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平成八年六月十八日提出
質問第三〇号

じん肺対策に関する質問主意書

提出者  寺前 巖




じん肺対策に関する質問主意書


 現在、じん肺療養者は一万八千人をこえている。しかも九十四年をとってみると千二百五十九人の新労災患者が発生している。注目されるのは、そのうち九十二%の人が離職者からの認定である。さらにトンネル建設工事から一二百五十人もの新労災患者が生まれていることである。
 近年使用されているナトム工法によるトンネル工事では切羽とその周辺だけでなく、コンクリート吹付け位置付近に大量の粉じんを発生させるなど、作業効率や経済性を重視するあまり、作業環境を一層悪化させる事態が生まれている。
 これらの結果、じん肺被害を発生し続けることが引き続き予想されるトンネル建設工事での粉じん職場対策や、粉じん職場を退職した当時は比較的軽症のじん肺症であると思っていた人が、その後の経過から、労災患者になってきていることなど、これらに対する対策は急務となっている。
 よって以下、質問する。

一 粉じん職場での粉じん測定は、じん肺発生防止の上で重要な意義をもっている。労働安全衛生法第六十五条では有害な業務を行う作業場では作業環境測定を行うことを義務づけている。ところが同法施行令及び粉じん障害防止規則では粉じん測定を屋内作業場に限定している。
  九十一年の労働環境調査報告(労働大臣官房政策調査部)では、八十二・八%のずい道・地下鉄建設工事現場で日本産業衛生学会の勧告値である総粉じんの許容濃度一・五mg/m(遊離珪酸含有率三〇%の場合)をこえる二mg/m以上という粉じん濃度で労働者が働いていることを示している。
  それにもかかわらずトンネル工事現場について粉じん発生場所が移動することを理由に、粉じん測定が法的に義務づけられていない。すみやかに粉じん濃度測定を法的に義務づけるべきではないのか。
二 現行じん肺法第八条では、常時粉じん作業に従事中であれば、軽い症状とされる管理二の有所見者には毎年、また粉じん作業経験者(管理一)には、三年に一度、事業者が定期健康診断を行わなければならないと規定している。さらに同じ事業者のもとで非粉じん職場で働く場合、管理二は三年に一度、じん肺の定期健康診断を事業者に義務づけている。しかし、退職した場合や、粉じん職場のない別の企業等に就職した場合は、定期的なじん肺健康診断を受ける機会がなくなり、本人が症状の悪化に気づくまで放置されている。この分野で労災患者が大量に発生している。またトンネル工事従事者については、粉じん濃度の規制がなく、離職後の健康管理についても何ら注意を払ってこなかった。そこから新しい労災患者が発生している。よって離職者に対しては、少なくとも三年間以上粉じん作業に従事したもの又は管理二のものに対しても健康管理手帳を交付し、じん肺健康診断を一年に一度、定期的に受診できるように改善するべきではないか。
三 じん肺症状の進行・悪化に対して早期に適切に対処できるようにするため、健康管理手帳が、有効に活用できるように改善することが必要と考える。ついてはじん肺の日常的な健康管理に必要な注意事項を、交付されたじん肺有所見者が読んで理解できるように記載することを検討するべきではないか。また必要に応じて有所見者向きに、最新の医学的知見にもとづく解説用パンフレット等の提供を行うことが必要と思われるがどうか。
四 じん肺の合併症については、その範囲を拡大すべきである。特に肺がんについては、管理四に限定するのではなく、これまでの医学的な知見の集積にもとづいて、管理三以下についても肺がんを合併症として認めるよう早急に検討を行うべきではないか。
五 九十四年二月、じん肺審議会において、「じん肺有所見者の離職後の健康管理の充実について検討を行うとともに、じん肺有所見者の粉じん作業離職後のじん肺管理区分の変化について調査を行うこと」が決議された。この決議を受けての検討及び調査の結果とそれにもとづきどのような措置がとられたのか、明らかにされたい。

 右質問する。





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