弱者関係の施設のように十七年前に改定された「基準」がいまだに適用されているなど、各種施設で旧態依然とした職員配置基準のまま推移しているのが現状である。このような職員配置基準の改善とそれに見合った措置費の改善を早急に行うべきだと考えるがどうか。
三 グループホームについて
  地域での自立した生活を支えるシステムとしてのグループホームの役割は大きくなっているが、その一方で建物の確保、家賃問題など解決しなければならない点は多い。このことからも小規模で地域に密着したグループホームの設置は緊要である。次のような対策を早急にとるべきだと考えるがどうか。
  (1) 建物確保のため、@障害者向け公営・公団住宅の建設を促進し、そのなかにグループホーム用住居を組み込むことを促進する、A公営住宅の利用(転用促進)、アパート、一軒家などの民間住宅を国・地方自治体が借り上げて安く賃貸する「福祉型借上公共住宅制度」などを国の責任で全国に広げる、Bこれらを着実に推進するために、公営住宅法の一部改正や柔軟な運用を行うとともに障害者向け住宅建設のための年次計画を定める、などの対策をとる。
  (2) グループホームの新築・増改築に際しての資金補助や公有地の提供、収入の実態に合わせた家賃補助などを国の責任で行う。また、相続税の優遇措置や土地を貸してくれる地主への固定資産税の減免などの措置をとる。
四 障害基礎年金の「子の加算」について
  八六年四月一日から発足した年金法「改正」によって「子の加算」が行われることになったが、同制度は加算対象を障害基礎年金の受給権を取得したときの子に限定しているため、さまざまな問題が生じている。たとえば、先天性の障害者の場合、障害基礎年金の受給権を取得できるのが二十歳の誕生日であるが、この制度によるとその時点で子どもがいなければ「子の加算」は適用されない。二十歳の時に子どもがいるというのは健常者でもまれである。年金受給後に生まれた子どもも加算の対象としてほしいとの要望が、多くの障害者や関係団体から強く出されている。これらの点を早急にあらためるべきだと考えるがどうか。
五 身体障害者手帳の点字版解説書について
  現在、点字による身体障害者手帳がないため視力障害者は、その内容を正確に知ることができないでいる。そのため「身体障害者手帳」の点字版解説書を早急に作成してほしいという要望があがっている。すでに、視力障害者の妊婦のための「点字母子手帳」は、関係団体等の要請が実って実施されるようになっているが、高額のうえ作成部数が少ないことから十分に普及されていない状況がある。これらのことも考慮に入れ、廉価で入手できる「身体障害者手帳」の点字版解説書を早急に作成すべきだと考えるがどうか。

 右質問する。





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