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平成六年七月二十一日提出
質問第一号

海外再処理契約及び返還ガラス固化体に関する質問主意書

提出者  今村 修




海外再処理契約及び返還ガラス固化体に関する質問主意書


 我が国は、使用済核燃料の再処理を英国核燃料会社(以下「BNFL」という。)及びフランス核燃料会社(以下「COGEMA」という。)に委託しており、再処理によって生ずる高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体が返還されることになっているが、ガラス固化体仕様の安全性確認及び法令上の規定等がはっきりしていないと思われる。また、再処理契約の内容や手続き面でもはっきりしていないものがあるので、次のとおり、質問する。

一 電気事業者が科学技術庁に提出した一九八八年一月二十一日付けの「COGEMAガラス固化残滓仕様に関するお願い」(以下「お願い書」という。)と、それに対して科学技術庁が電気事業者に通知した同年八月三十一日付けの「COGEMAガラス固化残滓仕様について」(以下「通知書」という。)について
 1 「お願い書」は原子力安全局長宛てになっているのに、これに対する返事である「通知書」は差し出しが原子力局長となっているのは何故か。
 2 宛先であり、検討当事者でもある原子力安全局長が、直接、通知しなかったのは何故か。
 3 この「お願い書」は本来は原子力局長宛てに提出されるべきものであったと聞いているが、法令の規定に基づいていない「お願い書」であるにもかかわらず、窓口が原子力局長でなければならないのは何故か。
 4 再処理契約に基づく「お願い書」であるから、契約履行上の重要な「お願い書」ということになるにもかかわらず、その宛先を間違えたとすれば、行政上の処理の慣習からしても書き直して提出されるべきものであるが、そのまま受理したのは何故か。また、このような不備な書類で再処理契約上、支障を来すおそれはないのか。
 5 通商産業省への同様の「お願い書」に対する同省の対応は口頭であったのに対して、科学技術庁が文書で通知したのは「正確さを期して」のことであるが、科学技術庁が文書によって正確さを期さなければならなかったのは何故か。
 6 私の一九九四年五月十日付け質問主意書に対する同年六月二十八日付け政府答弁書第六号(以下「第六号答弁書」という。)によれば、「お願い書」に関して「再処理契約に基づいて科学技術庁に対して検討を依頼したものであって・・・当該検討依頼に応じなかった場合には・・・再処理役務の提供を円滑に受けることに支障を来すおそれがあったものと承知している」と答弁している。
  @ 「再処理契約に基づいて」とあるが、再処理契約のどのような条文に基づいて検討依頼を電気事業者はしたのか。
  A 検討依頼に応じなければ「再処理役務の提供を円滑に受けることに支障を来す」とあるが、再処理契約のどのような条文により、どのような支障を具体的に来すのか。
  B 「通知書」によれば電気事業者の検討結果は妥当であると判断されたが、妥当でないとの判断がなされた場合には、再処理契約のどのような条文により、どのような支障を具体的に来すのか。
 7 電気事業者が行ったCOGEMAガラス固化残滓仕様(以下「COGEMA仕様」という。)についての検討内容について
  @ 「お願い書」によれば、電気事業者は「COGEMA仕様に示された項目及びその数値は妥当であり、また廃棄物を安全に貯蔵しうる貯蔵施設を設計することが可能であるとの結論を得ております」となっているが、COGEMA仕様に示された項目及びその数値を具体的に説明されたい。
  A 電気事業者は、いつ、どこで、どのような検討をして、次のイ、ロのそれぞれについての結論を得たのか。
   イ COGEMA仕様に示された項目及びその数値は妥当であるとの結論
   ロ 廃棄物を安全に貯蔵しうる貯蔵施設を設計することが可能であるとの結論
 8 「通知書」によれば、原子力安全局は、電気事業者の行ったCOGEMA仕様及び貯蔵時の安全性の検討結果は妥当であると判断した。
  @ 原子力安全局は、いつ、どこで、どのような検討をして、7のAの電気事業者のイ、ロそれぞれの結論がそれぞれ妥当であるとの判断をしたのか。
  A 原子力安全局は、COGEMA仕様に示された項目及びその数値が妥当であるか否かの基準を持っているのか。持っているとすれば、どんな基準で、いつ作られたのか。持っていないとすれば、どうして妥当だと判断できたのか。
二 ガラス固化体は一万年経ても非常に高い放射能レベルにあるため、高レベル廃棄物成分が出す崩壊熱及び放射線によってガラス固化体の外殻であるキャニスターが劣化して穴が開いたり、溶けたりして、高レベル廃棄物成分が漏れ出すようなことが起こってはならない。従って、「ガラス固化体そのものの安全性」の確認が必要である。
 1 COGEMA仕様の範囲内であれば、ガラス固化体の安全性は確保、保証されるのか。保証される場合、誰によって保証されるのか。保証されない場合、ガラス固化体の安全性は誰によって保証されるのか。
 2 科学技術庁は、COGEMA仕様に基づいて製造されたガラス固化体が何十年、何百年も安全であることの確認と実証を行っているのか。行っている場合、どのように行っているのか。行っていない場合、行っていない理由は何か。
 3 ガラス固化体仕様における核種別濃度、放射能量、発熱量、製造方法等の安全基準はあるのか。ある場合、いつできたのか。ない場合、ガラス固化体の安全性の確認はどのようにするのか。
三 低レベル放射性廃棄物の「廃棄物埋設」に関しては、原子炉等規制法施行令第十三条の九に、核種別の放射能量の基準が規定されているが、ガラス固化体の「廃棄物管理」に関しては、核種別の放射能量の基準が法令に規定されていないのは何故か。
四 「第六号答弁書」によれば、日本原子力研究所が行ったCOGEMAガラス固化体サンプルの確認試験(以下「サンプル試験」という。)について、サンプル試験の目的は「廃棄に関する確認の方法の信頼性を実証すること」にあるとしている。
 1 「廃棄に関する確認の方法」とは、ガラス固化体ごとにCOGEMAから提示される核種別濃度に基づいて「放射能濃度及び発熱量を算出する決定方法」のことか。そうでない場合は、「廃棄に関する確認の方法」とは何か。
 2 サンプル試験の測定結果は、COGEMA仕様の範囲内であったのか。
 3 COGEMA仕様の範囲外であった場合には、返還、貯蔵できないのか。できない場合、できない理由は何か。できる場合、COGEMA仕様の範囲外でもできる理由は何か。
五 「第六号答弁書」によれば、返還予定のCOGEMAガラス固化体の高レベル廃棄物成分は、ガラス成分と高レベル廃棄物成分の合計重量との比で七・五%から十八・五%までと幅があるが、このような幅があるのはどのような理由か。また、最低の七・五%と最大の十八・五%では、放射能量にどれぐらいの違いがあるのか。
六 COGEMAガラス固化体の放射線量について
 1 輸送容器に収納していない状態で、標準的なCOGEMAガラス固化体一本について、次の線量率はそれぞれ毎時何ミリシーベルトであるか。
  @ ガンマ線について、表面線量率、一メートル離れた地点での線量率及び二メートル離れた地点での線量率
  A 中性子線について、表面線量率、一メートル離れた地点での線量率及び二メートル離れた地点での線量率
 2 輸送容器に収納していない状態で、標準的なCOGEMAガラス固化体から一メートル及び二メートル離れた地点において人間が被曝した場合、致死線量に達する時間はそれぞれ何分か。
 3 輸送容器TN28VTに標準的なCOGEMAガラス固化体二十八本を収納した状態について、次の線量率はそれぞれ毎時何ミリシーベルトであるか。
  @ ガンマ線について、輸送容器の表面における線量率、輸送容器から一メートル離れた地点での線量率及び二メートル離れた地点での線量率
  A 中性子線について、輸送容器の表面における線量率、輸送容器から一メートル離れた地点での線量率及び二メートル離れた地点での線量率
 4 輸送容器TN28VTに標準的なCOGEMAガラス固化体二十八本を収納した状態で、輸送容器から一メートル及び二メートル離れた地点において人間が被曝した場合、職業人の年間許容線量五十ミリシーベルトに達する時間はそれぞれ何分か。
七 COGEMAの再処理工場UP2及びUP3に係る再処理契約量は、それぞれ約百五十トン、約二千七百七十トンである。
 1 UP2に係る契約では、フランスから日本への廃棄物返還の選択権が日本側にあるが、日本は、「一切の廃棄物を引き取らない」あるいは「高レベル廃棄物は引き取る」等、どのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
 2 UP3に係る契約では、フランスから日本への廃棄物返還の選択権がフランス側にあるが、フランスはどのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
八 BNFLとのガス炉燃料に係る再処理契約量は、約千五百十トンである。
 1 ガス炉燃料に係る約千五百十トンの契約について、英国から日本への廃棄物返還の選択権が日本側にあるのは何トン分で、英国側にあるのは何トン分か。
 2 英国から日本への廃棄物返還の選択権が日本側にある分について、日本は、「一切の廃棄物を引き取らない」あるいは「高レベル廃棄物は引き取る」等、どのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
 3 英国から日本への廃棄物返還の選択権が英国側にある分について、英国はどのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
九 BNFLとの軽水炉燃料に係る再処理契約量は、約二千六百七十トンである。
 1 軽水炉燃料に係る約二千六百七十トンの契約について、英国から日本への廃棄物返還の選択権が日本側にあるのは何トン分で、英国側にあるのは何トン分か。
 2 英国から日本への廃棄物返還の選択権が日本側にある分について、日本は、「一切の廃棄物を引き取らない」あるいは「高レベル廃棄物は引き取る」等、どのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
 3 英国から日本への廃棄物返還の選択権が英国側にある分について、英国はどのような形の選択権の行使をしたのか。また、行使したのは何年何月何日か。
十 再処理契約に基づく廃棄物返還の選択権の行使によって、BNFL及びCOGEMAそれぞれのガラス固化体の仕様が日本に提示され受け入れたようだが、日本が「この仕様では受け入れられない」と拒否した場合、再処理契約上どうなったのか。次の各契約ごとに明らかにしていただきたい。
 1 COGEMAとの再処理契約のうちUP2に係る分
 2 COGEMAとの再処理契約のうちUP3に係る分
 3 BNFLとのガス炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が日本側にある分
 4 BNFLとのガス炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が英国側にある分
 5 BNFLとの軽水炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が日本側にある分
 6 BNFLとの軽水炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が英国側にある分
十一 電気事業者とCOGEMAの間で一九七七年九月三十日に締結された再処理契約について
 1 当時の法令、協定等のもとでは、再処理契約を締結するにはどのような手続き、許認可及び承認等が必要か。
 2 当該契約に関して、一九七七年九月三十日に電気事業者から通商産業省に提出された「逆委託加工貿易契約許可申請」に対し通産大臣が許可を出さなくても、当該契約の効力に支障はなかったか。
 3 当該契約の際、日米原子力協定上、米国の承認が必要であったと思われるが、米国は何年何月何日に承認したのか。
 4 当該契約に関して、日仏政府間で交換公文を取り交わさなかった理由は何か。また、日米政府間の交換公文はないのか。
 5 当該契約に関して、一九七七年十二月二十九日に日仏政府間で「口上書」が取り交わされているが、この口上書は当該契約に基づいて取り交わされたのか。また、口上書はどんな内容か。
十二 電気事業者とBNFLの間で一九七八年五月二十四日に締結された再処理契約について
 1 当時の法令、協定等のもとでは、再処理契約を締結するにはどのような手続き、許認可及び承認等が必要か。
 2 当該契約に関して、一九七八年五月二十四日に電気事業者から通商産業省に提出された「逆委託加工貿易契約許可申請」に対し通産大臣が許可を出さなくても、当該契約の効力に支障はなかったか。
 3 当該契約の際、日米原子力協定上、米国の承認が必要であったと思われるが、米国は何年何月何日に承認したのか。
 4 当該契約に関して、日英政府間で交換公文を取り交わさなかった理由は何か。また、日米政府間の交換公文はないのか。
 5 当該契約に関して、一九七八年八月二十二日に日英政府間で「口上書」が取り交わされているが、この口上書は当該契約に基づいて取り交わされたのか。また、口上書はどんな内容か。

 右質問する。





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