衆議院

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平成八年六月十九日提出
質問第三七号

変額保険被害に関する質問主意書

提出者  佐々木陸海




変額保険被害に関する質問主意書


 一九八〇年代後半から九〇年代初めのバブル経済の時期に、銀行・生保が提携し、都市部で相続に悩む高齢者に対して、相続対策を売り物に銀行ローン付一時払い終身型変額保険を販売した。契約時の説明は、土地所有者が死亡した時には保険会社から支払われる保険金で銀行からの借金を返済し、残りで相続税が支払えるというものだったが、実際の生保の運用は銀行の利息を大きく下回り、相続税を支払えるどころか、銀行からの借金返済の見通しすら立たない事例が頻出している。
 変額保険は従来の定額保険とは違い、運用リスクを直接契約者が負うハイリスク商品だが、販売に当たってリスクの説明が行われていない、それによって「被害を受けた」との訴えが多数なされている。現在、東京、横浜、大阪他で、銀行、生保を相手に、契約無効、債務不存在等を求め、五〇〇件以上に及ぶ裁判が起こされている。すでに四件の自殺者が出ており、被害者による大規模な抗議行動が行われ、それが海外でも報道されるなど、変額保険問題は大きな社会問題となっている。
 銀行側は、訴訟中であるにもかかわらず原告の家屋などを競売しようとするなど、不誠実な対応をとっており、原告側と積極的に話し合う姿勢を見せていない。裁判は長期化する傾向にあるが、原告の多くが高齢であり、訴訟半ばで他界する例も多い。数千万円から億単位にのぼる銀行からの借入金は、日がたつごとに利息が膨れあがり、返済額が解約返戻金や死亡保険金を上回る事態が生じている。
 問題の早期解決が必要であり、訴訟だけではなく、行政の対応が求められている。以下、その立場から質問する。

一 大蔵省の指導・通達に関わる問題について
  これまで大蔵省は、変額保険に関わって、一九八六年七月十日付蔵銀第一九三三号通達「変額保険募集上の留意事項について」、一九八八年五月二十五日付「口頭指導」、一九九一年九月二十日付「口頭指導」を通じて業界を指導してきたことを明らかにしている。
 1 「一時払養老保険の保険料ローンに代表されるような財テクを勧める等、保険本来の趣旨を逸脱した提携は行わない」こと等を求めた一九八八年五月二十五日付「口頭指導」について
  (1) 同「口頭指導」を出した背景は何か。是正を求めている「提携」、「提携先金融機関」の「募取法違反」、「利殖性、有利性」を「強調」した「募集文書の作成」等の具体的事例があったのか。その具体的事例をあわせて示されたい。
  (2) 同「口頭指導」のAのいう「募取法違反」とは、同法何条の違反なのか。
  (3) 現在、変額保険をめぐる訴訟で、提携販売を行ったとして訴えられている銀行と保険会社に、特定の組み合わせが見られる。大蔵省は、このような特定の組み合わせによる提携が広く行われた事実を承知しているか。
  (4) 「口頭指導」は、誰が、誰あてに、どのような形で行ったのか(電話、個別面談等)。
 2 前述の指導以外にも、@『外野大同』NO78(一九九〇年五月)により、一九八七年に「終身の一時払いローンつき」保険の販売に関わり、大蔵省から某生命保険会社に立ち入り調査があったこと、A一九八七年六月十六日付「読売」により、「変額保険…契約件数が急増、大蔵省、リスク説明を指導へ」「大蔵省は、変額保険は…元本割れのリスクも伴うので、勧誘の際にはリスクも十分説明するよう、金融機関を指導する方針」等が明らかにされている。
  (1) @、Aの立ち入り調査及び指導の実際はどうか。実施日、その内容、どのような事態を受けた調査・指導であるのか、及び調査・指導の結果、問題は是正されたのか、について明らかにされたい。
  (2) 大蔵省として、先に指摘した以外にも、変額保険に関わり、関係各社に対して指導等を行っているのならば、その全てを具体的に明らかにされたい。
二 日本における変額保険の導入経緯に関わって
  米国においては、変額保険は一九七六年に本格的に販売が開始されたが、それに先立つ一九七〇年から一九七五年まで五年間、SEC(米国証券取引委員会)対生命保険協会の論争など、変額保険は生命保険なのか証券なのかとの変額保険の証券性をめぐる論争が行われた。最終的には変額保険は証券類似商品として位置付けられ、保険法とともに、証券関連諸法の規制も受けることとなった。
 1 日本の変額保険も、投資信託と同様の性格を持つと考えるが、大蔵省の認識はどうか。
 2 日本での変額保険の導入をめぐる検討の過程の中で、前記のような米国での論争及び変額保険の証券的位置付けについて、検討されたか。
 3 日本において変額保険に証券取引法等の証券規制が適用されなかった理由は何か。
 4 変額保険には定額保険と異なる自己責任が求められるとされるが、その自己責任の具体的内容は何か。
三 生保・銀行間の提携について
 1 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会『変額保険・不動産共同投資事件と融資者責任資料集』(一九九五年十一月)には、某生命保険会社が一九九〇年七月三十一日に作成した「『生保節税』のおすすめ1変額保険を活用した相続税対策プラン(ダブルメリット方式)」なる文書が収録されており、そのなかで、生命保険会社と銀行の「連携」が明示され、銀行が「土地を担保として、資産家に生命保険の一時払保険料相当額を貸付け」、「資産家は、当該借入金にて生命保険に加入します。保険は、変額保険・終身型、保険料一時払タイプとします」と記述されている。
  (1) これは、一九八八年の「口頭指導」後も銀行と生命保険会社の「提携」、「連携」が行われていたことを示しているが、大蔵省はこの事実を把握していたか。
  (2) 「提携」、「連携」の事実を把握していたのならば、大蔵省はどのような対応をしてきたのか。
 2 実質的に銀行の誘導によって変額保険加入の意志決定がなされた場合、その銀行の行為は、無資格者による保険募集を禁じた「保険募集の取締に関する法律」に違反すると考えられるが、どうか。
 3 同時に、この銀行の行為は、銀行の業務を定め、他の業務を行うことを禁止した銀行法に違反すると思うが、どうか。

 右質問する。



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