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平成八年六月十九日提出
質問第三六号

細川内ダムをはじめとするわが国のダム計画等に関する質問主意書

提出者  草川昭三




細川内ダムをはじめとするわが国のダム計画等に関する質問主意書


 平成七年十二月十五日に提出した「質問第二八号徳島県木頭村に計画されている細川内ダム等に関する質問主意書」(以下「質問第二八号」という)に対し、政府から平成八年一月十二日付で内閣衆質一三四第二八号の答弁書(以下「答弁第二八号」という)が寄せられ、その内容を精査したところ答弁内容に不明瞭な点があった。よって再度以下の質問をするので、政府の誠実な答弁を要求する。また、わが国の治水計画の妥当性を検証する上で必要な諸問題および関連する課題についても質問をする。

一 「質問第二八号」では、ダム審議委員会の対象河川を中心に、各河川の治水計画の妥当性を検証するために必要な数字を明らかにするように求めたが、(一)理由不明のまま答弁がないもの、(二)答弁が不明瞭なもの、がある。そこで以下の点について明確な答弁を再度求める。また先の答弁をふまえ、治水計画の妥当性を検証する作業の上で新たに必要となった(三)ア〜ウについても併せて答えられたい。
 (一) 「答弁第二八号」で答弁がないもの。
 次のア〜ウは、沙流川、黒部川、揖斐川、吉井川、那賀川、吉野川、川辺川・球磨川についてそれぞれ答えられたい。
  ア 「質問第二八号」の十二(三)シ。洪水防御計画における計画基準点(以下基準点という)において基本高水流量に対応する水位。
  イ 「質問第二八号」の十二(三)ス。ダム審議委員会の対象ダムがない場合、基準点の計画高水流量はどの程度増加するのか、その高水流量とそれに対応する水位。
    那賀川については、平成七年七月に木頭村の質問に対して、建設省はアとイについて回答している。各河川についても同様な数字を求めることが可能であるにもかかわらず、「答弁第二八号」ではアは全くなく、イについては球磨川についての流量のみの答弁であった。各河川についてア、イの値を計算して示されたい。
  ウ 「質問第二八号」の十二(三)セ。計画上の粗度係数。
   「答弁第二八号」では「河道計画上、粗度係数は定めていない」とあるが、洪水時の水位の計算で粗度係数は必須の条件であり、各河川の河道計画で粗度係数を定めていないということはありえないことであるから、各河川について基準地点を含む区間の粗度係数を明らかにされたい。
  エ 那賀川については、平成七年七月に建設省四国地方建設局が作成した「那賀川の治水計画」の六九ページで計画に用いる粗度係数が河口から十・四kmまでの区間(基準地点を含む)について示されている。それにもかかわらず、なぜ「答弁第二八号」で「河道計画上、粗度係数は定あていない」としたのか、その理由を明らかにされたい。
 (二) 「答弁第二八号」で答弁が不明瞭なもの。
  ア 「質問第二八号」の十二(三)ウ。
   @ 各河川の計画降雨量の継続時間が不明であるので、その継続時間を明らかにされたい。
   A 計画降雨量の計算に用いる確率計算の手法が河川によって違うことが多い。計画降雨量の計算手法を選択した理由を各河川ごとに詳しく説明されたい。なお、選択の理由は、「河川流域の特性を反映できる」といった漠然としたものではなく、どのような特性を反映できるのかも含めて、具体的に明らかにされたい。
   B 確率計算の各手法により求めた計画降雨量計算値から計画降雨量を決定するプロセスが河川によって異なることがある。すなわち、各手法の計算値の平均値をとったり、最大値をとったりあるいはその他の決め方をしたりしており、一様ではない。各河川について各手法による計算値から計画降雨量を決定するプロセスとそのプロセスを選択した理由を明らかにされたい。なお、選択の理由は、「河川流域の特性を反映できる」といった漠然としたものではなく、どのような特性を反映できるのかも含めて、具体的に明らかにされたい。
  イ 「質問第二八号」の十二(三)オ。
    各河川について基準点でこれまでに観測された第一位から第十位までの洪水時のピーク流量とその時の水位およびその発生年月日と発生時刻を質問したにもかかわらず、多摩川、矢作川、木曽川、揖斐川、長良川、球磨川(萩原)については第十位まで示されなかった。これらの河川についても第十位までの数字を明らかにされたい。また、那賀川の昭和四六年八月三〇日は水位と時刻が記載漏れになっているので、その数字を明らかにされたい。
  ウ 「質問第二八号」の十二(三)カ。
    各河川の洪水流出解析の手法を用いた理由について「答弁第二八号」では「流域の特性を十分に反映できる」という漠然としたもので具体性がない。流域のどのような特性を反映できるかも含めて、理由を具体的に明らかにされたい。併せて、貯留関数法を用いた各河川における流入係数と遅滞時間の値を詳しく示されたい。
  エ 「質問第二八号」の十二(三)ク。
    「答弁第二八号」によれば基本高水流量の充足度が一〇〇%の河川が圧倒的に多い。しかし「建設省河川砂防技術基準計画編」の一六ページでは「一級水系の主要区間を対象とする計画においては、この値が六〇〜八〇%程度となった例が多い」と記されており、「質問第二八号」で対象とした河川のほとんどがこの技術基準の記述と異なっている。その理由を詳しく説明されたい。
  以上のアとウは「質問第二八号」の十二(一)で示したダム審議委員会の「対象河川」と同口の「比較のための河川」の各河川について明らかにされたい。
 (三) 新たに必要になったもの。
  ア 沙流川、千歳川・石狩川、黒部川、揖斐川、吉井川、吉野川、那賀川、川辺川・球磨川について次の@〜Bを明らかにされたい。
   @ 基準点より上流においてこれまでに観測された毎年の最大降雨量(計画降雨量と同じ継続時間を示すもの)と発生年月日。最も古い観測値から最新の観測値までを示す。
   A 基準点においてこれまでに観測された毎年の洪水ピーク流量とその時の水位およびその発生年月日と発生時刻。最も古い観測値から最新の観測値までを示す。
   B 基準点においてこれまでに観測された第一位から第十位までの洪水について基準点上流域の各雨量観測所それぞれの洪水前後四日間の時間別降雨量。気象庁および建設省の観測地点について示す。
  イ 那賀川について次の@〜Cを明らかにされたい。
   @ 現在の那賀川における古庄地点で流下可能な洪水ピーク流量とその根拠。
   A 前出の建設省「那賀川の治水計画」五五ページにおいて「河床を掘削する方法については、北岸堰(河口から十・四kmから下流の河床について、砂礫堆を最大約四m、平均で約二m掘削する必要があった」と記載されているが、その地点別の掘削必要深さと計算根拠。地点別は河口から十kmまで一kmおきに示す。
   B 同五五ページにおいて「堤防を嵩上げする方法については、堤内地盤より測って、約六〜七mの高い堤防を更に約一m嵩上げすることとなる」と記載されているが、その地点別の嵩上げ必要高さ
     と計算根拠。地点別は河口から十kmまで一kmおきに示す。
   C 同五六ページにおいて「川幅を広げる方法については、全長九kmにわたって最大約一五〇m堤防を移動させることが必要となる」とあるが、その地点別堤防移動必要幅と計算根拠。地点別は河口から十kmまで一kmおきに示す。
  ウ 足羽川、日野川、九頭竜川の計画主要地点である前波、深谷、布施田(以下計画地点という)のそれぞれについて次の@〜Pを明らかにされたい。
   @ 計画地点の流域面積。
   A 確率計算手法それぞれによる計画地点上流域の計画降雨量計算値とその決定値、および計画降雨量の継続時間。
   B 計画地点より上流においてこれまでに観測された毎年の最大降雨量(計画降雨量と同じ継続時間のものを示す)と発生年月日。最も古い観測値から最新の観測値までを示す。
   C 計画地点においてこれまでに観測された毎年の洪水ピーク流量とその時の水位、およびその発生年月日と発生時刻。最も古い観測値から最新の観測値までを示す。
   D 洪水流出モデルの手法として貯留関数法を採用した理由、および貯留関数法における流入係数と延滞時間の値。
   E これまでに観測された各洪水について計画降雨量への引き延しにより、計画地点の洪水流量を計算した結果。各洪水についての引き延し率とピーク流量計算値を示す。
   F 計画地点の基本高水流量の決定値および決定値の充足率。
   G 計画地点上流において洪水調節機能を持つダムの名(計画上のものを含む)と、それぞれの洪水調節容量。
   H ダムの効果(計画上のものを含む)を考慮して、これまでに観測された各洪水について計画降雨量への引き延しにより、計画地点の洪水流量を計算した結果。
   I 計画地点の計画高水流量の決定値と、ダム各々の効果見込み量(計画地点における流量低減量)。
   J 計画地点において基本高水流量および計画高水流量に対応する水位。
   K 審議委員会の対象ダムがない場合、計画地点の計画高水流量はどの程度増加するのか、その高水流量とそれに対応する水位。
   L 河道計画上の計画地点の河床勾配と計画地点を含む区間の粗度係数。
   M 計画地点における計画河床高、左岸および右岸の計画築堤高。
   N 計画地点における現平均河床高、左岸および右岸の現築堤高。
   O 計画地点における平均河床高の過去三十年間の変遷。河床高の変遷は五年おきに示す。
   P 計画地点においてこれまでに観測された第一位から第十位までの洪水について計画地点上流域の各雨量観測所それぞれの洪水前後四日間の時間別降雨量。気象庁および建設省の観測地点について示す。
二 一九九四年の吉井川の渇水に関連して以下の質問に答えられたい。
  ア 一九九四年六月一日から九月三〇日にかけて吉井川流量観測地点(久木、岩戸、御休ほか)における毎日の流量。
  イ 一九九四年六月一日から九月三〇日にかけて吉井川水系の各ダム(総貯水容量五〇〇万m以上)における毎日の貯水量、流入量、放流量。
  ウ 吉井川の農業用水、工業用水、水道用水に対する取水制限の条件と一九九四年の取水制限の経過。
  エ 吉井川の各農業用水、各工業用水、各水道用水のそれぞれの取水制限時の基準取水量と取水地点。取水地点は河口からの距離で示す。
  オ 一九九四年六月一日から九月三〇日にかけて吉井川の各農業用水、各工業用水、各水道用水におけるそれぞれの毎日の取水量。
  カ 一九九四年六月一日から九月三〇日にかけて吉井川流域における毎日の降雨量。気象庁および建設省の観測地点について示す。
三 那賀川の利水問題を考える上で、農業用水の動向が重要である。那賀川から取水する北岸用水、南岸用水、加茂谷用水、十八女用水の現在のそれぞれのかんがい面積を水田と畑に分けて示されたい。
四 会計検査院の平成六年度決算検査報告に「特に掲記を要すると認めた事項」として「細川内ダム、矢田ダム両建設事業については、関係機関等と協議を重ねるとともに地域住民の意見を十分考慮し、事業のあり方などについて総合的な調整を図る」とある。これは同ダムの工事中止を含めた問題提起と受け止めるべきだが、当局は会計検査院の特記事項に、工事中止という意味も含まれていると認識しているのか、いないのか、明快に答えられたい。

 右質問する。



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